幼稚絵NJU

幼稚絵NJU(MONJU NO CHEST) ブログ

初恋の悪魔

2022-09-30 16:08:34 | レビュー

坂元裕二さん脚本でミステリー。
それは本当に解決するミステリーなんだろうかと思いながら観ていました。
「ANONE」という犯罪ものなど、視点が全然違いますからね。
あれなんかも本当に色々良かったドラマでした。

まぁ、鹿浜という刑事はどちらかというと犯罪者側に立っている
なので、推理が出来るという刑事。
子供の頃から「みんなと違って気持ち悪い」と言われる子供でした。
読書が好き。
そして犯罪者について考える時、なんかひとりじゃないという気がしていた。
「マーヤーのベールを剥ぎ取る」
のは鹿浜だけで出来そうな気がする。

何年も前から解決しているのに解決していないような気がする事件があった。
森園が引っ掛かっていた

俗にいう、まさに「腑に落ちない」事件。

死体が見つかり、容疑者はすぐさま逮捕される。
だが森園はおかしいと思っていた。

そして馬淵の兄(刑事)が死んだ。
その事件の真相を知っていそうな刑事摘木は、精神が
安定していなかった。

二重人格者
その病は「ジキルとハイド」という古典的なフィクションによって
人々の概念に「危ない人間」として固定された。
坂元裕二は、人々のその概念を見越おしてストーリーをミスリードする。

その病気は 精神不安定が強い人間が離人症のようになり、危機とともに
違う人格が現れる事があると聞く。(注意:私は素人です)

だから、二重人格だといってオセロの白と黒のように
善人と悪人が別れているわけでは無い。

視聴者はびっくりした。
摘木の別人格者は、
それはそれとして美しい女性と出会いやさしい思い出を
作っていたのだ。
それだけじゃなく、鹿浜という人間の孤独にもふれて
「大丈夫。ひとりでも生きていけるよ」
というメッセージを残す。
その別人格の星砂こそがもろい存在なのに。



⇩ここから結末を書きます観ていない人は注意
森園が腑に落ちないと思っていたその事件
それは雪松所長の息子がやっていたのだ。

最初は子供の頃、ボーイスカウトの仲間達とおもしろ半分にやっていたら
しんでしまった。お父さんは警察に勤めているのだしそれは言うだろう。
少年は父親に助けを求める。
しかしそこで父親は失敗をしてしまう。

事件をごまかすアドバイスをするのだ。

月日が経ち彼らのグループのうちひとりが秘密や罪悪感に耐えられなくなり
そして、雪松の息子がまたやってしまった。で、父親に連絡をする。
「どうしたら良い?おとうさん」
そういう事が連続して起こる。
(この時は中学生で被害者も中学生に成長していました。で、この時
の犯罪は未解決でしたが、ひとり暮らしの女の人がドラマの途中
容疑者になった。森園は疑っていたのだが、すでに病死している)

【雪松鳴人、何故あなたは犯罪をごまかすことばかり教えるの?
何故人をあやめちゃいけないという事を言わないの?】
と思うが、子供の頃のそのごまかしがバレちゃまずいんですよね。
父親が。だから息子がやっている事をどんどんごまかさなきゃ
ならなくなった。

おかげで何人か冤罪で捕まる人が出たのでした。

最初に父親のとった行動で、悪魔が育った。悪魔になった。
馬淵の兄が尊敬する雪松所長が悪魔という話しも出ますが、
父親は悩んでいますから一応人間という気がします。
息子はそうでは無い人間に育ちました。

鹿浜、摘木、馬淵の少し変わっている関係は…
数年後どうなっているのでしょうね。
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漫画「タコピーの原罪」

2022-09-29 14:14:46 | 日記
タコピーはハッピー星からやってきた生物なので、人の良い?宇宙人だ。
タコピーは壮絶ないじめを目撃する。



虐めをする人は悪い人
というのが大方の人々の意見であるし、フィクションの世界でもそこでとどまっているが
タコピーの原罪はそこで足を止まらせない。
「〇ねよ!汚物女!」
と毎日しずかに言うまりなは、普通に見て嫌な子供だ。
しかし、時々まりなも
「○○○○!」
と泣き叫ぶ。まりなは不幸の全てをしずかにぶつけていたのだ。
いじめには理由がある(現実にも必ずいじめられる側は何らかの罪を指摘され
自殺するまでいじめられる。その理由は気に入らないというものも含まれている。
性格や服の指摘だったり、いじめる側から考えての罪である。)
なので、まりなはしずかやしずかに寄り添うタコピーにとっては酷い人間なのだが
クラスでは
「しょうがないよね〜あの子の家がまりなの家のお父さんを取ったんだから。
ゲス不倫の家の子供だから」(←この台詞はないが)
という雰囲気で認知されている。
机やカバンや持ち物全てにそのような事を書かれているのだが、クラス中はそれをしょうがないものとして見て…
そして、やられているしずかも
しょうがない
というあきらめで全く抵抗をしない。
夢を持たない。
犬のチャッピーと暮らせるだけで良い
としか思わないが体も心もボロボロになっている。
ハッピーなものしか星に無かったハッピー星人タコピーにとって
人間同士のいじめは、よく理解出来ないのであった。




何かの理由で不幸になる人を見てスッキリしたい人に、おすすめ漫画です。

*noteより添付しました。後半はここではカットします。
ところで。
「何かの理由で不幸になる人を見てスッキリしたい人」
ってさぁ……まりなと同じようなものなのですよ。
幸せな人はこの漫画を読みたくないでしょう?
むしろ、幸せな世界しか知らない人は
無理に読まない方が良いかもしれません。
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漁港の肉子ちゃん

2022-09-25 18:34:51 | レビュー
漁港の肉子ちゃんは、興行的にはよく無かったそうである。
世界で賞をとりまくるアニメ会社がまた宝石のようなアニメを制作しました
とか、コピーにつけておけば良かったのにと思うが…
(世界がというと、重い腰をあげる人がいるので)
実際に今回も「スコットランド・ラブズ・アニメーション」という映画祭で
最高賞を受賞している。他にも国内で賞をとったらしい。
これからもこの作品で賞をとるのかもしれない。
監督はドラえもんの感動作他を作ったベテランの渡辺歩
原作はベストラー作家西加奈子
脚本は、凪のお暇等を書いた大島里美
作画監督はスタジオジブリ一期生小西賢
美術監督は鉄筋コンクリート等の木村真二
なので、駄作になるわけが無いのである。
これを見た人で、或るこだわりを隠せない人以外には好評である。
(こだわりが何なのか、観れば分かります)



声優陣。豪華です。キムタクさんの娘さんがオーディションなのに
なったという事で、穿った見方をする人間達に非難されたが、結局
平凡なようで繊細な声のCocomiさん起用は合っていた。

主人公は母親と船に住んでいる。
場所設定のイメージは宮城県、震災前の漁港らしい。
肉子ちゃんは朗らかだ。
「食べて寝ておならして…の毎日が良いんだよ。」
と言い、娘から顰蹙を買う。
*実は私は苦手なタイプなのですが、ドラえもんがおばさんになった
と思えば良いです…トトロ的でもありますが…
娘キクりんは学校で女子同志のこまかい争いに巻き込まれている。しかし
いじめっこグループと出かけたり、いじめられっこを気になったりする。
いじめられっこマリアとは友達だった事もあるのだ。
もうひとり気になる同級生がいる。
暗くて、口数の少ない二宮。
しかも彼はひとりの時に急に口をとがらせたり、変顔が止まらないのである。




ある日二宮がいじめられっこまりあの事をキクりんの前で
「かわいい」
と言うとキクりんはマリアの悪口を言い出す。
大きな理由は、二宮が褒めたからであろう。
そういうよくあるような態度をキクりんは学校でするのだが
一方複雑な身の上だった。
何故キクりんこと、「喜久子」という名前になったのか
観終わって想像出来る。
肉子ちゃんは過去に水商売もしていて、男にもだらしなかったりするのだが
この世界観の視点で観ればすべてが愛おしい日常に見えてくる。
性の部分も、そうだよねという気にさせてくれる。
肉子は大人になるまで喜久子を食事の面で飢えさせることなく、
愛情も、あふれるほど与えた。
そんな幸せな日常の映画である。

↓文化庁芸術祭受賞おめでとうございます。


*舞台が宮城県というのは、西加奈子さんの旅した時のイメージであって、
この映画の美術監督の意見を確かめてみたら「具体的にここだというモデルは無い」という事でした。
訂正致します🙇‍♀️
あと、Cocomiさんについての事は、誤解やデマがあるようですね。
オーディションの事も外部の人の勘違いや当て推量のようでした。
私も惑わされていました。申し訳ありません🙇‍♀️…
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「竜とそばかすの姫」そして「美女と野獣」

2022-09-25 10:50:49 | レビュー
映画の中のキャラのような独り言(私のNoteからの添付です)

「竜とそばかすの姫」を昨日観ましたが、突っ込みどころ満載でしたね…
良かったのは…歌が良かったです。

あと、ストーリーは私が思いつきそうな
一般人は名無しだと、言いたい事を無責任に言う。せっかくのバーチャルの場でもそうだという事と
あとは正義の仮面の暴力者達の目を背けたくなるような描写。
しかし後者のは、ディズニー版で1度やっているので…
そして、バーチャルの世界は夢のような世界のようで
実はちゃんと管理をされているので、あんなに竜が自分勝手だと管理会社から追い出されるだろうと思うのです。
*多くのユーザーからの恨みをかっているので、普通であったら通報される。

ディズニー(ファンタジー)のようにやるのは無理があると思いました。
ベルこと、鈴は日頃からたくさんのおばちゃん達や友達がいるのにわりと引っ込み思案ですね。
鈴が小さな時…
人助けをしたために死んでしまった母親の事がずっと許せないでいる。
「私が行くなと言うのに他人を助けるの?」と言う
そんな鈴が人助けをするのですが…
家庭内暴力に立ち入るには、鈴の力では及ばない。
あの場では親権者が1度ひるんだのかもしれないけれど、
あれでは解決できないのですよ鈴。
ゲームとは違うのだから。
あの兄弟とはあれからも連絡をとって何かアクションをして欲しいのですが…高校生なのでどこまで出きるのか。
中途半端にじゃなくて、まさに自分の母親のようにやらなくてはならない。
みんなと歌っている場合ではない。
あの後鈴達が、何もかも終わったという感じだったのでひとこと言いたかったです。
しかし、無責任な人々の描写は…
今も「竜とそばかすの姫」に対する批判が示すように

映画の中のように、変わらない。
言いたい事をみんなで言って
そして、世の中は変わらない。

あの、歌に感動してベルのファンになるというゲームは…やはり歌が良いので
ベル(鈴)というバーチャルアイドルの
MVとして見れば良いのかな。

追記:ネタバレと更にこうすれば良かったんじゃないかなというひとりの意見。


Uの世界で反則ばかりしてユーザーを傷つける竜は、現実では弟を守るために傷つく者である。Uの世界で鬱憤を晴らしているのは確かだ。
ユーザー達が怒っているのだが、ベルの目には傷ついた野獣に見える。
美女と野獣のベルのキャラになったかのような鈴なので気がつく存在だ。
ただの悪いモンスターとは思わない。
そして中の人も苦しんでいるんじゃないかと胸騒ぎをする。
現実では、竜を苦しめる存在がいた事が分かる。
(弟キャラは、良かった。しかし弟キャラは普通の人間とは感性が違うようである。長年の家庭内暴力で病気になったのか生まれつきなのか分からないが、治療が絶対に必要である。兄もそうですが)
あと、Uの世界で弟キャラを薔薇にすれば良かったのではないかなと思った。
ところで現実では、多分あのままだと
親権者は兄弟からパソコンをもう二度と出来ないようにさせて、家族で姿をくらませるはずである。
なのであの後にリアル世界でもっと素早くおばさん達が行動をしなければならない。
だとしても兄弟は施設に行くだろう。

バーチャルの世界では暴れているのに「助けて欲しい、気づいて欲しい」と思っていた兄はリアルでは盾になるだけだったので…

あの後が本当に気になってしょうがないので、
もっと後日談をちゃんとやって欲しかった。
あと、鈴は母親が人助けをして命を落としている。その事で最後に母親の事をまた考えて

「お母さん、私は私を犠牲にしても人を助けたいという気持ちになりました。お母さん、分かったよ」というひとことを入れて欲しかった。

ようするに、
私は結構真剣にこのアニメを観ていたという事なのでこのような失礼な意見をお許し願いたいです…


↓所で、ディズニーの画像です。
ディズニーも、すでに存在している物語を改ざんしているので色々問題はありますが
映像としてこちらのものから細田監督はさらにCGを使い上書きをして
映画にしているので
映像的にはこちらがオリジナリティがある。
なので「竜とそばかすの姫」のファンは、この映画も観た方が良い。


ディズニーアニメーション「美女と野獣」MovieNEX/予告編

あと、私は小さなころからこの話しの元の本を持っていて、ボロボロに
なるほど読んでいました。(今は失っている)
グリム童話とアンデルセン物語はほとんど知っている中で
好きな話しなので色々言いたくなっています…。

美女と野獣の元ネタ
ベルの家族の父親は商人です。
ある日また遠くに行く事になった。
その時に娘たちに土産ものを持って帰るので何が欲しいのか聞く。
姉達は贅沢なものをリクエストするのだが、優しいベルだけは
父親の無事を願う(昔話でよくある現象で、姉達は傲慢で妹は無欲で優しい)
しかしベルをもっとも愛する父親は何か無いかと更に尋ねると
「では花を1本」と言う。
そして父親は姉達よりお金のかからない簡素なねだりものだったはずの
薔薇を、よりよって野獣の棲む大きな屋敷の庭から
手折ってしまったのだ。野獣にとってそれは許せない事だった。
  ~略~
父親の身が危ない事をベルは知り、自分が野獣に囚われる決心をする。
そして野獣とふたりで暮らす。
野獣はさほど怖い存在では無かった。
ベルが家の事が気になり帰りたいと言うと帰らせてくれた。
しかし土産に手鏡を持たされる。
家に帰り家族との再会を喜ぶベル。しかし夜、ベルが
鏡を見るとおどろく事に野獣が哀しむ姿が写し出された。
「あの人はたったひとりで苦しんでいます」
ベルは家を出て野獣の屋敷に、ひとり向かう。
野獣は薔薇を愛するひとりぼっちの呪いをかけられた王子だった。

原本では、野獣を排除しようとする人間は一人も出てこなかったという
記憶があります。もしかすると、これも若干違うかもしれないので、
気になる方は、原本もぜひ読んで下さい。

ところで
「竜とそばかすの姫」は、シンデレラも入っているのかな?
しかしその話しも入れると長くなるので省きます。
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辻潤とは~ただし多面的な相のうちの一部分のみである

2022-09-23 17:07:46 | 日記
野枝が出ていけば
「可哀そうに捨てられて」
と周りから同情されて生きていた辻潤。
現代になってもあの伊藤野枝に捨てられた夫でしょう?
というような認識しかされない。
だが彼は自分に嘘がつけず
文壇で好きな事を書き狂い、文化人名簿から外された。

ところで辻潤がテーブルに乗りくわっくわっと言ったという有名エピソード
がある。その目撃情報である。

↑三人の会とスカラー・ジプシー 岡本潤(読みずらいです)

いわゆる集会で、一触即発の騒ぎになった時に辻潤がこの奇妙な行動をとった…そして騒ぎは静まったらしい。
「彼独自の意思表示かもしれない」と岡本潤氏が書いている。

 もしかしたら場の高揚と酔った勢いが重なった結果
そうなっただけかもしれないが…
岡本潤は、辻潤おもしろいやつという感じで交流をする。

また、斉藤昌三が辻潤の事を「聖者の出来損ない」と言っていたらしいが
辻潤は「癡人の独語」という随筆で
「それは贔屓の引き倒しというものでまことに微苦笑ものである。
尤も「聖者」も見方によれば一種の変質者であり狂人でもある。
私の場合には於いてはもはや改めて説明の必要のない程正札つきなのである」
と書いている。
自分は聖者っぽく見えるかもしれないけれど聖者ってものはね~~~
だから自分も、そうも見えるんだろうという言い方である。
注:この後も辻の言葉は続きますが省略します。

尚この文を斎藤昌三が知り今度は
「生ける遺書」かと言ったところ
「ひでえこというな、然しまあそうかもしれない」
と辻潤が笑ったそうである。


天狗騒動について



↑本人は「貧困と過度の飲酒によるものだ」と回想をする。

その日の事を覚えている知人がいて、本に寄稿していた。
「辻さんと水酒」という章だ。
その日いつものように
片柳忠男という知人宅に辻が現れた。
辻潤は持ってきたひょうたんを見せ、
「片柳君、すばらしい酒を飲ませてやろうと思うんだ…
これはね、天狗様に頂いたお酒だよ」
と言い辻潤が飲み、片柳氏の杯にそそぐので飲んでみた。
するとそれは酒なんかではなく水だった。
「これは水ですよ」
と片柳氏は言ったのだが、辻潤はひょうたんの水を最後まで飲み
満足そうに帰ってしまった。
片柳氏は「いったい何の冗談なんだ」と思ったが
その10分後に辻の息子のまこと?が走って来たらしい。
(まことか別の家人かもしれないが、そこだけ記憶が曖昧らしい)
そして現場に行くともう辻潤は道路にうずくまり何やら大声を張り上げていた。
二階から辻潤が飛び降りたと家人が言うのである。


「辻潤との思い出」  玉生清(小川きよ)
にその間の出来事が書いてあった。

雨の降る夜。酔った辻潤が清さんのいる家に来た。
2~3日ぶりで辻潤は帰ってきて
トイレに入り手を洗い…急にウオッと叫び外に走り去り・・・
10分ほどしたらまた入ってきて二階に上がる。そして
「いつもより狂暴に唇を求め」
「彼は私の首を絞めつけようとするのです」
なので怖くなった清さんは階下に逃げる。
すると、
「俺は天狗になったぞ」
というどなり声がして辻潤は飛び降りた。
道路に出ると「酒を飲ませろ」と辻潤がなお怒鳴り続けるのであった。

「古谷栄一様は佯狂じゃないかと思うとおっしゃいますがお酒浸りが結局
頭脳の調子を狂わせたのではないかと思われます。
なにしろ〇チガイ水ですから」
と清さんは回想する。
佯狂とは、狂人の真似事で本当は正常という意味です。
当時の愛人、清もそういうのだからそうなのでしょう と思います。
戦前の治療はどうなっているのか分からないが
辻潤は北杜夫の父である斎藤茂吉のいる病院で診てもらったそうである…


晩年は病院に入ったり、出ては僧の恰好をして放浪していた
のだそうである。

ところで辻潤の息子さんがやはりこの本に寄稿している。

「世間並にいえばみじめな晩年だった。しかし本当にそうなのか?
私の知るかぎりの日本人のなかでたった一人、一人の人間としてけっして
負けなかった人間だった。彼の死は、一つの魂の勝利だったと感じている。
               辻まこと」

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「風よあらしよ」のドラマ版2 よいところ残念なところ

2022-09-23 15:12:28 | 日記
🙇‍♀️⇩自分のNoteからコピペです。

女はみんなに決められた事を文句も言わずに従えば幸せになるんだよという
押し付けの文化に抵抗したひとりの女の抵抗物語として見れば最高に良かった事です。

死ぬ間際にあそこまで言いきるなど……
相手は武器を持ってるのですからね?
人数だって相手の方が多い。
(ドラマでは、甘粕と1対1なのですが、部下はいるんですよ。
しかもあのおじさんに普通の男だったら、口答えさえ出来ないでしょう…)
もう、負けるに決まってるのだ。
その場であの魂からの叫びは、見ている者をドキドキさせる勇ましさを感じる。
実際に伊藤野枝は、内務大臣に「あなたは」「あなたは」と、直訴状に書き
罪の無い夫を返して下さいという無鉄砲な事をやっている
↓という事は、記念館に残されている手紙で分かっている。

©️後藤新平記念館 所蔵品より


負けん気の強さ。
絶対に風の中、嵐の中で立ってやるという野枝の意気込みが画面から伝わってきた。



辻潤について


ところで…辻潤は…なにもしない男として…
ドラマで終わってしまった事は残念な事に思う。
辻潤は、極貧ゆえに中学に通えず中退をし
それでも尺八と語学を学び
学習能力が高かったのだろう。
一般的な学校には行かずに英語を習得し、
次いでフランス語、ドイツ語を学んだ。
そして日本では貴重な海外の本を次々と翻訳する。
辻潤は翻訳家としての仕事が本業だった。
英語が出来るので学校の教師や家庭教師はやっていましたが…
これはうまくいかなかった。

❬辻潤年表 「ニヒリストー辻潤の思想と生涯」より❭

↑ 野枝は産まれたばかりの子供は連れて出ていった。
(しかし、里子に出している)
辻はよく、残された息子まことを連れて友人と飲みに行った。
後に、小島きよという女性と出会い同棲をする。最後の恋人は松尾とし子という女性。



そして辻潤は朝日、読売、雑誌数社に頼まれて随筆も書いている。
随筆は、世の中に迎合せず牽制するような茶化すような、更に自虐的な内容だった。
スティルナー的唯一論から老子の虚無、親鸞で更に思想を深める。
全国に辻潤ファンはいる。

大杉は正義のヒーローとして輝かしく生きてそしてあっさり死んでしまった。
ヒーローらしい生き方だ。

だが、辻潤の生き方は違った。
だが、だからといって大杉とは違い情けないやつだとは言えない反骨の物書きだったのだ。

戦争前に読売の特派員としてパリに行き仕事をしている。(Wikipediaではそのような説明が無かった)
そしてそこで日本の文化の良さに急に気がつき、
そういう意味で洋行して良かったと辻潤は言っている。
そして日本では、独裁者と組んで戦争をする愚かさを戦前から文筆で訴えている。
また、ブルジョアを貶す一方、プロレタリアの事も非難していたりする。
そこが大杉達とは違う
辻潤の哀切さがある。
*そんな辻潤も実は大杉栄のように
思想警察から尋問を何度もされているのだが
大杉のような真面目な応答など最初からするつもりは無く
「僕は〇〇主義だ」とふざけて「なんだこいつ、ただの〇〇か」
と思われ連行はされなかったそうだ。
→〇〇は、本を買って読めば分かる事です。


ドラマのあの辻潤像は、あまりにも可哀想だなと思いました。

追記:ニヒリストというと、現在でいえばドラマの感じのイメージなのかと
思いますが、文章は世の中の人々がびっくりするほど辛辣だったりするのに
普段の辻潤はユーモラスで温厚だったそうだ。
←悪酔いしていない場合。

それに飲み友達は何人もいて、そういう人達に…
辻潤は酒を奢ってもらっていたそうです。
神近市子の家にもふらっと下着姿で訪れ
「変な人が来た!」
と子供達に囲まれ騒がれ、気づいた神近市子は子供を叱ったそうです。
で、何なのかと思ったら「酒をくれないか」という事で市子は
酒やつまみをあげたそうです。

そして市子は「心で涙を飲んで」と思いながら「辻潤は職業につこうとしなかった」「この不幸な(辻潤)」
とか最後まで決めつけて書いている。
そういうところが何か…
野枝に敗れた理由のような気がするが
大杉についていたら、市子のその後の安定した暮らしは無かったと思うので
良かったですね…ちなみに刑期が終わり結婚をして子供も何人かお産みに
なって議員さんにもなっている。
辻が愚行と書くような人生なのですが
一方でまた、辻は個人の形而上的自由は最も重要で
思想、宗教全てひとりひとりが好きに
唯一無二としてやって行けば良いという
おおらかな思想でもあるので、それはそれで良いのでしょう。

辻潤が虱に喰われ餓死した事のみがWikipediaに載っておりますが
当時日本は敗戦色が漂う戦時中
(九ヵ月後に戦争が終わる1944年11月24日)
ほとんどの人間が食うや食わずで生きていた。
餓死なんて日常的にある絶望の時代である。
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関東大震災

2022-09-20 11:06:33 | 日記





↓頁を飛ばしますが、地震が起こって何日にその流言飛語が発生したのか
割り出しています。
*全部で100ページはあるのですが、詳しく知りたい方は読んでみて下さい。

また、在郷軍人、警察機構、政府の関与も指摘しているので、前ページの1文を
削除しました。
*この論文が真実ならば、やった事を喜々として当時の警察に報告しても
不思議ではない。

だが、騒動が静まるとともに この件に加わった人間は口をつぐみ
禁句とされた場所もある。
本当にあった精細な事はどんどん闇に消えてしまうのかもしれない。

大杉栄や野枝は有名な人物ゆえに虐殺された痛ましさが後世にまで残ったが
あった事について何も訴える事が出来ず、死して尚誰からも顧みられる事も無い人間の数は多いのだろう。

辻潤はそういう人間の愚かさを知り「絶望の書」等を書いたり
あのような人生を歩んだのだと思います。
後に辻潤についての文を書きたいと思います。
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「風よあらしよ」の ドラマ版の感想

2022-09-19 17:33:40 | レビュー
*大杉栄とその子供摩子(永山栄太と加藤柚凪ちゃん)

↓私のインスタから貼りました。

 ふたりは短い人生とはいえ濃密な日々だった。
 他の脇役も、ちょっと出るための人間では無く、一般人とは違う人生を
 歩んだ。
 なのに、有名な話しを後日談と済ませてまでやりたかった事は、ドラマ
 最終回の特に半分あたりから。
 そう、関東大震災が起こってからの話しである。




関東大震災が起こって間もなくデマが飛んだ。
流言の内容はここでは書かないが日本人の命が危ないという事で
外国人(主に朝鮮人)狩りが普通の人々によって行われた。
文献によると、彼らは発音の悪い人間や天皇の名前を言えない人間を見つけては
虐殺をし、当時の警察に報告をして
「で、ご褒美はいかほどですか」という一般人が
溢れていたそうである(嘘だと思うなら確かな文献を調べて下さい)

被害者の中には田舎からきて、うまく発音を出来なかった者もいたという。
この件は、映画「もどり川」でもう少し長めに描いている。
主演は萩原健一さんです。
ドラマではそのシーンは数分あるのみですが、大杉一家以外にも
虐殺された人間は多くいたので、書き足しました。

今朝私は、この事について検索をしていました。
そしてその中から、これは相当調べているなと思う人の論文を見つけました。
当時の警察や役所の書類等から考察をしています。
気になった方は検索→ダウンロードをしてこの論文を読んでみて下さい。↓



そしてドラマは、大杉栄と野枝達が捕まってからスポットライトを浴
びたような作りになっていた。
野枝と小さい少年はふたりで、別部屋に連れていかれた大杉を待っていたのが
真実のようである。そこで確かに梨を最後に食べていたと。
野枝もきっとその時は何の罪も無い女子供まで暗殺されるなんて
不条理すぎて考えられなかったのだろう。
しかしその後、怒りぎみに甘粕に受け答えていたようである。

「淫売」
などと甘粕に言われればカッとなるだろう。
このようにドラマ版ではなっているのですが、野枝は世間的にも
実際そのように罵られていた。

その前にも野枝は大杉が公務執行妨害で捕まった時に内務大臣に何メートルもの長さの直訴状を書いている。
それは喧嘩腰だった。
多分その直訴状を元に野枝のあの問題の台詞を作り上げたのではないかと
思うのだが。
 ております。

後藤新平記念館
この資料は岩手県奥州市に在るそうです。

「吹けよ あれよ 風よ 嵐よ」
と井戸の中から死んでも野枝は呟く。
魂から発するような言葉は
何が来ても決して負けはしないという本来の決意表明の意味と重なり
視聴者の心に野枝の無念さをも伝えているようであった。

吉高由里子さんはまるで野枝にのりうつられたように演じていて
迫真の演技でした。
そして永山栄太さんも、最初は似てないと思いながら見てしまいましたが
アナーキズムのスターの風格を帯び、良かったかもと思いました。
稲垣吾郎さんも、私の推しの役を演じてくれてありがとうございました。
加藤柚凪さんもあどけない魔子の役、ご苦労様でした。
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映画革命 ゴダール追悼

2022-09-14 11:35:37 | 日記
ゴダールは「勝手にしやがれ」で、映画革命を起こした。
  そして
世界中の映画監督はゴダールを意識せずにはいられなかった。



そして気狂いピエロではさらに美しくさらにぶざまに
男の生きざまを撮る。

↓私のインスタからの添付です。


※今回短いですが、後でまたこの項で加筆修正をするかもしれませんし、
しないかもしれません😅
それでは、また。
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辻潤~大杉栄や野枝の単に脇役の小人物ではない、唯一絶後の者

2022-09-14 10:56:53 | 日記
以前に辻潤の本を立ち読みして、その時は高くて買えなかったのだけれど
今回とうとう買ってしまいました。1800円でした。


唯一絶後(分かりやすく言うと後にも先にも無いという事ですよ)

プロローグを読むと、最近のドラマについて
なんか言っているように読み取れますが昭和42年の本です。


↑パソコンのマウスで抑えております。
本に申し訳ないですね。


続いて目次を載せておきます。
余計な表示がありますが、自分のインスタからの画像なので。
あと、欠けている項があると思いますが、だいたいこういう内容です。






*ちなみに辻潤は、伊藤野枝の他にも女の人とのお付き合いが
あったそうです。
今2章しか読んでいないので詳しい話しはまた。

コメント (5)
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