コロンブスは黄金の国ジパングを目指し、サンタマリア号に乗り、いろいろな苦労を経て、ついにジパングにたどり着きました。
「やったー、ジパングに着いたぞ」
コロンブスは喜び勇んで、碇を下ろし、ジパングへ上陸、そこは文字通り黄金の国だったのです。
街中の家は柱から壁から屋根から何まで黄金でできており、庶民は金糸の着物を着、箸も茶碗も湯飲みも黄金、んでもって金箔まぶした黄金餅を食べるのです。
おまけに犬小屋も豚小屋も猫の爪研ぎもコオロギの虫カゴも黄金なのでした。
それもそのはず、ジパングでは地面を鍬でもって少し堀りさえすれば、分厚い金脈にいとも簡単にぶち当たるのです。
ていうか、掘るまでもなく、川に流れる砂はすべて砂金で、浜辺の砂浜なんざ、ことごとく砂金で埋めつくされておるのです。
「やったー、これで私も大金持ちやー」
コロンブスは大層喜び、ジパングの王様に、金を分けて欲しいと談判しました。
王様は「こんなものが欲しいのか、お前も物好きなやつじゃ、いくらでも持ってくがよい。」と、快く承知しました。
コロンブスはサンタマリア号にしこたま黄金を詰め込んで母国ポルトガルに帰りました。
こうしてジパングより黄金を持ち帰ったコロンブスはたちまち国の英雄となり、やがて、ポルトガルとジパングの航路が確立され、ただ同然で大量の黄金を手に入れるようになったのです。
それからしばらくすると、ジパングからのただ同然の黄金がとめどなくくまなく欧羅巴中に行き渡るようになりました。すると今度はこっちの国中黄金だらけになり、黄金はがらくた同然の価値になってしまいました。
そうしたいきさつから、今ではコロンブスは、海の向こうの土人の国から大量のゴミを持ち込んできた迷惑なやつ、として歴史に刻まれることになったのでした。
余計なことをする人、無駄なことしかしない人、意味のないものを掴まされる人のことを揶揄してよく「コロンブス」とか「キンタマリア」と言いますが、かようなご由緒によるものであったのです。
どっとはらい。