皆さんの1番許せない事は何でしょう?
「凶悪」という映画で実行犯の男須藤順次(ポスター右側)は悪い事を
あらかたやった男です。
↑須藤順次のモデル。後藤良治は実在する。
その後も殺人を繰り返しやっていたが、多少は罪悪感があったらしい。
そんな彼の一番許せない事。それは自分への裏切りである。
須藤順治が出会い尊敬していた先生。(ポスター右から2番目)
↑先生のモデル 不動産ブローカー三上静男
この男も次々と土地を持っている人間を殺して
土地を自分の名義にして売り飛ばした。
他の犯罪もやっていたという疑いがある。
この男の最も許せない事。
それは自分が儲けられない事か。
この男はいわば凶悪犯を信用させマインドコントロールしていた
はい、この男は罪悪感がいっさい無いタイプです。
心が優しい人間はこの映画を観ない方が良いです。
かれらに命乞いをして泣き、震える人間を冷酷に抹殺する…映画なので。
実は私は以前に、この映画の元になった本を買いました。
「凶悪 ある死刑囚の告発」新潮文庫
です。これは新潮45の記者が死刑囚の告発を聞いてそれを元に
独自に取材をし、裏付けをとり警察を動かした記録です。
小説というより取材の内容ですね。
後藤は、先生が約束通り金を自分に送ってくれない事に腹を立て
先生にたいして復讐しようという気持ちになったという事が
この本で分かる。
藤井記者の許せない事
それは、悪い人間がのうのうと生きている事。
これは本では分かりずらく(普通ルポライターは感情的に書かない)
山田孝之が演じた藤井修一が、そのようになってくるのだ。
このふたりを死刑にしなくてはという執念で記者の表情の方が
怖くなってくる。
結果記者は、自身の家庭内の悲劇を
見てみぬふりをする事になる。というか考えられない。
*ここはフィクションのような気がします。
このふたりが生きているのがおかしいと思い
死刑囚が「キリスト教に入りました。ペン習字を習いました。
今生きている実感があります。
生きて罪を償います」とほほ笑んでいうと藤井記者は
「はァ?」
という怒りの感情が湧いてくる。
これは監督、脚本家の怒りでは無いかと思う。
この映画で、須藤順治は確かに凶悪犯罪者なのだが
その中で、
舎弟がいるのだが先生の操作で殺してしまっている所が哀れなんです。
「言いたくはないんだけどね。順次君を裏切って逃げようとしているんだよ。
金の無心に来た。勿論わたしは断ったよ」
と、先生から聞いた須藤。
須藤は「お前が裏切るなんて!」と泣きながら舎弟をハチの巣にする。
あんなに仲がよかったのに…
ママ友洗脳事件
そして映画の事件とは関係の無いのですが
「ママ友洗脳事件」の裁判が行われた事を
映画を観た後に知った。
赤堀の初めての意見陳述である。
「わたしは指示していません」
というものだった。そうなのだ。碇容疑者がいくらガリガリに痩せ細って
その息子が餓死しても、指示をしていたという確かな証拠が無ければ
今までの碇容疑者の告発は、通らない。
三上静男だってそうだったのだ。
もしかして憎さで作り話が入っているかもしれない。
新潮の記者さんの取材から見えたものは…なのですが。
碇容疑者は赤堀の忠告によって離婚をさせられた。
そして何でかなぁ、その時碇から赤堀はお金をせしめている。
その事はどうなるのだろうと思うが。
碇容疑者は犯罪者でありながら大事なものをすべて失った。
こういう事件を知るたびに思う。
その人間の大事にしているものを剥ぎ取ろうとする人間がこの世の中にいる。
私はそういう人間を特に許せないと思う。
地獄に→→→奈落に→→→→
そういう人間に呪いをかけたい。
映画『凶悪』の元ネタ→上申書殺人事件の実話が凶悪過ぎる【アンビリバボー】 | 女性のライフスタイルに関する情報メディア (cherish-media.jp)
より写真等。
追記:この映画を観て。
本当に悪かという事は、リアルな世界では実は分かりづらいものである。
須藤順次はもう
笑いながら近づいて、機嫌が良さそうだとしても、数日後は自分の命が無い
かもしれないという事が分かる人物像なのでそのままなのですが
先生役は、リリーフランキーの演技、演出が過剰に見える。
あのように歪んだ笑みで来られたら普通の人間であったら避けたくなる。
リリーフランキーさんはもうすでに普通とは違う雰囲気を持っているので
犯人役としては良いのだろうが。
一か所。死体を置く時に、まるで木材等を廃棄するような感じで日常的に
みんなに指示をしているシーンがあったが
おそらくそういう人間の態度は、最初から最後までそのような感じだったのだと思う。
だから須藤順次は、自分達は仕事をしているだけだし、言う通りにすれば
何も問題は無いと思い込んでいたのだろう。
映画として好きか好きじゃないかと聞かれれば好きでは無い。
本を読んだ方が、簡潔に伝わってくる。
ところで本物の記者の気持ちはどうなのだろうと考えると
隠された真実を自分の手で暴く事に、最も醍醐味を感じるのがルポライター
だと思う。
世界ではまだ知られていない珍しいものを見つけて歓喜する学者に近い気がする。
自分が見つけて自分が解明する。
これがしたいというのが一番なので
事件、悪、色々許せないものがあるだろうが
記者、ルポライターの最も許せない事
それは自分の書いたものを闇に葬りさられる事だと思う。
*加筆修正致しました。