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地域施設計画研究40 2022年7月日本建築学会
建築計画委員会 施設計画運営委員会 地域施設計画小委員会
Regional Community Facilities Planning and Design, AIJ, Vol.40, Jul., 2022
・・以下検索用文字列…
1/10 事例紹介Website「PROJECTS'CATA-LOG」の利便性向上のための 利用実態・実証調査 Survey of usage and user verification to improve the usefulness of the case study website "PROJECTS’CATA-LOG" Keywords : Welfare origin type symbiotic community , Website , Hashtag , Case study website キーワード:福祉起点型共生コミュニティ,Website,ハッシュタグ,事例紹介Website While various efforts are being made to correct many social problems in Japan , a website "PROJECTS'CATA-LOG" that allows users to search for case studies across facility types has been launched, and based on the previous report, it has been developed and operated. The goal of this project is to create a website that is both convenient and professional, based on a survey of the actual situation and demonstration of use through questionnaires to users and analysis of website usage, and by extracting points of dissatisfaction from problems in maintenance and operation. ○加藤瑞基*,山田あすか**,村川真紀*** Mizuki KATO and Asuka YAMADA and Maki MURAKAWA 1.研究背景 1.1 社会的背景 日本は現在,少子・超高齢化や貧困問題など様々な 社会問題を抱えており,これらの問題を解消するため に「生涯活躍のまち(旧日本版CCRC)1)」や「スマー トウェルネス住宅(国交省)2)」,その後継の「人生 100 年時代を支える住まい環境整備モデル(同)3)」 などの支援事業や取組が各省庁で行われている。これ らは加速する社会変化と共に多数同時並行的に展開さ れ,また短期間のうちに新たな取り組みに移り変わっ ていくというめまぐるしい状況にある。これらの取組 は相互に知見を援用可能と思われる事例も多く,個別 の事例ごとの既往研究がある。一方で,制度を超えた 事例や課題の整理は行われておらず,統一的視点での 総覧や検証が困難である。また,多様な機能と連携し た具体的な整備方法は十分に整理されていない。これ らより,今後,各地で興る新たな取組みや建築計画で は,多世代の利用者を想定した施設種別の横断・連携 や機能を複合化した施設・拠点の整備を重要視する場 面が増えると考えられる。 1.2 事例データベースのWebsite 公開の経緯 これらに関わる・興味を持つ・利用v する,研究者 や建築業関係者,建築初学者,施設運営者,自治体, 施設利用を考えている人(以下閲覧者と表記)に向け た,施設や拠点についての見学・ヒアリングレポート 記事や関連する情報サイトなどを集約した情報提供プ ラットフォームが有効と考え注1,医療・福祉・教育 等の施設/拠点の事例を紹介するWebsite「Projects’ CATA-Log(以下Website と表記)注2」を2021 年3 月に公開した(図1)。 このWebsite は,事例に関する見学・ヒアリング レポート注3などを共有できる,web によるオープン * 東京電機大学大学院未来科学研究科建築学専攻 ** 東京電機大学未来科学部建築学科 教授・博士( 工学) *** 東京電機大学未来科学部建築学科 研究員・博士( 工学) * Graduate Student, Science and Technology for Future Life, Tokyo Denki Univ. ** Prof., Dept.of Architecture, Faculty of School of Science and Technology for Future Life, Tokyo denki Univ., Dr.eng. *** Researcher, Dept.of Architecture, School of Science and Technology for Future Life, Tokyo Denki University, Dr.Eng. 地域施設計画研究40 2022年7月 日本建築学会 建築計画委員会 施設計画運営委員会 地域施設計画小委員会 Regional Community Facilities Planning and Design, AIJ, Vol.40, Jul., 2022 − 121 − 2/10 プラットフォームである。筆者らの研究グループに蓄 積された事例情報や事例見学レポートなどをオープン データベース化し,これに学会委員会などの協賛を得 て広く情報を収集・更新可能な仕組みとすることで, 従前は研究者などに個別に蓄積されていた見学・ヒア リングレポートなどの情報を共有可能なオープンプ ラットフォームを作り上げた。こうした,web による 各分野の事例収集・紹介・共有の仕組みには,アーキ 事例の収集 「福祉起点型共生コミュニティ」と その拠点施設を,潜在的な該当事 例を含めて広く収集する。 手法) ○各種モデル事業の文献調査 ○現地調査と資料収集,周辺調査 ○連携/ 関連する自治体へのヒア リング調査,文献・資料収集 データベースの作成 地域,機能,建築形態 など検索可能Website 形式のデータベースを 作成し、随時公開する。 自治体や事業者への情 報シェアとさらなる情 報集約と議論のプラッ トフォームとなること を期待する。 情報発信と社会実装 内容)地域特性や地 域・住民ニーズに応 じた検討材料さらな る情報集約と議論の 土壌としてWebsite をなどで広く公開す る。 プロジェクトの事前状況と準備プロジェクトの目的 収集している事例の例 サービス拠点, 共有施設サービス拠点 既存集合住宅 物販・入浴・飲食事業 コミュニティ の醸成 観光・ 移住 生活+介護施設 地域住民の利用 地域密着型 介護施設 生活関連 施設 医療施設 移動 通所・訪問 介護・生活支援事業 地方/ 郊外での 独立集落新築型 都市/ 郊外での 既存集合住宅改修型 郊外/ 地方/ 辺縁 での地域資源連携型 郊外/ 地方/ 辺縁 での福祉拠点設立型 図1 収集してきた事例とWebsite プロジェクトへのフロー ②ひとと活動事例先の対象者とその活動フレームを選択 ③ハッシュタグ 個々の事例の特徴,援用可能な要素を示す項目から選択 ①マップ地図内に表示される事例の種類で分けた事例のピンから選択 α:マップからさがすの実装及び凡例追加 地域を構成する公共の福祉10 分類から各事例の大枠 ④事例の種類 となる施設/ 取組みの種別を選択 ⑤具体的な機能事例先が取り組む活動やサービスの名称を選択 ⑥所在地 事例の所在地を都道府県単位で選択 ⑦キーワード 事例の名称等のテキストによるサイト内検索 サイトの利用実態調査 事例種別ではなく横断的 に類似する事例を紹介 事例の種類が類似する 取り組みの紹介 事例の詳細情報の紹介 援用可能な要素の紹介 検索ページ 事例閲覧ページ 検索時の指標 選択内容 事例閲覧ページへの掲載内容 ねらい website の構成 既出指標導入指標 γ:該当事例数表示 ②〜⑦を任意選択 ⑧条件から探す 所属, サイトを知った経緯, 興味のある分野やキーワード δ:モニターアンケート追加 ハッシュタグの組み合わせが類似する他事例の表示 C 類似する事例の紹介 事例の公式HP や国が公表する政策別の資料へのURL リンク B 関連サイトへのリンク β:表示位置やデザインの変更 事例先での利用者/ スタッフの様子や建築の使われ方について 記録した見学・ヒアリング時の情報からレポートを作成 A 事例見学レポート 表1 Website の構成概要 γ ⑦ ② ① ③ ⑧ ① ⑦ ⑥ ② ④ ⑤ ③ ① ⑧ ⑥ ④ ⑤ ③ A B C β α トップページ検索ページ:条件から探す 検索結果ページ 検索結果ページ事例詳細ページ 図2 構成したWebsite 画面と検索指標/ 掲載内容の具体的な箇所/ 追加・修正 テクチャフォート4)やソトノバ5),環境づくりのリゾー ムサイト6),7)などの事例があり,それぞれのテーマ に興味関心のある人々の情報拠有やネットワーク的な 関係構築に寄与している。 前報8)では,当Website の目的である,経験や知識 の差を超えて多様な事例にアプローチを可能とする横 断的な検索システム構築や,事例の分類などをはじめ とするWebsite の構築について述べた(表1)。また, 公開後に実施したモニターアンケートによる利用実態 調査から,Website の挙動やデザインの不満点を抽出 し,検索時の該当事例数の表示や選択項目の詳細な分 類などの改善案を整理した。 1.3 研究の目的 本稿では,前報の結果ならびにシンポジウム・学会 から得た意見などから,Website への事例の追加や利 便性・操作性向上のための整備・改修を行いつつ,事 例やハッシュタグの追加を行い,事例紹介サイトとし ての機能向上と内容の充実を図った。本研究では,2 章でWebsite の前報から追加・改善した内容を示し, 3章以降では,Website の利用者アンケート調査や Website 利用状況の抽出により,検索システムの利用 − 122 − 3/10 率やWebsite の検索システム自体の使いやすさの検証, Website 利用状況の抽出により利用実態を掴むことで, Website の整備・改善内容を検討し,今後の整備方針 を報告する。 2.Website の追加・改善内容と取り組み 2.1 追加した機能と改善内容 以下に,前報にて実施された2020 年12 月時点か らの2020 年度モニターアンケート(以下2020 年度 アンケートと表記)やシンポジウム・学会から得た意 見を元に,実装・修正したWebsite の改善点と追加機 能を示す(図2)。主に,α:「マップからさがす」機 能の追加/β:関連リンクの表示位置やデザインの変 更/γ:詳細検索時の該当事例数表示の3つの実装・ 修正によりWebsite の利便性の向上を目指した。以下 に詳細を記す。 α:「マップからさがす」機能の追加 地図情報(Google マップ)上に事例の所在地をピン で示し,地図上から直感的に事例を探せる「マップか らさがす」機能を実装した。マップピンは事例の種類 (10 種類)ごとに色分けし,階層(レイヤー)のチェッ クで事例の種類ごとに表示・非表示の設定ができる。 ピンの選択時には事例詳細情報(事例名称・事例ナン バー・事例の種類・参考URL など)を表示した。また, 前報から,「マップからさがす」利用時の事例の種類 とマップピンの色の対応がわかりづらいという指摘が あったため,同ページ内に常時参照できる凡例を追加 した。 β:関連リンクの表示位置やデザインの変更 関連リンク注4は,各事例のWebsite や各行政庁の事 例集へのリンクを掲載し,ハッシュタグが類似する取 り組みを紹介している。2020 年度アンケートでの結 果から,「レポートPDF で事例紹介ページが終わった と感じた」などの関連リンクの表記内容やデザインに ついての不満点が指摘された。そのため,関連リンク の表示位置を認識しやすくするため,表示名や表示範 囲,フォント,背景色を変更し,閲覧者が関連リンク を認識しやすいデザインに変更した。 γ:詳細検索時の該当事例数表示 前報での結果をもとに,詳細検索時に選択した条件 に該当する事例数を表示する機能を実装した。検索シ ステム「条件からさがす」において,検索実行ボタン の左側に選択に応じて,該当事例数を表示する。閲覧 者の絞り込み検索時の該当事例数を文字や閲覧ページ と検索ページの行き来で理解させるのではなく,「条件 からさがす」ページで完結させることで,絞り込みの ための理解度を高めると同時に安定した検索結果数を 反映し,事例閲覧・発見の機会の増加を狙う。 2.2 Website 運営に関する取り組み Website の運営の取り組みとして,各施設の情報を まとめた事例データベース(以下DB と表記)の管理 やWebsite の認知拡大に向けた広報活動を行った。 1)事例情報のDB 管理 Website に掲載する事例情報の保守・追加・更新の ためのDB 管理では,過去の見学情報や論文,情報サ イトからWebsite に掲載する事例を取り上げ,過去の 見学レポートや文献調査から得られた情報を元に,DB へ事例の種類や所在地などの事例情報を追加・更新し た。また,筆者らの研究室が用意したテンプレートを 使用し,事例の詳細な情報を記した事例レポートを作 成した。その後,各事例に掲載許可願い/見学レポー トを送付,Website への掲載許可を取得し,Website 事例情報を反映,事例レポートを掲載した。 これらのDB 管理作業の中で,以下の課題がみられ た。 2)同時作業時可能なプラットフォームの準備 DB への事例情報の追加・更新作業やWebsite への 事例情報の反映作業時では,事例情報の多さから複数 人での作業が求められた。その際に,同時作業の際の 最新情報の共有ずれや更新作業の競合によるデータの 消失が問題として浮上した。そのため,同時作業が可 能なプラットフォームの準備が必要であると考えられ た。 3)掲載許可願い提出のタイミング 本Website は各施設が情勢や政策の中で,どのよう な施設が建てられてきたかという情報の保全・共有を 目的のひとつとし,各施設への掲載許可では過去の見 学資料から情報を得た施設に,現在の施設と異なった 情報が記載している見学レポートの掲載許可を出す場 合があった。その際,運営側スタッフの異動などで掲 載許可を得づらく,これ以降「そもそも公開/共有を 前提に」見学時点で掲載許可を願い出るような前提条 件の転換が必要であると考えられた。事例運営者側も, 情報公開についての考え方は従前と異なってきてお り,公共事業においてはその透明性が,民間事業にお いては情報発信による宣伝効果が重視されている。こ − 123 − 4/10 うした観点からは必ずしも同意を得られるわけではな く,また限定公開などの制限が必要な場合も想定され るにせよ,成果や知見は極力オープンに,シェアして いく姿勢が前提となっていく方向性が望ましい。 4)認知拡大に向けた広告活動 新規事例の情報提供先の拡大やWebsite の様々な利 用者への周知と普及のための広報活動では,建築学会 のシンポジウムや学会大会,大学のオープンキャンパ ス,施設訪問時の説明などで随時紹介を行い,また関 係者へのメールでの告知やSNS 上,QR コードを記載 した紙媒体のチラシの配布などを実施した。 3.調査概要 本研究では,Website の整備/運営と共に,前報と 同様,研究者や学生,建築従事者などを対象にした利 用実証調査とWebsite 利用者を対象にした利用実態調 査を行った。 調査開始時のWebsite の構成と状況を図3に示す。 総事例数は1216 件となり,各事例詳細ページに「A: 事例見学レポート」150 件,「B:事例のWebsite や 省庁の事例集のリンク」1107 件表示している。また, 総事例数のうち,各属性の付与事例数は,「②ひとと活 動」572 件,「③ハッシュタグ」615 件,「④事例の種類」 1216 件,「⑤具体的な機能」984 件であった。 3.1 利用実証調査の概要 改修後,2021 年冬時点のWebsite の利便性を検証 するため,建築を学ぶ学生・研究者や建築業従事者を 対象に利用実証調査を行った(表2)。調査方法は,モ ニターアンケート方式とし,前報で実施された2020 年度アンケートと同様に,回答者に検索する事例と検 索プロセスを指定し,実施後の利用感を質問した。ア ンケート内容は以下の通りである。 ・本Website で導入した「ひとと活動」,「ハッシュタ グ」,「マップ」の検索システムを利用した後に,選 択項目に記載する名称とその意味は直感的に理解で きたか。 ・検索時の項目選択から事例閲覧ページまでの流れは 直感的に理解できたか。 ・検索時の項目選択の条件に合った事例を見つけるこ とができたか。 ・事例詳細閲覧ページに掲載する情報は直感的に理解 できたか。 ・2020 年度アンケートへの参加経験の有無 これらの質問事項に対し,「5:とてもあてはまる /4:ややあてはまる/3:どちらともいえない/ 2:ややあてはまらない/1:全くあてはまらない」 の5 段階で評価を得た。さらに,1~3(全くあて はまらない~どちらともいえない)の選択時にはその 理由を自由記述方式で得た。また,Website 利用後の Website デザインや掲載内容の要望を自由記述欄を設 けて意見を収集した。期間は2020 年12 月10 日から 2021 年1 月15 日とした。アンケート対象者は筆者 らの大学の建築学科に在籍する学生と研究員,筆者ら と連携する他大学の研究員とその研究室の学生,一部 の実務者とした。本アンケートはメールで依頼し,回 答者は47 名となり,内訳は学部生(研究室配属前)2 人, 学部生(研究室配属済)19 人,大学院生(修士)14 人, 建築に携わる研究者2 人,建築の実務に携わる方8 人, 教職員2人であった。アンケート収集結果は2020 年 度アンケート(94 名)と比べて少なかった注5。 3.2 利用実態調査の概要 Website の利用状況を調査するために,以下の利用 実態調査を実施した。 1)アクセス解析サービスによる利用状況の抽出 Website から閲覧者の利用状況を抽出した。利用状 況にはWebsite 全体への訪問数や「条件からさがす」 で実行された検索履歴に加え,個別の事例ページへの アクセス数を抽出した。アクセス解析サービス(Google アナリティクス)により閲覧数や検索履歴を抽出し, Website の検索システムの利用実態やWebsite 運営伴 う広報活動などの閲覧数への影響を分析する(表3)。 ⑤ ④ ② B A ① 登録進捗状況 事例の種類別の登録数 150 1107 572 615 1216 984 0 200 400 600 800 1000 1200 凡例 宿泊施設・拠点 コミュニティ・まちづくり・集いの拠点 複合・共生・連携の拠点 交通・公園・商業・その他 こども・子育て支援 障がい児者の発達・暮らし・活動・就労支援 高齢者の活躍と生活支援 教育・文化 いろいろな住まい 医療・保健と健康 図3 アンケート開始時点のWebsite の登録状況 大学院生(修士) 学部生 (研究室配属済) 学部生 (研究室配属前) 教職員 建築に携わる 実務の方 建築に携わる研究者 調査手法 利用実証調査 アンケート 内容 回答者数 回答者属性 調査期間 14 19 2 2 8 2 事例検索の流れや検索事例を指定し,実際にサイトの使用感を検証しても らうモニターアンケート形式で依頼 2021 年12 月10 日~ 2022 年1 月8 日 ・各検索手法での流れ ・どの項目を選択して検索をしたか ・各検索項目の名称は理解できたか ・結果, 目的の事例を検索できたか ・利用後のサイト内改善要望について ・前回のアンケートに参加したか 47 人 表2 調査概要① − 124 − 5/10 2)ポップアップアンケートの実装 Website トップページと事例ページ上にポップアッ プアンケートを実装した(表4)。アンケート内容は以 下の通りである。 ・利用者の所属(大学生/大学院生/研究職/建築・ 建設業関係者/施設運営者・スタッフ/自治体関係 者/その他) ・Website「Projects’ CATA-Log」を知った経緯(SNS (twitter・facebook)/知人や友達からの紹介/検 索Website /その他) ・利用者の興味のある分野やキーワード(自由記述) ・Website への感想・意見(自由記述) これらの質問事項とともに利用者にアンケート協力 願いをWebsite 上に表示し,Website の利用実態を調 査する。期間は2020 年12 月1 日から2021 年1 月 15 日とし,ポップアップアンケートに答えていない IP からWebsite に接続した閲覧者にアンケートを表示 した。 4.利用実証調査アンケートの結果と比較 4.1 Website の総合評価 利用実証調査の結果からWebsite の総合評価を集計 した。Website の総合評価では検索システム「ひとと 活動からさがす/マップからさがす/条件からさがす /キーワード検索」の4点について直感的に理解でき たかの19 設問を5段階で集計し,合計点を総合評価 とした。 1)全回答者の総合評価と属性の分布 図4に全回答者の総合点の偏差値による全体分布と 上中下位の回答者属性の内訳を2020 年度アンケート の結果とともに示す。「建築に携わる実務の方/建築 に携わる研究者・教職員」は2021 年度:上位5 人 (約31.3%)/下位4 人(約33.3%),2020 年度:上 位11 人( 約61.1%) / 下位4 人( 約22.2%)。「学 部生(研究室配属済)」は2021 年度:上位5人(約 29.3%)/下位5人(約29.3%),2020 年度:上位6 人(約20.7%)/下位10 人(約34.5%)。「大学院生(修 士)」2021 年度:上位6人(約42.9%)/下位5人(約 35.7%),2020 年度:上位6人(約25%)/下位10 人(約41.7%)。以上から,2020 年度の結果と比べ, 2021 年度の結果は回答者属性別に見ても上位と下位 に偏りが見られなかった。 2)全回答者の総合評価と属性の分布 「学部生(研究室配属済)/大学院生(修士)/建築 に携わる研究者・実務者」を例に,回答者属性別の19 設問のa ~ s の回答単純集計を図5に示す。評価点5, 4 点は「あてはまる」,3点を「どちらでもない」,1, 2点は「あてはまらない」として集計した。「あてはま る」の回答率は約90.2% であり,高評価が大半を占め た。 図5で「あてはまらない」に比較的多く分布してい るのは「学部生(研究室配属済)」ではb,f,j,「大学 院生(修士)」ではg,i,m,「建築に携わる研究者/ 実務者」ではf,g,q で比較的多く見られた。 次に,各設問の2021 年度アンケートと2020 年度 アンケートの結果を比較する。有意差は得られなかっ たため,実数/期待値から回答の偏りをみる。前報か らWebsite の改善点と追加機能を実装・改善した点を 含む設問n,p,q,s は2021 年度「とてもよい」に偏っ ており,前報での改善点は一定の効果があったと言え る。また,設問f,g,i,j の4設問では2021 年の評 価点1,2 点「あてはまらない」に偏りがあり,新た 調査手法 利用実態調査② 調査項目 回答者数 調査期間 website 内の検索エンジンから利用者の検索履歴を抽出 2021 年12 月1 日~ 2022 年1 月8 日 キーワード,所在地,ひとと活動,事例の種類,具体的な機能,ハッシュタグ 検索日時,検索時ヒット件数,使用デバイス 10482 件 表3 調査概要② 調査手法 利用実態調査① アンケート 内容 回答者数 調査期間 website 内にポップアップアンケートを設置し、website 利用者に協力依頼 2021 年12 月10 日~ 2022 年01 月08 日 回答者の所属について, このサイトを知った経緯について, 回答者の興味 のある分野やキーワードなどについて, サイトへの意見や要望について 27 人 表4 調査概要③ 属性別内訳 回答者属性 凡例 上中下位の回答者属性の変位 10 20 30 40 50 60 建築に携わる研究者建築に携わる実務の方 教職員学部生(配属済) 学部生(配属前) 大学院生(修士) 大学院生(博士) その他 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 Website 総合評価 各回答者の評価項目 19 問×5点=95 点 3 5 10 10 4 13 8 3 5 6 4 6 総合点:58~79 下位 中位 上位 1 3 5 10 10 1 2 1 4 13 8 1 1 2 1 1 5 5 3 1 9 3 1 3 1 5 6 8 10 6 13 10 6 6 3 8 5 9 5 3 11 5 4 3 4 3 3 5 4 6 6 1 1 2021 年度2020 年度 2021 年度2020 年度 建築に携わる実務の方/ 研究者/ 教職員 学部生( 研究室配属済み) 大学院生( 修士) 回答者割合(%) 2020 年度 2021 年度 下位中位上位 下位 16 人 中位16人 上位 15 人 下位中位上位 上位中位下位 79~86 86~93 図4 正規分布曲線による回答者のWebsite 総合評価 − 125 − 6/10 にユーザーから理解が得られていない点,満足度が低 い点が明らかになったと考えられる。 以上から,設問f,g,i,j を含む「ひとと活動から さがす」,「マップからさがす」については使いやすさ の向上を図る余地が検出されたと言える。 4.2 検索プロセスでの不満点の抽出 設問に対して評価点1,2,3の選択理由の自由記述 を基に,Website の検索システムで評価が低い傾向の ある箇所を検出し,今後のWebsite の改善に活かすた め,アンケートの自由記述部での全不満意見を,類似 した意見をまとめていく方法で整理した結果を示す。 Website 全体に対しては,「多言語化/事例数の少な さ/図面や写真の少なさ/所在地検索の詳細化」が言 及されていた。「ひとと活動からさがす」に対しては「項 目に似たものがある/検索結果が選択項目に該当して いるかわからない」が挙げられた。「ハッシュタグから さがす」には「専門用語と抽象的な言葉が混在/検索 結果が選択項目に該当しているかわからない」と言及 されており,「マップからさがす」には「検索マークが わかりづらい/レイヤー構造の説明が足りない/項目 が選択されていない状態からはじめたい」など,表示 方法に関する指摘があった。 4.3 検索・閲覧プロセスでの不満点の整理 アンケートによる利用実態調査から今後のWebsite の改善に活用するため,設問f,g,i,j を含む「マッ プからさがす」「ひとと活動からさがす」に着目する。 また,1 ~ 3 の評価を得た箇所の評価理由から同様の 理由が複数確認された内容を集計した(図6)。「ひと と活動からさがす」では「選択項目を含まない事例が 出てくる(3件)」/「検索結果の事例が選択項目に該 当しているかわからない(4件)」/「検索後に検索項 目を追加したい(2件)」,検索後の不満点が抽出され た。次に,「マップからさがす」では「(カテゴリ別の) レイヤーの選択を後からしたい(2件)」,「レイヤー構 あてはまる (+) どちらでもない (0) あてはまらない (-) 評価点:5・4 評価点:3 評価点:1・2 12 9 2 1 9 3 11 10 2 10 12 10 2 12 9 2 9 2 10 8 2 11 10 12 11 12 12 14 12 10 2 2 12 2 11 3 11 2 13 13 11 3 13 13 12 12 13 12 13 12 2 13 13 18 14 4 17 2 17 2 16 2 13 3 3 18 19 18 17 17 17 15 17 14 2 19 17 15 2 2 2021年度 2020年度 18 31 27 2 3 31 31 30 30 2 29 2 31 28 2 2 28 27 28 18 4 6 27 25 2 30 2 31 30 3 8 3 2 5 4 3 3 2 2 5 2 2 4 2 1 2 2 12 17 7 13 15 2 13 2 15 15 15 7 12 5 11 11 12 16 14 14 10 4 16 5 2 2 2 3 2 2 2 3 5 2 2 21 25 19 22 25 23 25 24 21 25 27 24 26 23 25 24 26 25 30 2 25 b. 事例先の情報,事例集へのリンクの発見 c. 類似する他事例の紹介の掲載場所の発見 e. 項目選択から事例の詳細の検索の流れ l. 項目選択から事例の詳細の検索の流れ s. 該当事例が見つけられたか r. 検索から事例の詳細をみる流れ q. 該当事例が見つけられたか p. 具体的な機能の選択項目の名称と意味 o. 事例の種類の選択項目の名称と意味 n. 項目選択から事例の詳細の検索の流れ m. 該当事例が見つけられたか k. ハッシュタグ選択項目の名称と意味 j. キーワード検索の使いやすさ i. キーワード検索の使い方の理解度 h. レイヤー検索の使いやすさ g. レイヤー検索の使い方の理解度 f. 該当事例が見つけられたか d. ひとと活動の選択項目の名称と意味 a. 事例見学レポートPDF の掲載場所の発見 事例詳細ページひとと活動検索 第二部(検索システム全体について) 第一部(各検索システムについて) マップエリア検索ハッシュタグ検索条件から探す検索KW 検索 凡例 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 学部生:研究室配属後大学院生:修士建築に携わる研究者/実務の方/教職員 0.93 1.15 1.13 0.75 1.05 0.9 0.95 1.11 1.5 0 0 0 0.85 1.3 1.09 0.82 1.3 0.41 0.93 1.13 1.5 0 1.07 0.86 0.95 1.1 1.5 0 0 3 0.93 1.13 1.5 0 1.07 0.86 0.99 1.02 1.29 0.43 0.94 1.13 1 1 0.75 1.5 1.07 0.86 0.96 1.07 1.5 0 1.07 0.86 1.02 0.96 0.75 1.5 0.81 1.39 1.03 0.94 0.75 1.5 0.81 1.39 0.99 1.02 1.05 0.9 1.125 0.750 1.03 0.94 0.9 1.2 0.75 1.5 1.01 0.98 1.04 0.92 0.9 1.2 0.99 1.03 1.13 0.75 1.5 0 0.98 1.05 1.29 0.43 1.5 0 1.01 0.98 0.75 1.5 1 1 0.98 1.03 1.13 0.75 1.09 0.82 1 1.01 1 1 1.13 0.75 実測値/ 期待値 P値 0.94 2021年度 2020年度 (0) 1 1 1.13 0.75 (-) 1 1.01 実測値/期待値 (+) 2021年度 2020年度 合計 合計 47 94 141 (0) 2.00 1.00 3 2.67 1.33 4 (-) 89.33 44.67 134 期待値 (+) 2021年度 2020年度 合計 合計 47 94 141 (0) 2 1 3 3 1 4 (-) 89 45 134 実測値 (+) 独立性検定( カイ2乗検定) 計算例:設問a ※ 有効回答票2021年度47票 , 2020年度94票/実数は該当回答者数 *:2020年度アンケートから改善・修正 ※ 該当回答者数未記入=該当回答者数(1) 各設問2021 年度アンケートと2020 年度アンケートでの 独立性検定をカイ二乗検定で行った。 有意水準は5%未満とし、全項目で有意差は見られなかった。 図5 回答者属性別の評価項目の単純集計 − 126 − 7/10 施設種別項目がある場所に違和感(2) o 条件からさがす ピンの色が分かりにくい/ 見づらい(2) j 検索マークがわかりづらい(5) i レイヤーを全て外す機能が欲しい(2) h レイヤー構造である説明が足りない(2) 検索マーク( 虫眼鏡) がわかりづらい(2) レイヤーの選択を後からしたい(2) g マップエリア検索 検索後に検索項目を追加したい(2) 検索結果の事例が選択項目に該当して いるか分かりらない(4) 選択項目を含まない事例が出てくる(3) f 似たようなものが多く感じる(2) d ひとと活動検索 マップからさがす 条件からさがす 具体的な指摘箇所 評価点 1~3の理由回答例 事例詳細ページ なにが「類似している」事例なのかが という点が分かりにくい(2) スクロールしないと分かりにくい(2) c 関連リンクという言葉だけでは、なに との関連か分かりにくい(2) b 事例詳細ページ 図6 評価点1~3 の理由回答集 造である説明が足りない(2件)」/「レイヤーを全て 外す機能が欲しい(2件)」とレイヤー構造に関する不 満点が抽出された。また,「検索マーク(虫眼鏡)がわ かりづらい(7件)」とデザインに関する不満点も抽出 された。 5.利用実態調査結果 5.1 ポップアップアンケート回答率 利用実態調査のため,ポップアップアンケートを設 置し,期間は2020 年12 月1 日から2021 年1 月15 日とした。ポップアップアンケートの結果は表4の通 りである。期間中のWebsite 訪問者は1547 人,回答 者は27 名となった。内訳は,大学生7人,大学院生 6人,研究職6人,建築・建設業関係者5人,施設運 営者・スタッフ2人,その他1人となっている。施設 運営者・スタッフと自治体関係者の回答が特に少ない ことが見受けられる。「Website を知った経緯」の質問 では「知人や友達の紹介」が19 人(約70.3%)に対し,「検 索Website」や「SNS(twitter・facebook)」などの偶 然発見した経緯を持つ利用者は3人(約11.1%)であっ た。以上から,現在行っている広報活動とポップアッ プアンケートの相性に問題があると考えられ,利用実 態調査のための別のアプローチが必要であると考えら れる。 5.2 検索履歴による検索指標の活用度 Website から抽出した利用者の検索履歴を検索指標 別に集計,検索指標同士のクロス集計の結果を図7に 示す。検索履歴数は10482 件が得られ,検索指標単 体での履歴は検索キーワード(226 件)/所在地(54 件) 事例の種類(2257 件)/具体的な機能(1743 件)/ ひと(138 件)/活動(125 件)/ハッシュタグ(3718 件)であった。 新たに導入した指標のうち,最も活用されたのは ハッシュタグ検索(3718 件)であった。一方で,ひ とと活動での検索はひと(138 件),活動(125 件)と, 活用度が低い傾向がみられた。「ひとと活動」タグの活 用方法が利用者に伝わっていないと考えられる。ある いは,利用者や活動の視点で,施設種別によらず広く 事例を検索するという機能のコンセプト自体が共有さ キーワード ひとと活動 事例の種類 ハッシュタグ 具体的な機能 活動 ひと 0 10 8 11 4 4 0 17 14 24 26 17 21 3718 14 15 26 27 21 17 18 18 17 20 20 19 85 19 10 14 14 1743 8 2257 15 11 54 226 4 24 26 18 138 4 26 27 18 125 ひと 85 と 活動 ハッシュタグ 具体的な機能 事例の種類 所在地 キーワード ひと 所在地 活動 検索条件一覧 既出指標導入指標 検索条件一覧 既出指標導入指標 図7 検索指標クロス集計 2021.11 2021.10 2021.09 2021.08 2021.07 2021.06 2021.05 2021.04 2021.03 2021.02 2021.01 2020.12 2021.12 事例ページ閲覧数(回) サイト訪問数(人) 時系列イベント凡例 サイト訪問数及び閲覧数 サイト時系列イベント年月日 ②2020.12.28 2020年度利用実証調査 ①2021.12.28 Projectsʼ CATA-Log プレオープン ④2021.07.15 第 39回 地域施設計画研究シンポジウム ⑤2021.08 Projectsʼ CATA-Log 改善及び追加機能追加 ③2021.03.31 Projectsʼ CATA-Log 正式オープン ⑥2021.09.10 日本建築学会大会 研究協議会 ⑦2021.12.10 2021年度利用実証調査 & 利用実態調査 0 1200 951 982 810 793 512 693 435 140 640 57 38 527 354 300 400 500 600 700 800 900 200 400 600 800 1000 0 100 200 1000 サイト調査関連 サイトイベント関連 シンポジウム・学会関連 複合・共生・連携の拠点 宿泊施設・拠点 コミュニティ・まちづくり・集いの拠点 障がい児者の発達・暮らし・活動・就労支援 交通・公園・商業・その他 こども・子育て支援 高齢者の活躍と生活支援 教育・文化 医療・保健と健康 いろいろな住まい 凡例 図8 Projects'CATA-LOG 開設からの時系列イベントとWebsite 訪問者,閲覧数の月毎集計 − 127 − 8/10 れていない可能性がある。これは,永らくいわゆる「施 設類型」によって建築事例が分類整理され,教育され, 制度もまたそのように作られていることとの関係を推 察させる現象である注6。また,検索指標の組み合わせ は総じて履歴数が少なく,利用者の多くが検索指標を 単体で利用することが見受けられた。利用者の新たに 加えた検索指標であるひとと活動の利用方法や事例検 索時の結果への影響を具体的に説明する必要があると 考えられる。 5.3 広報活動などによる閲覧数への影響 アクセス解析サービス(Google アナリティクス)に よりWebsite 全体や各事例ページの月毎の訪問・閲覧 数を抽出し,図8に訪問・閲覧数とWebsite プレオー プン以降の調査や広報活動などのイベントを時系列で 整理した。全体として,訪問・閲覧数は増加傾向にあり, 訪問者増加のタイミングには多くの人の目に留まりや すいシンポジウムや学会大会の時期に行った広報活動 による影響があると考えられる。2021 年4 月の正式 オープンでの広報活動以降,2021 年5 月,6 月では 広報活動の契機となるイベントがなかったため,訪問・ 閲覧数が少なかったと考えられ,また,④「第39 回 地域施設計画研究シンポジウム」や⑤「日本建築学会 大会 研究協議会」どのイベントの前後で訪問・閲覧数 がそれ以前に比べて多く,その後は大きな減少はなく 推移している。訪問・閲覧数を維持していくためには, 多くの人の目に留まるイベントの機会を活かした恒常 的な広報活動が重要であるといえる。 6.今後のWebsite 整備/ 調整方針と改善案 図6の利用者の不満点をもとに,「①:検索後の該 当事例ステータスの追加/②・③:マップからさがす」 の利用方法の配置及びレイヤー初期状態の変更/④: 地図情報利用サイトの変更」を提案し、以下に詳細を 記す(図9)。 ①:検索後の該当事例ステータスの追加 「検索結果の事例が選択項目に該当しているかわか らない」という不満点から検索システムから条件を選 択した後に検索結果ページへ移動した際に,該当事例 のステータスにキャッチコピーやハッシュタグに加 え,「ひとと活動」のステータスを追加。「ひとと活動」 選択後の検索時に該当事例の妥当性が一目でわかるよ うにし,「ひとと活動」ステータスの検索指標利用率の 向上を期待する。 ②・③:「マップからさがす」利用方法の配置 ねらい 該当件数件 1 2 3 4 5 … 10 … ①:該当事例のひとと活動ステータスの表示 事例写真 事例写真 活動 施設名 #ハッシュタグB #ハッシュタグC 活動D ひとD 活動A 活動B 活動C ひとA ひとB ひとC #ハッシュタグA キャッチコピー No.0000 〇〇県 ひと 活動 施設名 #ハッシュタグB #ハッシュタグC 活動D ひとD 活動A 活動B 活動C ひとA ひとB ひとC #ハッシュタグA キャッチコピー No.0000 〇〇県 ひと SEARCH キーワード この条件で検索 所在地 すべて ひとと活動 活動D 活動C 活動B 活動 活動A ( 選択中) ひとC ひとC ひとB ひと ひとA ( 選択中) ① 検索結果ページ 今後のサイトデザインのイメージ改善のポイント マップからさがす ③:レイヤー項目選択時の状態変更 ②:「マップからさがす」利用方法の配置 利用方法 すべてアイテム 宿泊施設・拠点 ぷろログ PROJECTS'CATA-LOG マップ 医療・保健と健康 すべてアイテム コミュニティ・まち... すべてアイテム 子ども・子育て支援 すべてアイテム いろいろな住まい ❷ レイヤー項目(施設種別の選択) すべてアイテム 教育・文化 ぷろログ PROJECTS'CATA-LOG マップ すべてアイテム 医療・保健と健康 すべてアイテム コミュニティ・まち... すべてアイテム 子ども・子育て支援 すべてアイテム いろいろな住まい すべてアイテム 教育・文化 ぷろログ PROJECTS'CATA-LOG マップ すべてアイテム 医療・保健と健康 すべてアイテム コミュニティ・まち... すべてアイテム 子ども・子育て支援 すべてアイテム いろいろな住まい ❶ レイヤーの表示 ③ ② コミュニティ・まちづくり・集 いの拠点 交通・公園・商業・その他 医療・保健と健康 複合・共生・連携の拠点 検索後の該当事例表示時のステータス表記に 「ひとと活動」を配置し,検索時の選択に事例が 妥当かどうかを一目でわかるようにする。 検索後の「ひとと活動」をステータスを明確にし, 「ひとと活動」の検索指標の利用度の増加させる。 「マップをさがす」のレイヤー表示時に初期状 態を全選択から無選択に変更し,レイヤー項目の 選択の自由度を高め、閲覧者の能動的に利用させ る。 「マップをさがす」の利用方法図を配置する。 利用方法がわからない層へアプローチし,利用度 増加を狙う。 図9 今後のWebsite 整備/ 調整点 − 128 − 9/10 及びレイヤー初期状態の変更 「レイヤー構造である説明が足りない」や「レイヤー の選択を後からしたい」という不満点から,連動する マップを変更し注7,「マップからさがす」ページに利 用方法を示した図の配置,レイヤー項目選択の初期状 態を無選択に変更する。「マップからさがす」利用の敷 居を低くし,レイヤー項目選択時の視認性や自由度を 上げ,「マップからさがす」の利便性と利用率の向上を 狙う。 ④:地図情報利用サイトの変更 運営側の不満点で見受けられたDB 管理の課題(地 図情報入力の煩雑性)から,事例の位置情報を反映す るサイトをGoogle マップからオープンソースの地理 情報サイトへ変更し,DB 管理でのWebsite 反映時の 共同作業での更新された最新情報の共有の問題を解消 し,事例の位置情報管理の簡易化,と「マップからさ がす」の検索時の利便性の向上を図る。さらなる発展 としては,各事例ページに位置情報を反映させる,事 例を選択プールして見学ルートマップの作成ができる 機能を設けるなど,マップツールの変更に伴う機能追 加も検討できる。 またこれらに加え,基本的な方針として前述のよう に,そもそも見学等で得られた情報を公開・共有する 前提での調査研究や事例訪問の機会をもつという姿勢 が拡がるよう働きかけを行うことが必要であると認識 する。そのため,ひとつには各学協会での活動との連 携,また各事例の設計者によるオープンハウス資料の 共有などが想定しうる方法である。 7.まとめ 本研究では,医療・福祉・教育等の施設/拠点の事 例を紹介するWebsite「Projects’ CATA-Log(ぷろロ グ)」の調査を実施した。利用実証調査から,検索・閲 覧プロセスの利用において「検索結果が選択項目に該 当しているかわからない」,「レイヤー構造の説明不足」 などの意見をアンケートの回答から得られた。利用実 態調査から,新たに導入した指標のうち,ハッシュタ グでの検索に比べ,ひとと活動での検索の利用度は低 かった。また,広報活動と閲覧数の関係性から,恒常 的な広報活動が重要であると考えられた。 以上を踏まえ,事例結果ページや「マップからさが す」「ひとと活動からさがす」の整備を進め,Website 利用方法の認知を高め, ユーザビリティの高い Website を目指しつつ,専門性が高く事例DB として の意義を持ち,有意義な情報を提供できるWebsite を 保っていくことを目的とする。 謝辞 本研究にご協力いただきました皆様に,篤く御礼申し 上げます。なお,本研究は,科学研究費補助金(基盤B)『「利 用縁」がつなぐ福祉起点型共生コミュニティの拠点のあ り方に関する包括的研究(研究代表者:山田あすか)』, 及び日本建築学会 社会ニーズに対応した特別調査委員 会「多様な事例の横断的な整理による福祉起点型共生コ ミュニティの概念整理と新しい地域拠点計画のあり方の 検討」の一環として行われました。 [注釈] 注1)一般公開後,最も利用が多い属性は建築に関する研究者や 建築業関係者,建築初学者と想定している。これらの利用者 は,事例の運営上の特徴や内観・外観の様子,ヒアリングの 内容を把握できるレポート記事,また関連リンクなどの関連 情報の集約にニーズがあると考えられる。また,制度の転換 期前後でのレポートなどは研究蓄積としての価値があり,こ の点にもニーズがあると想定される。本Website では,これ までの施設種別のみでの事例提示だけでなく,機能の複合や 連携が多く行われている背景をふまえて「ある機能や空間, 取組みをもつ」事例を,施設種別を横断・俯瞰して情報を得 られる点にニーズが発生すると考え,実践に至った。 注2)本Website は最短でも10 年間の運用を想定し,Website の維持管理・運営は筆者らの研究室が事務局となって行う。 公開している情報や記事の追加・更新は,当運営事務局と, 建築学会委員会での研究活動(施設見学や調査,シンポジウ ム)と連携して行う。 注3)掲載する内観写真,外観写真はプライバシー,権利に配慮 し,モザイク処理を施した画像を使用している。 注4)掲載する事例のリンクには,事例先が公式に開設している ホームページ,現時点で行政庁が公開している施策の事例集 紹介ページ,当該事例先の計画/ 設計に携わった設計事務所 等が公開する設計事例詳細ページ,当該事例が掲載されてい る新建築,近代建築の冊子のバックナンバー紹介ページ,医 療福祉建築賞の紹介ページ,他大学が運用する事例紹介ペー ジなどを載せている。リンク掲載の基準としては,国や学術 機関,当該事例先が公開している,信憑性のあるWeb ペー ジを選定している。 注5)前報と比べ,2021 年度アンケートの回答数は学部生(研 究室配属前)が少なく,前報との回答数に大きな差が出た。 注6)「活動」については,例えば小嶋 一浩『アクティビティを 設計せよ! ―学校空間を軸にしたスタディ』,2000/6/1,な どが「活動」に着目して設計におけるそのプレゼンスを上げ た経緯がある。制度において施設種別が新たに作られ,また 再編統合されていく経緯に照らせば,利用者やそこでの活動 の観点での事例整理は,長じては必ずしも施設種別によらな い知見として広く援用可能な基盤となることが期待される。 注7)当初,Google マップを用いていたが,設定の自由度がよ り高いオープンストリートマップ(OpenStreetMap,無料 で利用でき,編集機能がある世界地図の共同作業プドジェク ト)に切り替えた。これによって,事例ごとの地理的情報の − 129 − 10/10 管理入力,タグ付けの編集自由度が高まった。 [参考文献] 1)まち・ひと・しごと創生本部,「生涯活躍のまち」構想最終 報告,http://www. kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/ ccrc/saisyu-houkoku.html,2020 年10 月参照 2)SWC首長研究会,スマートウェルネスシティとは,http:// www.swc.jp/about/,2020 年10 月参照 3) 人生100 年時代を支える住まい環境整備モデル事業, http://100nen-sw.jp,参照2022.0306 4)architecturephoto® , ホームページ,https:// architecturephoto.net/,2020 年10 月参照 5)一般社団法人ソトノバ,ホームページ,https://sotonoba. place/,2020 年10 月参照 6)東京電機大学 建築・環境計画研究室,環境づくりのリゾー ムサイト,ホームページ,http://rhizomesite.com/,2020 年10 月参照 7)千葉紗央里,山田あすか:“ 小児の療養環境評価項目の整理に よる環境づくりの普及サイト「環境づくりのリゾームサイト」 の制作とその検証” こども環境学会 こども環境学研究,Vol.10 No.3(C.N.28), 2014.12,p.70,2020 年10 月参照 8)榎村賢,山田あすか,村川真紀,加藤瑞基,峯健人 :“「福祉 起点型共生コミュニティ拠点」事例のオープンデータベース - サイトの構築と検証-” 地域施設計画研究シンポジウム発表論 文集 vol39 , 2021.07, pp.203-212, 2021 年10 月参照 − 130 −
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