WILD THINK

ラテン楽団「Orquesta de WILD THINK」のバンマスが、日々思うことをダブワイズ

アリとキリギリス

2010年12月10日 | 野生考
夏場、アリはせくせく働き、キリギリスはひがな一日、唄を歌い道楽三昧。
冬場になるとキリギリスは道楽のつけがまわり、困窮しました。
一方アリは夏場にせっせとため込んだ食料で悠々自適に過ごしました。
キリギリスをあわれに思ったアリは食べ物を分け与えました。
「ありがとう。ぼくも心を入れ替え、一生懸命はたらきます。」

しかし、翌年もキリギリスは相変わらず唄に興じる毎日でいっこうに働きませんでした。
案の定、冬がやってくると、キリギリスは困窮し、アリに施しを受けることに。
その場では深く反省し生活を改める決意をするキリギリスですが、翌年も結局、ろくに働きもしないで、冬場になるとアリから施しを受けることになるのです。


ところで、キリギリスは毎年、施しを受けた返礼として、唄を歌うことがいつのまにか例年の慣わしとなっておりました。

そうした関係が何年も続く中、キリギリスの唄が年を重ねるごとに味わい深く、滋味深いものに変化していくのです。
それは、現代言うところのブルース、サウダージ、スワーベ、はたまたスピリチュアルと言ったところでありました。

もちろん当初、アリの中には社会不適合者に施しを与えるのは、けしからんと訴える輩も大勢おりましたが、10年20年と年を重ねるにつれ、そのようなことをいう輩は誰ひとりいませんようになりました。
むしろ、キリギリスの唄を毎年の暮れに楽しみにしながら、アリ達は夏場の重労働に励むようになりました。

そうして、50年60年経ち、初めてキリギリスへ施しを与えたアリ達は亡くなった後もキリギリスは生き続け、アリの孫達からは次第にキリギリスを神とあがみ奉るようになりました。そして年の暮れの歌唄いは神事となりました。

これが紅白歌合戦の御由緒で
ございます。


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