幼稚絵NJU

幼稚絵NJU(MONJU NO CHEST) ブログ

許せない事、許せる事

2022-08-30 14:45:12 | レビュー
皆さんの1番許せない事は何でしょう?
「凶悪」という映画で実行犯の男須藤順次(ポスター右側)は悪い事を
あらかたやった男です。

↑須藤順次のモデル。後藤良治は実在する。

その後も殺人を繰り返しやっていたが、多少は罪悪感があったらしい。

そんな彼の一番許せない事。それは自分への裏切りである。

須藤順治が出会い尊敬していた先生。(ポスター右から2番目)



↑先生のモデル 不動産ブローカー三上静男

この男も次々と土地を持っている人間を殺して
土地を自分の名義にして売り飛ばした。
他の犯罪もやっていたという疑いがある。
この男の最も許せない事。
それは自分が儲けられない事か。
この男はいわば凶悪犯を信用させマインドコントロールしていた
はい、この男は罪悪感がいっさい無いタイプです。

心が優しい人間はこの映画を観ない方が良いです。
かれらに命乞いをして泣き、震える人間を冷酷に抹殺する…映画なので。

実は私は以前に、この映画の元になった本を買いました。
「凶悪 ある死刑囚の告発」新潮文庫
です。これは新潮45の記者が死刑囚の告発を聞いてそれを元に
独自に取材をし、裏付けをとり警察を動かした記録です。
小説というより取材の内容ですね。
後藤は、先生が約束通り金を自分に送ってくれない事に腹を立て
先生にたいして復讐しようという気持ちになったという事が
この本で分かる。

藤井記者の許せない事
それは、悪い人間がのうのうと生きている事。

これは本では分かりずらく(普通ルポライターは感情的に書かない)
山田孝之が演じた藤井修一が、そのようになってくるのだ。
このふたりを死刑にしなくてはという執念で記者の表情の方が
怖くなってくる。
結果記者は、自身の家庭内の悲劇を
見てみぬふりをする事になる。というか考えられない。
*ここはフィクションのような気がします。

このふたりが生きているのがおかしいと思い
死刑囚が「キリスト教に入りました。ペン習字を習いました。
今生きている実感があります。
生きて罪を償います」とほほ笑んでいうと藤井記者は
「はァ?」
という怒りの感情が湧いてくる。
これは監督、脚本家の怒りでは無いかと思う。
この映画で、須藤順治は確かに凶悪犯罪者なのだが
その中で、
舎弟がいるのだが先生の操作で殺してしまっている所が哀れなんです。
「言いたくはないんだけどね。順次君を裏切って逃げようとしているんだよ。
金の無心に来た。勿論わたしは断ったよ」
と、先生から聞いた須藤。
須藤は「お前が裏切るなんて!」と泣きながら舎弟をハチの巣にする。
あんなに仲がよかったのに…

ママ友洗脳事件
そして映画の事件とは関係の無いのですが
「ママ友洗脳事件」の裁判が行われた事を
映画を観た後に知った。
赤堀の初めての意見陳述である。
「わたしは指示していません」
というものだった。そうなのだ。碇容疑者がいくらガリガリに痩せ細って
その息子が餓死しても、指示をしていたという確かな証拠が無ければ
今までの碇容疑者の告発は、通らない。

三上静男だってそうだったのだ。
もしかして憎さで作り話が入っているかもしれない。

新潮の記者さんの取材から見えたものは…なのですが。

碇容疑者は赤堀の忠告によって離婚をさせられた。
そして何でかなぁ、その時碇から赤堀はお金をせしめている。
その事はどうなるのだろうと思うが。

碇容疑者は犯罪者でありながら大事なものをすべて失った。

こういう事件を知るたびに思う。
その人間の大事にしているものを剥ぎ取ろうとする人間がこの世の中にいる。
私はそういう人間を特に許せないと思う。

地獄に→→→奈落に→→→→

そういう人間に呪いをかけたい。


映画『凶悪』の元ネタ→上申書殺人事件の実話が凶悪過ぎる【アンビリバボー】 | 女性のライフスタイルに関する情報メディア (cherish-media.jp)
より写真等。


追記:この映画を観て。
本当に悪かという事は、リアルな世界では実は分かりづらいものである。
須藤順次はもう
笑いながら近づいて、機嫌が良さそうだとしても、数日後は自分の命が無い
かもしれないという事が分かる人物像なのでそのままなのですが

先生役は、リリーフランキーの演技、演出が過剰に見える。
あのように歪んだ笑みで来られたら普通の人間であったら避けたくなる。
リリーフランキーさんはもうすでに普通とは違う雰囲気を持っているので
犯人役としては良いのだろうが。

一か所。死体を置く時に、まるで木材等を廃棄するような感じで日常的に
みんなに指示をしているシーンがあったが
おそらくそういう人間の態度は、最初から最後までそのような感じだったのだと思う。
だから須藤順次は、自分達は仕事をしているだけだし、言う通りにすれば
何も問題は無いと思い込んでいたのだろう。

映画として好きか好きじゃないかと聞かれれば好きでは無い。
本を読んだ方が、簡潔に伝わってくる。


ところで本物の記者の気持ちはどうなのだろうと考えると
隠された真実を自分の手で暴く事に、最も醍醐味を感じるのがルポライター
だと思う。
世界ではまだ知られていない珍しいものを見つけて歓喜する学者に近い気がする。
自分が見つけて自分が解明する。
これがしたいというのが一番なので
事件、悪、色々許せないものがあるだろうが

記者、ルポライターの最も許せない事
それは自分の書いたものを闇に葬りさられる事だと思う。

*加筆修正致しました。

コメント (4)
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エロス+虐殺 伊藤野枝と主義者 その後の日本

2022-08-26 23:38:08 | レビュー




今回、違うSNSでアップしたものを貼りました。

伊藤野枝は婦人解放運動家です。
当時では珍しい。そして自由恋愛をしていたので
世間の風当たりは強かった。
「吹けよ あれよ 風よ 嵐よ」
という言葉を遺しているので、それはどうでも構わない。
むしろその中で生きる
と思っていたのであろう。
ところで2022年9月4日BSプレミアムで
「風よ あらしよ」
というドラマが始まります。
伊藤野枝の顔と吉高由里子さんはどことなく似ている。
大杉栄役は永山栄太、辻潤役は稲垣吾郎さんです。
この事は前回のブログでも書きましたが…
私の贔屓は、辻潤です。
宮澤賢治の才能を、初めて評価したのが辻潤だそうです。


そして3時間はあるロングバージョンの映画だったので
次は後半の感想です。







※甘粕事件で惨殺された大杉栄、伊藤野枝、大杉の甥っ子6歳



※グローバル(wikiより)


新自由主義はちょっと違うのではないかと思われるかもしれないですが
国からの規制をひかえるというのは、昔とは違うと聞いたので。

アナーキズムとは、個人至上主義と同等の意味があると思うのです。

しかし大杉や野枝は差別をすべて失くしたいと思ったのでしょう。が
それは夢です。人々は何もかも平等でなんかは無く。
健康、才能と競争心の強さもそれぞれ違うので 結局頂点に立つ者は厳選される。


しかしここ数年、コロナという病気のためグローバルは裏目に出るし
停滞するのではないかという話しもあります。
日本だけでは無く世界はどうなるのでしょうね。
大杉さん、辻潤さん。

追記:映画を観て知ったのですが
伊藤野枝は女の地位確立を目指す平塚らいてうを尊敬していたのであるが
大杉と出会い感化されたのか それだけではなく階級、ブルジョアに対する
欺瞞を感じて 平塚らいてうとは袂を分かつ。

「ブルジョワが自分の私財を使い青鞜を作っている所詮お嬢様の戯れ」
のような表現も出る。(エロス+虐殺の中で)

しかし大杉はクロポトキンの思想から活動に入ったのであろうが、クロポトキンであっても裕福な家の出身である。
結局教育は裕福層の特権のひとつであるので、多くの思想家、革命家はそのような出身である。
それに資金が無いと活動は難しく、結局大杉は市子というパトロンを失い
野枝も平塚らいてうという後ろ盾を手放し歩みがいったん中断してしまった。

お金を得る行為と自分のやりたい事の正義が矛盾の音を立てていたのではないか。
階級、資本というものは存在を否定したくても難しいという事を書きたかったのです。
**大杉の件以外の話し 献金、チャリティーは合法的で良いのですが、やはり裕福な階級の人間の慈悲心によって補われる**

そういう活動家、redの方々はそれでも頑張る姿勢を崩さないようにしている…
虐げられている人間救済のために 活動する事は美しく見える。

そして更に、風や嵐に吹かれて、ふらつきそうになりながらも
立って進むまなざしや姿は、勇ましい強い生き方の見本になるので頑張って下さい。


どうも私の文章力は舌ったらずで
申し訳ないです。
コメント (8)
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Rengoku eroica - Part 1

2022-08-24 17:37:29 | レビュー
Rengoku eroica - Part 1

吉田喜重監督
「煉獄エロイカ」パート1↥
人は、自分では理解できないものに出会うと恐怖を感じる。
人間でもそうだし、
それがただの映画であっても自分の想像の
はるか上を行っているものを観ると
「怖い」もしくは「つまんない」
となって拒否をする。
そういう映画を吉田喜重さんは作っていた。
最近はほとんど映画の製作の話しを聞かない。
最も最近のでは「鏡の女たち」という映画

原爆の被害者の話しを、また難解に作っておられました。
御無事でしょうか。
ちなみに奥様は、吉田喜重監督作品でしょっちゅう主演をやっていた
岡田茉莉子さんです。
*「戒厳令」だけは違う女優さんでした。

↑二二六事件の首謀者とされた北一輝の映画を
また、前衛的に作っている。

「告白的女優論」でも、お綺麗でした。
岡田茉莉子さんもご無事でしょうか。


↑思想家として処刑された者の話し
しかしかなり前衛的。

※岡田茉莉子がやった役は伊藤野枝という日本の婦人解放運動家である。
平塚らいてうに憧れ「青鞜」で勤める。辻潤という思想家と結婚したが
大杉栄と出会い、夫を捨て大杉と暮らす。大杉も本妻がいながら次々と女と
付き合う。大杉は、それだけ魅力があったのだろう。
野枝と大杉が泊まっていた日陰茶屋という
旅館で事件が起こる。もうひとりの恋人が大杉を刺したのだ。

映画のその部分を、その女(当時新聞記者、訴えた時は議員)が観て
納得がいかずに
「上映するな」
という差し止めがあった。
そしてこの映画は、バージョン違いの物が作られた。

伊藤野枝は女性で思想家ゆえに大杉と共に処刑された人物なので
(その家の少年もまきぞえで一緒に惨殺される)のちに
ドラマ、舞台演劇のモデルにもなり、書籍でも遺された。

※ドラマは2022年に吉高由里子主演で放送されるのですね。
「風よあらしよ」というドラマ、大杉役は永山瑛太、辻潤は稲垣吾郎さん
今秋9月4日BSでやるそうです。
偶然今知ったのですが…びっくりしました。


そういえば、あまりにもインパクトのあるこの映画の題名
「エロス+虐殺」
に感化されて、私の私小説の題名に…
       ↡
「失わされた時を求めて 記憶+感覚」
「失わされた時を求めて 霧を払って見える事象+排反事象」
+をつけた事をお許しください。
コメント (4)
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マーヤーのウ"ェ―ル~坂元裕二と大島弓子

2022-08-07 18:27:42 | 日記
初恋の悪魔4回目を観たら、私は「こういう事ってありそう」という事件だったので記しておきます。

ある日道で違反行為をしている人間が、次々と被害にあった。
違反といっても、並んでいる人達を無視して前に入り込む人間だったり
傘を振り回しているサラリーマンだったり、入れてはいけない場所に
ゴミを突っ込む人。二人乗りをする学生に次々と…である。

カメラには犯人が映らないのだが
犯人から挑戦状のような動画が届く。

↑世界英雄協会
人に怪我をさせて英雄も無いだろうと思うのだが、
「悪い人間に罰をあたえて英雄と思いたい」
という気持ちの人間はいるので(だいたいはネットですが)
「ありそうだな」
と思ってしまった。
しかし「WHA」って何の略?かというと世界英雄協会の…
って協会?今起こっている○○協会の真似って事は無いのでしょうが…
偶然すぎる
と思いました。
この犯人って色々なものの真似をしているんでしょうけれど。

ところで、事件を解決する事を頼まれる鹿浜は毎回
「マーヤーのウ"ェ―ルを剥ぎ取るんだ」
と言う。
マーヤーとは何だろうと調べました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
インド哲学では、シャンカラなどにより、現実世界がマーヤー(幻影)であり、真実の世界を覆い隠しているとされ、ショーペンハウアーも『意志と表象としての世界』にて物自体である意志の単一性・本質を覆い隠している、物自体の客体である表象における数多性(個別化の原理)の説明としてマーヤーを用いている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
だ……そうです。
坂元裕二さんって賢い人だなと思っていたのですが
ミステリーで、哲学をやりたい人間だったのか……
そして、いままでもそうだったのかと思いました。

ちなみに皆さん、さっきの事件の犯人像はどういう人間だと思いますか?

今考えついたその人物像こそ、マーヤーなんだと思いますよ。


↑因みにこの立っている人間が、
事件を解決するために存在している鹿浜です。
しかし、解決しているのに今のところ良い事はいっさい
彼には無い。
可哀想……
しかし鹿浜は無類のシリアルキラー好きなのでこのボランティアを
断れないでいました。
4回目はちょっと変化がありましたが。

ところで坂元裕二さんの感じって大島弓子先生(漫画家)に似ているなと
思ってしまいました。

いつもの会話劇にしても…

鹿浜は大島弓子先生の漫画「裏庭の柵をこえて」に出てくる
子供の宿題をやるために生きるお兄さんっぽい
気がします。
鹿浜自身にも哀しいマーヤーがあるのでしょう…


そして摘木星砂は、キャラが全く違うのですが
恐怖の根源が「バナナブレッドのプティング」のイラちゃんじゃないか
と、4回目を観た時に思いました。


©大島弓子「バナナブレッドのプディング」


イラちゃんは、子供の時に恐ろしい話しをおじいちゃんに聞かされて
それ以来夜半にトイレに行くのもこわくなりお姉ちゃん依存になってしまう。
しかも繊細すぎて自分もいつかそれに食われて殺人鬼になってしまうという
妄想に取りつかれて…

つまりいつか自分では無い存在に支配されるんだ
と思いこんでいる女子高生です。
この漫画は凄いんですが、
坂元裕二さん脚本のドラマや映画を観れる人じゃないと
読んじゃいけませんよ。

それでは、また😊

コメント (15)
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