地域施設計画研究39 2021年7月 日本建築学会
建築計画委員会 施設計画運営委員会 地域施設計画小委員会
Regional Community Facilities Planning and Design, AIJ, Vol.39, Jul., 2021
…以下検索用文字列…
「福祉起点型共生コミュニティ拠点」事例のオープンデータベース Website の構築と検証 Website construction and Evaluation of open database for case of the welfare origined symbiotic community 榎村賢*1, 山田あすか*2,村川真紀*3,○加藤瑞基*4,峯健人*5 In Japan, the public welfare support system is being redeveloped to correct the problems of population decline and uneven distribution. There are many cases that will be used as models for the future, but cross-cutting issues have not been organized and cannot be reviewed or verified. We have built a website that introduces these model cases and related cases. In addition to the search indicators already mentioned, cross-sectional search using hashtags is possible. We also conducted a questionnaire asking about the ease of use of the website. The purpose is to become knowledge for social implementation that disseminates ideas and issues in precedent cases. Key words: Welfare origined symbiotic community,Website,Hashtag キーワード: 福祉起点型共生コミュニティ,Website,ハッシュタグ * 1 東京電機大学大学院未来科学研究科建築学専攻(当時) * 2 東京電機大学未来科学部建築学科 教授・博士(工学) * 3 東京電機大学未来科学部建築学科 研究員・博士(工学) * 4 東京電機大学大学院未来科学研究科建築学専攻 * 5 東京電機大学未来科学部建築学科(当時) Ken ENOMURA ,Asuka YAMADA,Maki Murakawa,Mizuki Kato,Kento Mine * 1 Graduate Student, Science and Technology for Future Life, Tokyo Denki Univ. * 2 Prof., Dept.of Architecture, Faculty of School of Science and Technology for Future Life, Tokyo denki Univ., Dr.eng. * 3 Researcher, Dept.of Architecture, School of Science and Technology for Future Life, Tokyo Denki University, Dr.Eng. * 4 Graduate Student, Science and Technology for Future Life, Tokyo Denki Univ. * 5 Dept.of.Architecture,Faculty of School of Science and technology for future life,Tokyo denki Univ. 1.研究背景 1.1 社会的背景 人口減少を伴う少子・超高齢社会にある我が国では, 大都市と地方の人口偏倚に起因する医療・福祉・生活・ 就労基盤の脆弱性を是正し社会の持続性を高め,特に 高齢期・障碍のある人・子育て期の安心・安全な住環 境の確保や,看護・介護・支援体制の整備が深刻かつ 喫緊の課題である。この解決策として,アクティブシ ニアの住み替えによる人口移転や医療・介護・居住拠 点の整備「生涯活躍のまち(旧日本版CCRC)1)」や,「団 地の地域医療福祉拠点化(UR 都市機構)」「スマートウェ ルネス住宅(国交省)2)」などの各種政策が,各省庁から, 数年単位の事業として展開されている。また,従来の 医療/介護/生活支援/教育/自治などの機能の別を 超えた新しい地域の活動拠点形成も各地で模索されて いる。こうした動きを受け,過疎地域を中心に,高齢 者・障碍者・こどもなどへの多機能な支援を提供する 「小さな拠点(国交省)3)」や,地域包括ケアを拡大し 住人の互助を促す「“ 我が事・丸ごと” の地域共生社 会(厚労省)4)」の構想も謳われている。これに先立 ち,厚生労働省では医療・介護・生活支援を地域資源 を活かしながらネットワーク的に地域に張り巡らす地 域包括ケアシステム5) を提唱し,その整備が進められ ている。これに関連して,地域密着型でのケアの核と なる住まいの確保と整備が重要であることから,国土 交通省では高齢期のケア付きの住まいとしてサービス 付き高齢者向け住宅の整備を進めてきた。また,公共 事業や公的サービスでは限界があること,また今後の 社会情勢に根ざした民業のあり方を誘発する観点から も,高齢者や障碍者,子育て世帯などの要配慮者への − 203 − 地域施設計画研究39 2021年7月 日本建築学会 建築計画委員会 施設計画運営委員会 地域施設計画小委員会 Regional Community Facilities Planning and Design, AIJ, Vol.39, Jul., 2021 住宅整備の一環として各自治体と連携しながら居住支 援や,住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の整備を行い始 めている。 地域,生活の維持に資するための各種取組が,加速 する社会変化とともに多数行われ,またそれらが数年 のピッチで新たな取り組みに移り変わっていくという めまぐるしい状況がある。これらには相互に知見を援 用可能と思われる事例も多く,個別の事例ごとの既往 研究があるが,制度を超えた事例や課題の整理が行わ れておらず統一的視点での総覧や検証が難しい。また, 多様な機能と連携した具体的な整備方法は充分に整理 されていない。 1.2 研究の目的 このように,多世代に渡る利用者を想定し,施設種 別の横断・連携や,機能を複合化した施設・拠点の整 備は今後重視され,増えていくと考えられる。そのた め,計画・構想時などに援用可能な事例を横断的に探 索し,参照できる仕組みが必要と考えた。そこで,施 設や拠点についての見学・ヒアリングレポート記事や 関連する情報サイトなどを集約し,これらを関わる・ 興味を持つ・利用する者である,研究者や建築業関係 者,建築初学者,施設運営者,自治体,施設利用を考 えている人( 以降,閲覧者) などに向けて,幅広い層 がアクセス可能な情報提供プラットフォームである Website 形式での公開が有効と考えた注1)。こうした, 各視点での事例収集・紹介Website の例には,アーキ テクチャーフォト6)やソトノバ7),環境づくりのリゾー ムサイト8)9)などの事例があり,興味関心のある人々 の緩やかなつながりコミュニティのプラットフォーム としても貢献している。 本稿で報告するWebsite の普及は,従来の施設種別 を超えた知見の拡がりや工夫の援用,各種事業の複合 による事業の立ち上げや改善,効率的な拠点整備方針 策定や課題解決方法の発展に寄与すると考える。また, 各種事例について,統一的視点での先行事例での工夫 や課題の情報発信,情報の共有を促す仕組みの発展へ の知見になると考える。 2.本稿の目的 これらの先行事例と関連する医療・福祉・教育な どの施設/拠点の事例(図1)を紹介するWebsite 「PROJECTS’ CATA-LOG: Projects’ case and tag log(略 称ぷろログ)」を構築した注2)。地域施設の計画・実践 においては単一機能の事例の分類を超えて事業の実施 場所としての意味をもつ事例や,機能の複合化も進ん でいる。そこで,個々の事例には事例の分類や所在地 の情報という既出の検索指標に加えて,対象とするひ とと活動フレーム,援用可能な要素をハッシュタグと して付与し,事例の分類の垣根を越えて事例を横断的 に検索できる構造とした。 本研究では,このWebsite の利用者アンケート調査 により,横断的な検索システムの実効性とWebsite や 検索システム自体の使いやすさを検証し,一般公開に 向けたWebsite の改善に繋げることを目的とし,今後 のWebsite の整備方針を報告する。 3.Website の構成と特徴 3. 1 Website の構成 「Projects’ CATA-Log」の構成とWebsite 登録情 報の内容( 図2),調査開始時の状況( 図3) を示す。 Website に掲載する事例は,科研研究課題10) や建築学 会特別調査委員会研究課題等11)などの研究課題で収 集した事例,関連する医療・福祉・教育などの施設/ 拠点の事例である。図3にWebsite の各画面と検索指 標と掲載内容の具体的な配置を示す。検索指標は,本 プロジェクトで新たに導入した,①マップ/②ひとと活 動/③ハッシュタグ,既存の事例検索Website で実装さ れている検索指標として,④事例の種類/⑤具体的な機 能/⑥所在地/⑦キーワード/⑧②〜⑦の複数条件を任 意で検索する「条件からさがす」の8指標である。検索 時,指標間はAND 検索,指標内はOR 検索として構築した。 以下に①〜⑦の内容を記す。 ①マップ 個々の事例を地図上に表示し,都道府県などの検索 研究 事例の収集 内容)「福祉起点型共生コミュニ ティ」とその拠点施設を,潜在 的な該当事例を含めて広く収集 する。 手法) ○各種モデル事業の文献調査 ○現地調査と資料収集 ○関連する自治体へのヒア リング調査,文献・資料収集 データベースの作成 内容)地域,機能,建 築形態など検索可能な Website 形式のデータ ベースを作成し,随時 公開する。自治体や事 業者への情報シェアと さらなる情報集約と議 論のプラットフォーム となることを期待す 情報発信と社会実装 内容)地域特性や地 域・住民ニーズに応 じた検討材料,さら なる情報集約と議論 の土壌としてweb な どで広く公開する。 また社会実装とその 評価検証を行う。 プロジェクトの事前状況と準備プロジェクトの目的 収集している事例の例 サービス拠点, 共有施設サービス拠点 既存集合住宅 物販・入浴・飲食事業 コミュニティ の醸成 観光・ 移住 生活+介護施設 地域住民の利用 地域密着型 介護施設 生活関連 施設 医療施設 移動 通所・訪問 介護・生活支援事業 地方/ 郊外での 独立集落新築型 都市/ 郊外での 既存集合住宅改修 郊外/ 地方/ 辺縁 での地域資源連携 郊外/ 地方/ 辺縁 での福祉拠点設立 図1 収集してきた事例とWebsite プロジェクトへのフロー − 204 − のほか,地理条件や近隣施設との地理関係をビジュア ル面から検索する。各事例は事例の分類(事例の種類) ごとに分けての検索が可能。 ②ひとと活動 個々の事例先が対象とする「ひと」とサービス,取 組みを「活動」として名詞や動詞の表記から検索条件 を選択する。表記の例として「ひと」では「要支援・ 介護高齢者/こども(就学前)/子育て世帯/まちの ひと」,「活動」では「泊まる・暮らす/集う・親しむ・ 関わる/療養する/支援する」がある。また「ひと」 と「活動」はAND 検索である。 ③ハッシュタグ 事例の特徴的な取組みや建築的操作,理念などの他 の事例と共通する,もしくは援用可能な事項を「ハッ シュタグ」として表記し,検索条件とした。「ハッシュ タグ」として設定される事項は,国の制度の性質によ る多数の事例に共通するサービス実施と建築的操作の 課題点やその一時的な解決策,もしくは個の事例が導 出した課題点とその解決策などの多様な事項を筆者ら が整理し,表記している。またこれらの多様な事項を 「ハッシュタグ」として決定する範疇は設定していな い。これは各々の事例先の地理・ひとに起因するケー スと課題点をできる限り収録することで今後の「福祉」 を整備する学術的,実務的な議論への提起を目的とし ている。 ④事例の種類 各事例の分類を「交通・公園・商業・その他/こども・ 子育て支援/障がい児者の発達・暮らし・活動・就労 支援/高齢者の活躍と生活支援/教育・文化/いろい ろな住まい/医療・保健と健康/宿泊施設・拠点/コ ミュニティ・まちづくり・集いの拠点/複合・共生・ 連携の拠点」の10 件の大分類,89 件の中分類に整理 している。検索ページ「条件からさがす」内では従来 の事例の分類の検索指標として機能させるため「事例 の種類」という名称で筆者らが分類している。具体的 な分類方法については3.2に後述する。 ⑤具体的な機能 法令で標榜される施設分類・サービス・事業の名称 を一覧で表示した。検索後の詳細ページ閲覧時に表記 されている施設分類・サービス・事業の名称を見るこ とでその事例の一般的・世俗的な呼称を知る機会にな ることを期待している。 トップページ検索ページ:条件から探す 検索ページ:マップ 検索結果ページ事例詳細ページ ⑦ 事例検索の流れや検索事例を指定し,実際にサイトの使用感を検証して もらうモニターアンケート形式で依頼 R2 12 月28 日~ R3 1 月15 日 事例の詳細情報の紹介 援用可能な要素の紹介 事例の種類が類似する 取り組みの紹介 事例種別ではなく横断的 に類似する事例を紹介 回答者属性 事例先での利用者/ スタッフの様子や建築の使われ方について 記録した見学・ヒアリング時の情報からレポートを作成 ハッシュタグの組み合わせが類似する他事例の表示 事例の公式HP や国が公表する政策別の資料へのURL リンク ・各検索手法での流れ ・どの項目を選択して検索をしたか ・各検索項目の名称は理解できたか ・結果として目的の事例を検索できたか ・利用後のサイト内改善要望について ②ひとと活動事例先の対象者とその活動フレームを選択 ③ハッシュタグ 個々の事例の特徴,援用可能な要素を示す項目から選択 ①マップ地図内に表示される事例の種類で分けた事例のピンから選択 地域を構成する公共の福祉10 分類から各事例の大枠となる ④事例の種類 施設/取組みの種別を選択 ⑤具体的な機能事例先が取り組む活動やサービスの名称を選択 ⑥所在地 事例の所在地を都道府県単位で選択 ⑦キーワード 事例の名称等のテキストによるサイト内検索 既出指標 ② ③ ④⑤ B A 0 200 400 600 800 1000 登録進捗状況 751 298 255 922 172 学部生 (研究室配属前) 学部生 (研究室配属済) 大学院生(修士) 95 人 大学院生 (博士, 研究生) 研究者 教職員実務の方 その他 1063 (件) 14 25 32 2 7 3 7 4 ② ① ③ ⑧ ⑦⑥② ④ ⑤ ③ ① A ⑧ B C ⑥④ ⑤ ③ ① A:事例見学レポート B:関連サイトへのリンク C:類似する事例の紹介 事例閲覧ページ ねらい 利用実証調査 調査手法 調査期間 回答者数 アンケート 内容 検索時の指標選択内容事例閲覧ページに掲載する内容 検索ページ 導入指標 website の構成 ⑧条件から探す ②〜⑦を任意検索 事例の種類別の登録数 ②:ひとと活動 ③:ハッシュタグ ④:事例の種類 ⑤:具体的な機能 A:事例見学レポート B:関連サイトへのリンク C:類似する事例 色々な住まい 医療・保健 宿泊施設 コミュニティ・まちづくり・集い 複合 その他 こども・子育て支援 障がい者支援 高齢者の活躍と生活支援 教育・文化 凡例 トップページ検索ページ:条件から探す 検索結果ページ事例詳細ページ 事例検索の流れや検索事例を指定し,実際にサイトの使用感を検証して もらうモニターアンケート形式で依頼 R2 12 月28 日~ R3 1 月15 日 事例の詳細情報の紹介 援用可能な要素の紹介 事例の種類が類似する 取り組みの紹介 事例種別ではなく横断的 に類似する事例を紹介 回答者属性 事例先での利用者/ スタッフの様子や建築の使われ方について 記録した見学・ヒアリング時の情報からレポートを作成 ハッシュタグの組み合わせが類似する他事例の表示 事例の公式HP や国が公表する政策別の資料へのURL リンク ・各検索手法での流れ ・どの項目を選択して検索をしたか ・各検索項目の名称は理解できたか ・結果として目的の事例を検索できたか ・利用後のサイト内改善要望について ②ひとと活動事例先の対象者とその活動フレームを選択 ③ハッシュタグ 個々の事例の特徴,援用可能な要素を示す項目から選択 ①マップ地図内に表示される事例の種類で分けた事例のピンから選択 地域を構成する公共の福祉10 分類から各事例の大枠となる ④事例の種類 施設/取組みの種別を選択 ⑤具体的な機能事例先が取り組む活動やサービスの名称を選択 ⑥所在地 事例の所在地を都道府県単位で選択 ⑦キーワード 事例の名称等のテキストによるサイト内検索 既出指標 ② ③ ④⑤ B A 0 200 400 600 800 1000 登録進捗状況 751 298 255 922 172 学部生 (研究室配属前) 学部生 (研究室配属済) 大学院生(修士) 95 人 大学院生 (博士, 研究生) 研究者 教職員実務の方 その他 1063 (件) 14 25 32 2 7 3 7 4 ⑧ ⑦⑥② ⑥④ ① A:事例見学レポート B:関連サイトへのリンク C:類似する事例の紹介 事例閲覧ページ ねらい 利用実証調査 調査手法 調査期間 回答者数 アンケート 内容 検索時の指標選択内容事例閲覧ページに掲載する内容 検索ページ 導入指標 website の構成 ⑧条件から探す ②〜⑦を任意検索 事例の種類別の登録数 ②:ひとと活動 ③:ハッシュタグ ④:事例の種類 ⑤:具体的な機能 A:事例見学レポート B:関連サイトへのリンク C:類似する事例 色々な住まい 医療・保健 宿泊施設 コミュニティ・まちづくり・集い 複合 その他 こども・子育て支援 障がい者支援 高齢者の活躍と生活支援 教育・文化 凡例 図3 構築したWebsite 画面と検索指標/ 掲載内容の具体的な箇所 図2 Website の構成概要 − 205 − ⑥所在地 個々の事例先の所在地を都道府県単位で検索する。 ⑦キーワード Website 内で掲載している文章,①〜⑥の選択項目 に含まれる文字を対象にテキスト検索を行う。 ⑧条件から探す ①〜⑦の各検索指標の組み合わせ検索により,条件 を限定してサービス内容や建築形態の特徴が類似する 事例を検索できる。 また事例の詳細を閲覧するページには,事例名・事 例ナンバー・紹介文・所在地・事例の種類(大分類)・ 事例の種類(中分類),付与されているハッシュタグの 他,「A:事例見学レポート」,「B:関連サイトへのリ ンク」,「C:類似する事例」を掲載した。 「A:事例見学レポート」は,見学・ヒアリング時に 収集した事例先での利用者・スタッフの様子や建築の 使われ方,内観・外観写真注3)などの情報をもとに作 成し,事例の運用・建築の様子に加えて,援用可能な 要素の紹介をしている。 「B:関連サイトへのリンク」は,各事例の公式 Website や事例を紹介するWebsite へのリンク,各行 政庁の事例集へのリンクを掲載している注4)。 「C:類 似する事例」は付与されているハッシュタグの組合せ が類似する他事例を表示し,施設種別だけでなく,横 断的に類似する事例を紹介している。 「C:類似する事例」では,付与したハッシュタグを もとに,各事例に付与されているハッシュタグの組合 せが類似しているものをシステム上で検出し,それら を「類似する事例」として反映している。 3. 2「事例の種類」の分類方法と期待される効果 表2に,掲載事例の大/中/小分類の一覧を示す。 小分類は法令で標榜される施設名や機能,室名という 分類の最小単位である。閲覧者が事例を見つけやすい よう,類似した機能をまとめていく考え方で,小分類 から中/大分類へと整理・統合した。サイト上では, いわゆる施設種別の先入観なく事例に出会えるよう, 小分類は「具体的な機能」,中/大分類は「事例の種類」 という名称で表示する。「事例の種類(中/大分類)」 表示機能により多くの事例が表示される機会を提供 し,「具体的な機能(小分類)」表示機能は本サイトが 掲載している事例の分類とその広がりを閲覧者に提示 する。これらの分類の意味と内訳を整理したプルダウ 小 分 類中 分 類大分類 駅・交通系施設 公園・緑地,ランドスケープ 農場・牧場 商業施設(オフィス,店舗) シェアオフィス/コワーキングスペース 一体再開発 駅・交通系施設 公園・緑地 農場・牧場 商業施設 シェアオフィス 一体再開発 保育所 小規模保育拠点 幼稚園 認定こども園 児童館,子育て支援 児童養護施設,乳児院,自立援助ホーム,グル ープホーム 学童保育 保育所 小規模保育拠点 幼稚園 認定こども園 児童館・子育て支援 社会的養護 学童保育 障害児入所支援 児童発達支援,放課後等デイサービス 障害者施設入所支援 障害者者グループホーム,ケアホーム,福祉ホーム 就労継続支援,就労移行支援 生活介護(障害者デイサービス),自立訓練 障がい児の施設入所支援 発達支援 障がい者の施設入所支援 障がい者の小規模ホーム 障がい者の就労支援 障がい者の日中活動支援 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 介護老人保健施設 認知症対応型共同生活介護 小規模多機能・宅老所 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 認知症高齢者グループホーム 小規模多機能・宅老所 デイサービス, デイケア, 訪問介護, ショートステイ, 地域生活支援 地域包括支援センター, 訪問看護・介護ステーション サービス付き高齢者向け住宅 有料老人ホーム 介護医療院 ホームホスピス 高齢者系複合 高齢者系政策・事業 小学校 中学校 小中一貫校 中高一貫校 高等学校 特別支援学校 学習施設 図書館 文化施設 まちライブラリ 会館・ホール 集会施設 公民館 教育・文化系その他 スポーツ施設 歴史的建築物 団地,団地再生,団地再生事業 多世代共生住宅 住宅 子育て支援住宅 公営住宅 コーポラティブハウス ニュータウン 居住系政策・事業 病院 診療所 患者・家族支援 まちの保健室 暮らしの保健室 こども病院,小児病棟,病児支援施設, こどもホスピス ウェルネスコミュニティ拠点 地方自治体 庁舎 コミュニティセンター 地域活性化活動 CCRC拠点施設 産官学連携・アーバンデザイン 住み開き コミュニティカフェ コミュニティスペース オープンオフィス 地区の家 集約的拠点 小さな拠点 社会的活動 集落等 まちなみ・景観 幼老一体 公共集約 複合・共生 住宅地 高齢期の住まい 社会福祉法人等 大学・専門学校 美術館・博物館 アルベルゴ・ディフーゾ, 地域活性化の拠点となる 宿泊施設 サービス付き高齢者向け住宅 有料老人ホーム シニアタウン,高齢者向け住宅 介護医療院 ホームホスピス 高齢者系複合 社会福祉法人,株式会社 政策・事業 小学校 中学校 小中一貫 中高一貫 高等学校 大学,専門学校 特別支援学校 美術館,博物館,パビリオン,水族館 学習施設 図書館 文化施設 まちライブラリ 会館・ホール 集会施設 公民館 教育・文化系その他 スポーツ施設 歴史的建築物 団地 多世代共生住宅 住宅地,集合住宅地 住宅 子育て支援住宅 公営住宅 コーポラティブハウス ニュータウン 政策・事業 病院 クリニック 患者・家族支援 まちの保健室 暮らしの保健室 ウェルネスコミュニティ拠点 まちなか分散,まちなか拠点,集落分散, 単独改修,リゾート 地方自治体 庁舎 コミュニティセンター 地域活性化活動 CCRC拠点施設 産官学連携・アーバンデザイン 住み開き コミュニティカフェ コミュニティスペース オープンオフィス 地区の家 集約的拠点 小さな拠点 社会的活動 集落等 まちなみ・景観 幼老一体 公共集約 複合・共生 こどもの医療施設 交通・公園 商業・その他 こども・ 子育て支援 障がい児者の 発達・暮らし 活動・就労支援 高齢者の活躍 と生活支援 教育・文化 いろいろな 住まい 医療・保健 と健康 宿泊施設・ 拠点 コミュニティ まちづくり 集いの拠点 複合・共生 連携の拠点 トップページ検索ページ:条件から探す 検索結果ページ事例詳細ページ 事例検索の流れや検索事例を指定し,実際にサイトの使用感を検証して もらうモニターアンケート形式で依頼 R2 12 月28 日~ R3 1 月15 日 事例の詳細情報の紹介 援用可能な要素の紹介 事例の種類が類似する 取り組みの紹介 事例種別ではなく横断的 に類似する事例を紹介 回答者属性 事例先での利用者/ スタッフの様子や建築の使われ方について 記録した見学・ヒアリング時の情報からレポートを作成 ハッシュタグの組み合わせが類似する他事例の表示 事例の公式HP や国が公表する政策別の資料へのURL リンク ・各検索手法での流れ ・どの項目を選択して検索をしたか ・各検索項目の名称は理解できたか ・結果として目的の事例を検索できたか ・利用後のサイト内改善要望について ②ひとと活動事例先の対象者とその活動フレームを選択 ③ハッシュタグ 個々の事例の特徴,援用可能な要素を示す項目から選択 ①マップ地図内に表示される事例の種類で分けた事例のピンから選択 地域を構成する公共の福祉10 分類から各事例の大枠となる ④事例の種類 施設/取組みの種別を選択 ⑤具体的な機能事例先が取り組む活動やサービスの名称を選択 ⑥所在地 事例の所在地を都道府県単位で選択 ⑦キーワード 事例の名称等のテキストによるサイト内検索 既出指標 ② ③ ④⑤ B A 0 200 400 600 800 1000 登録進捗状況 751 298 255 922 172 学部生 (研究室配属前) 学部生 (研究室配属済) 大学院生(修士) 95 人 大学院生 (博士, 研究生) 研究者 教職員実務の方 その他 1063 (件) 14 25 32 2 7 3 7 4 ⑧ ⑦① A:事例見学レポート B:関連サイトへのリンク C:類似する事例の紹介 事例閲覧ページ ねらい 利用実証調査 調査手法 調査期間 回答者数 アンケート 内容 検索時の指標選択内容事例閲覧ページに掲載する内容 検索ページ 導入指標 website の構成 ⑧条件から探す ②〜⑦を任意検索事 例 の 種 類 別 の 登 録 数 ②:ひとと活動 ③:ハッシュタグ ④:事例の種類 ⑤:具体的な機能 A:事例見学レポート B:関連サイトへのリンク C:類似する事例 色々な住まい 医療・保健 宿泊施設 コミュニティ・まちづくり・集い 複合 その他 こども・子育て支援 障がい者支援 高齢者の活躍と生活支援 教育・文化 凡例 表2 事例の分類と内訳 表1 利用実証調査アンケートの概要 − 206 − ン形式の項目選択を併せて示し閲覧者(研究者,学生, 実務者,地域福祉サービス提供者,非福祉・建築関係者) が経験や知識の差を超えて各種事例にアプローチでき る分類構造を目指した。 3. 3 横断的な事例検索機能 「ひとと活動」,「ハッシュタグ」,「マップ」の検索機 能は,従来の事例の分類を超えた事例に出会える要素 として設けた。「ひとと活動」と「ハッシュタグ」の検 索では,事例の分類を超えて,共通する視点や特徴を 表す語を各々の事例登録時に付与することで,対象者 や分類を超えて,類似した特徴を持つ事例が関連事例 として表示される。例として図5に,ハッシュタグが 事例の分類を横断して付与された様子を示す。付与さ れている事例が20 件を超えるハッシュタグを抽出し, 実際に付与されている事例を種類別に示した。 ハッシュタグ「居場所づくり」の事例への付与状況 を見ると,このハッシュタグが付与されている事例は 「こども・子育て支援」10 件,「障がい児者の発達・暮 らし・活動・就労支援」23 件,「教育・文化」13 件, など,9 種の事例種別にわたる。このように,ハッシュ タグは事例の分類を横断して付与されており,事例種 別を超えた事例との出会いを促す効果が期待できる。 一方で,事例ごとの閲覧ページでは,ハッシュタグ の組合せが類似した他事例を掲載することで,検索→ 事例閲覧→類似事例閲覧という流れでの検索対象拡大 を促した。 4.Website の利用実証調査 4. 1 利用実証調査の対象と内容 事例検索の流れや検索事例を指定し,実際にサイト の使用感を検証してもらうモニターアンケート形式注5) で利用実証調査を実施した。調査開始時の状況を図4 に示す。登録済み総事例数は1081 件で,内訳は「A: 事例見学レポート」172 件,「B:事例先のWebsite や 各行政庁の事例集のリンク」922 件,「②ひとと活動」 の付与事例数255 件,「③ハッシュタグ」の付与事例 数298 件,「④事例の種類」1063 件,「⑤具体的な機 能」751 件であった。期間は2020 年12 月28 日か ら2021 年1 月9 日である。アンケート対象者は筆者 らの大学の建築学科に在籍する学生と研究員,筆者ら と連携する他大学の研究員とその研究室の学生,一部 の実務者注6)とした。本アンケートはメールで依頼し, 計94 人から回答を得た。回答者の内訳は,学部生(研 究室配属前)14 人,学部生(研究室配属済)32 人, 地域包括ケア アート・文化 地域とのつながり リノベーション まち・ひと・しごと創生 仕事づくり まちなか活性化 健康づくり 生きがいづくり CCRC 居場所づくり 五感を刺激する 個別支援 支え合う (32) (53) (32) (35) (21) (22) (20) (22) (43) (67) (21) (23) (35) ハッシュタグ( 事例数) コミュニティスペース コミュニティセンター サービス付き高齢者向け住宅 シェアオフィス まちなか拠点 まちライブラリ 医療・保健と健康 駅・交通系施設 ウェルフェアコミュニティ拠点 オープンオフィス クリニック こども・子育て支援 こどものための医療施設 コミュニティ・まちづくり・集いの拠点 コミュニティカフェ 児童館・子育て支援 社会的活動 集約的拠点 集落分散 宿泊施設・拠点 商業施設 小さな拠点 小学校 介護医療院 教育・文化系その他 交通・公園・商業・その他 公営住宅 公共集約 高齢者の活躍と生活支援 高齢者系複合 高齢者向け住宅 障がい者の日中活動支援 図書館 居住系政策・事業 多世代共生住宅 大学 単独改修 地域活性化活動 小規模多機能・宅老所 小規模保育拠点 障がい児の施設入所支援 障がい児者の発達・暮らし・活動・就労支援 障がい者の施設入所支援 障がい者の就労支援 地区の家 地方自治体 文化施設 保育所 有料老人ホーム 幼稚園 幼老一体 特別養護老人ホーム 認知症高齢者グループホーム 認定こども園 発達支援 複合・共生 CCRC 拠点 (20) 団地 病院 その他複合 2 1 1 1 2 3 1 2111 1 1 1 1 1 3 1 2 1 1 1 2 3 1 2111 1 1 1 1 1 3 1 121 1 11 1 3 1 3 11 4 114 1 411 25 49121 2 1 11 2 3 112 2 1 4 1 1 2 1 1 54 1 6 1 21 1 1 1 1 1 12 42 1 221 1 3 2 1 2 2 3 171 7 3 41 1 5 1 3 2 15 1 1 4 1 12 22 1 3 1 1 3 1 1 1 4 2 2 1 121 5 2 11 3 1 1 1 1 1 42 2 6 11 1 2 8 1 1 121 1 13 1111 21 9 1 6 12 3 2 2 11 12 10 11 1 1 1 1 16 21 1 6 14 2 122 2 1 16 21 1 1 3111 6 1 コミュニティ・まちづくり・集い 宿泊施設こども・子育て支援障がい児者支援高齢者の活躍と生活支援教育・文化色々な住まい医療・保健事例の種類【大分類と中分類】 図5 事例ごとのハッシュタグ付与関係 トップページ検索ページ:条件から探す 検索ページ:マップ 検索結果ページ事例詳細ページ ⑦ 事例検索の流れや検索事例を指定し,実際にサイトの使用感を検証して もらうモニターアンケート形式で依頼 R2 12 月28 日~ R3 1 月15 日 援用可能な要素の紹介 事例の種類が類似する 取り組みの紹介 事例種別ではなく横断的 に類似する事例を紹介 回答者属性 記録した見学・ヒアリング時の情報からレポートを作成 ハッシュタグの組み合わせが類似する他事例の表示 事例の公式HP や国が公表する政策別の資料へのURL リンク ・各検索手法での流れ ・どの項目を選択して検索をしたか ・各検索項目の名称は理解できたか ・結果として目的の事例を検索できたか ・利用後のサイト内改善要望について ③ハッシュタグ 個々の事例の特徴,援用可能な要素を示す項目から選択 地域を構成する公共の福祉10 分類から各事例の大枠となる ④事例の種類 施設/取組みの種別を選択 ⑤具体的な機能事例先が取り組む活動やサービスの名称を選択 ⑥所在地 事例の所在地を都道府県単位で選択 ⑦キーワード 事例の名称等のテキストによるサイト内検索 既出指標 ② ③ ④⑤ B A 0 200 400 600 800 1000 登録進捗状況 751 298 255 922 172 学部生 (研究室配属前) 学部生 (研究室配属済) 大学院生(修士) 95 人 大学院生 (博士, 研究生) 研究者 教職員実務の方 その他 1063 (件) 14 25 32 2 7 3 7 4 ② ① ③ ⑧ ⑦⑥② ④ ⑤ ③ ① A ⑧ B C ⑥④ ⑤ ③ ① B:関連サイトへのリンク C:類似する事例の紹介 利用実証調査 調査手法 調査期間 回答者数 アンケート 内容 標 website の構成 条件から探す 〜⑦を任意検索 事例の種類別の登録数 ②:ひとと活動 ③:ハッシュタグ ④:事例の種類 ⑤:具体的な機能 A:事例見学レポート B:関連サイトへのリンク C:類似する事例 色々な住まい 医療・保健 宿泊施設 コミュニティ・まちづくり・集い 複合 その他 こども・子育て支援 障がい者支援 高齢者の活躍と生活支援 教育・文化 凡例 図4 アンケート開始時点のWebsite の事例登録状況 − 207 − 大学院生(修士)25 人,大学院生(博士,研究生)2 人, 建築に携わる研究者7 人,教職員3 人,建築に携わる 実務者7 人,その他4 人であった。アンケートでの質 問内容は以下の通り。 ・本Website で導入した「ひとと活動」,「ハッシュタ グ」,「マップ」の検索システムを利用した後に,選 択項目に記載する名称とその意味は直感的に理解で きたか。 ・検索時の項目選択から事例閲覧ページまでの流れは 直感的に理解できたか。 ・検索時の項目選択の条件に合った事例を見つけるこ とができたか。 ・事例詳細閲覧ページに掲載する情報は直感的に理解 できたか。 これらの質問事項に対して,「5:とてもあてはま る」,「4:ややあてはまる」,「3:どちらともいえない」, 「2:ややあてはまらない」,「1:全くあてはまらない」 の5 段階で評価を得た。さらに,1,2,3の選択時に はその理由を自由記述方式で得た。また,Website 利 用後のサイトデザインや掲載内容の要望を自由記述欄 を設けて意見を収集した。 4.2 Website の総合評価 Website の総合評価と回答者属性別の回答結果をみ る。全19 設問への5 段階評価での回答の評価点の合 計点を,サイトの総合評価(総合点)とした。図6に 全回答者の総合点の偏差値による全体分布と上中下位 の回答者属性の内訳を示す。Website を比較的高く評 価した上位29 人では,特に「建築に携わる実務の方 /建築に携わる研究者」は上位に計8 人(約27.6%), 中下位では計7人(約11.9%)と,上位での割合が 高い傾向があった。一方,下位30 人では「学部生 (研究室配属済)/大学院生(修士)」が計20 人(約 66.7%),中位29 人では計21 人( 約72.4%) である。 また「学部生(研究室配属前)/大学院生(修士) /建築に携わる研究者」を例に,回答者属性別の19 設問a 〜s の回答の単純集計を図7 に示す。評価点5, 4 点は「あてはまる」として集計した。「あてはまる」 の回答率は約76.7% であり,おおむね好評価であった。 図6 の中下位に比較的多く分布していた「大学院生(修 a. 事例見学レポートPDF の掲載場所の発見 b. 事例先の情報,事例集へのリンクの発見 c. 類似する他事例の紹介の掲載場所の発見 d. ひとと活動の選択項目の名称と意味 e. 項目選択から事例の詳細の検索の流れ f. 該当事例が見つけられたか g. レイヤー検索の使い方の理解度 h. レイヤー検索の使いやすさ i. キーワード検索の使い方の理解度 j. キーワード検索の使いやすさ k. ハッシュタグ選択項目の名称と意味 l. 項目選択から事例の詳細の検索の流れ m. 該当事例が見つけられたか n. 項目選択から事例の詳細の検索の流れ o. 事例の種類の選択項目の名称と意味 p. 具体的な機能の選択項目の名称と意味 q. 該当事例が見つけられたか r. 検索から事例の詳細をみる流れ s. 該当事例が見つけられたか6 6 6 6 6 6 6 5 6 5 6 5 6 6 6 6 5 6 6 学部生:研究室配属前大学院生:修士建築に携わる研究者 事例詳細 ページ ひとと活動 検索 マップ エリア検索 ハッシュ タグ検索 条件から探す 検索 KW 検索凡例 14 16 10 13 16 15 15 16 14 15 15 15 15 13 16 15 14 13 15 24 22 20 23 22 18 21 19 20 20 21 22 22 20 23 22 1 1 1 1 16 22 24 1 3 1 1 4 2 4 2 1 2 2 1 2 2 8 2 1 1 1 2 1 1 2 3 1 1 2 1 1 2 1 2 2 1 1 1 1 1 4 2 1 1 1 1 1 1 1 1 2 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80100(%) あてはまる どちらでもない あてはまらない 評価点:5・4 評価点:3 評価点:1・2 偏差値 上中下位別の回答者属性内訳 上中下位の回答者属性の変位 下位30 人中位29 人上位29 人 下位30 人中位29 人上位29 人 8 1 3 5 1 10 10 20 30 40 50 60 建築に携わる研究者 建築に携わる実務の方 教職員 学部生(研究室配属済) 学部生(研究室配属前) 大学院生(修士) 大学院生(博士) その他 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 Website 総合評価 各回答者の評価項目 19 問×5点=95 点 3 5 10 10 1 1 1 1 2 4 13 8 3 3 5 6 4 6 1 1 総合点:50~78 下位 中位 上位 1 2 3 3 1 5 4 4 10 13 6 6 1 1 回答者属性 凡例回答者割合(%) 79~85 86~95 図7 回答者属性別の評価項目の単純集計 図6 正規分布曲線による回答者のWebsite 総合評価の集計 − 208 − 0 10 20 30 40 50 60 70 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 各設問の評価点合計と総合点との相関係数 各設問の評価点合計の偏差値 該当事例数をリアルタイムで反映され ていないため検索選択数掴めない (5) 項目横()内数値の意味がわからない(1) のサイズが小さい,読みづらい(1) 選択項目が多く,選択を躊躇する(4) 検索条件に合った事例が見つからない(25) アイキャッチ写真がまとまりがなく, 特徴が掴みづらい(1) () 内は回答者意見数の数値を示す 検索条件に合った事例が見つからない(10) n p q s + - ❶ ❷ 項目横()内数値の意味がわからない(1) “具体的な機能” の範疇が分からない(2) 選択項目が多く,選択を躊躇する(5) 改善のポイント ねらい a c d e f g b 平均値 平均値 i h j k l m r n o p q s 具体的な機能 該当事例:32 件 法令で標榜される施設種別名,サービス 政策・事業名 認定こども園(20) 児童養護施設(6) グループホーム(7) 障がい児入所支援(9) 閲覧者の絞り込み検索への理解度を 高め閲覧のページ行き来負担を減らす。 同時に安定した検索結果数を反映し, 事例閲覧・発見の機会を増やす。 閲覧者は「具体的な機能」選択項目の 概要を大分類から把握する。スクロー ル数と閲覧者の負担を減らす。 ❶リアルタイムでの該当事例数の表示 「条件からさがす」検索時に,閲覧者が条件絞り 込みの選択とその該当事例数が分かるよう,検索ク リック部横に「該当事例数」を配置 この条件で検索 ❷具体的な機能,選択項目の分類 「具体的な機能」の選択項目を分類し,機能の大 分類から小分類へのプルダウン形式の表示にする。 今後のwebsite デザインのイメージ図 結果の事例が少ない,無い(41) 条件に合わない事例が反映(19) 条件選択・入力時の迷い(14) 条件項目数が多すぎる(15) 表記内容がわからない(19) 条件の名称の意味がわからない(15) システムが理解できない(26) 配置・構成が理解できない(15) 掲載物の配置場所がわからない(18) 表記内容がわからない(10) アンケート自由記述での不満点の抽出 検索結果(60) 事例閲覧ページ(28) 検索ページ(164) 検索条件の選択(104) 0 10 20 30 40 50 60 70 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 各設問の評価点合計と総合点との相関係数 各設問の評価点合計の偏差値 該当事例数をリアルタイムで反映され ていないため検索選択数が掴めない (5) 項目横()内数値の意味がわからない(1) 選択項目のサイズが小さい,読みづらい(1) 選択項目が多く,選択を躊躇する(4) 検索条件に合った事例が見つからない(25) アイキャッチ写真がまとまりがなく, 特徴が掴みづらい(1) () 内は回答者意見数の数値を示す 検索条件に合った事例が見つからない(10) n p q s + - ❶ ❷ 項目横()内数値の意味がわからない(1) “具体的な機能” の範疇が分からない(2) 選択項目が多く,選択を躊躇する(5) 改善のポイント ねらい a c d e f g b 平均値 平均値 i h j k l m r n o p q s 具体的な機能 該当事例:32 件 法令で標榜される施設種別名,サービス 政策・事業名 認定こども園(20) 児童養護施設(6) グループホーム(7) 障がい児入所支援(9) 閲覧者の絞り込み検索への理解度を 高め閲覧のページ行き来負担を減らす。 同時に安定した検索結果数を反映し, 事例閲覧・発見の機会を増やす。 閲覧者は「具体的な機能」選択項目の 概要を大分類から把握する。スクロー ル数と閲覧者の負担を減らす。 ❶リアルタイムでの該当事例数の表示 「条件からさがす」検索時に,閲覧者が条件絞り 込みの選択とその該当事例数が分かるよう,検索ク リック部横に「該当事例数」を配置 この条件で検索 ❷具体的な機能,選択項目の分類 「具体的な機能」の選択項目を分類し,機能の大 分類から小分類へのプルダウン形式の表示にする。 今後のwebsite デザインのイメージ図 士)」では評価点3点の「どちらともいえない」,評価 点1,2点の「あてはまらない」という回答は, 設問 a~h,p,q,s で比較的多く,学部生,大学院生への使 いやすさの向上を図る余地が検出されたと言える。 4. 3 Website の全ての不満点の整理 設問に対して評価点1,2,3の選択理由の自由記述 を基に,Website の検索システムで評価が低い傾向の ある箇所を検出し,今後のWebsite の改善に活かすた め,図8にアンケートの自由記述部での全不満意見 を,類似した意見をまとめていく方法で整理した結果 を示す。検索ページでは検索条件の選択時と検索結果 のシーンで不満意見が出された。検索条件選択時では, 「選択条件の迷い/システムが理解できない」という, 本Website が初見でありその内容に不慣れなためと思 われる意見が計29 件(27.8%),「条件項目数が多す ぎる/表記内容がわからない/配置・構成が理解でき ない」という,Website のデザインに起因する不満意 見が計49 件(47.1%),であった。また,検索ページ では,検索結果で,「検索結果の事例が少ない,無い/ 条件に合わない事例が反映される」という,Website の構築進捗状況での検索指標の付与件数が全掲載事例 数と比較して少ない,「ひとと活動」や「ハッシュタグ」 が原因とされる,検索システム上の欠落部分に関する 不満意見が計60 件(36.5%)あった。 4. 4 具体的な箇所の不満点の整理 比較的多くの不満意見が多く記述された,設問n,p, q,sでの具体的な不満意見とその箇所を図9に示す。 設問n では,「検索条件の選択時に該当事例数が分から なく,選択数が掴めない」5件(45.4%),設問p では 「具体的な機能」内の選択項目が示す意味の範疇がわか らない」2件(25.0%),「選択項目の数が多く,選択 を躊躇する」5件(62.5%)があり,検索システム「条 件からさがす」でのWebsite の挙動を含めた,デザイ ンへの不満点が挙げられた。また設問n,p,q,sを 通して「検索条件に合った事例が見つからない」が合計 で35 件(63.6%)あり,現在のWebsite の事例登録状 況と検索システムの仕組みに関連する不満点が指摘さ れた。 5.今後のWebsite 整備/ 調整の方針と改善点 図9の不満点を改善し,より使いやすいWebsite に 整備するための改善・調整ポイントの整理を図10 に 示す。検索システム「条件から探す」のWebsite デ ザインの観点からの改善ポイントとして,❶ : 検索条 件の項目選択時に該当事例数をリアルタイムで表示す る,❷ :「具体的な機能」の選択項目を分野ごとに整理 する,が挙げられる。 ❶では,検索システム「条件からさがす」において, 検索クリック部の横に選択に応じてリアルタイムで変 わる表示数「該当事例数」を配置する。これによって, 閲覧時の絞り込み検索において検索と結果のページの 行き来の必要性を減じ,条件の設定による絞り込み効 果を視認できることで事例閲覧の利便性を高める。 ❷では,「具体的な機能」の選択項目を一覧で表示で はなく,「政策・事業」や「法令で標榜される機能名」 などにカテゴライズし,閲覧者が「具体的な機能」の 選択項目の意味とその範疇をカテゴライズを見てもら う仕組みである。また一覧表示でのスクロールによる 選択項目の総覧をカテゴライズ下項目からプルダウン 図9 設問n,p,q,s での評価点1〜3点の理由文集 図10 今後のWebsite 整備/ 調整のポイント 図8 設問の票数合計偏差値と総合点の相関分析チャート − 209 − 形式で表示することで,閲覧者のスクロール回数を減 らし,使い勝手を向上させるねらいがある。 なお,本稿では分析結果を,本公開に向けたWebsite の修正に繋げるための速報値として,評価の傾向や, 閲覧者のWebsite への修正要求や意見を整理した。 6.まとめ 本稿では福祉を起点とした,地域振興を行う,多種 多様な事例の分類を越えた横断的な事例検索を行える Website の構築状況と利用実証調査を基とした今後の Website の整備方針を導出した。一方で,Website の 総合評価が他回答者属性と比較して好評価が得られな かった学部生(研究室配属前),学部生(研究室配属済), 大学院生(修士)へのWebsite の利用方法の案内等の 配慮が必要なことがわかった。今後はWebsite の総合 評価を向上させるため,Website の事例登録を進め, 図10の❶,❷の整備を進め,再度,利用実証調査を行い, 学生回答者の不満意見に着目して抽出を行うという段 階を踏んでいくことで,議論の土台となるWebsite を 目指す。 謝辞 本研究にご協力いただきました皆様に,篤く御礼申し 上げます。なお,本研究は,科学研究費補助金(基盤B) 『「利用縁」がつなぐ福祉起点型共生コミュニティの拠点 のあり方に関する包括的研究(研究代表者:山田あす か)』の一環として行われました。 [注釈] 注1)一般公開後,最も利用が多い属性は建築に関する研究者や 建築業関係者,建築初学者と想定している。これらの利用者 は,事例の運営上の特徴や内観・外観の様子,ヒアリングの 内容を把握できるレポート記事,また関連リンクなどの関連 情報の集約にニーズがあると考えられる。また,制度の転換 期前後でのレポートなどは研究蓄積としての価値があり,こ の点にもニーズがあると想定される。本サイトでは,これま での施設種別のみでの事例提示だけでなく,機能の複合や連 携が多く行われている背景をふまえて「ある機能や空間,取 組みをもつ」事例を,施設種別を横断・俯瞰して情報を得ら れる点にニーズが発生すると考え,実践に至った。 注2)本サイトは最短でも10 年間の運用を想定し,website の 維持管理・運営は筆者らの研究室が中心となって行う。また, 建築学会の委員会ワーキンググループと当活動を連携してい るため,当面は継続的な連携を想定している。公開している 情報や記事の追加・更新は,当該研究室と上記WG での研究 活動(施設見学や調査)の一環として行う。また,サイトの 趣旨に賛同する研究会や他大学,閲覧者から情報提供を受け られるよう,依頼と連絡先を記載している。今後,投稿フォー ムの設置を検討する。 注3)掲載する内観写真,外観写真はプライバシー,権利に配慮 し,モザイク処理を施した画像を使用している。 注4)掲載する事例のリンクには,事例先が公式に開設している ホームページ,現時点で行政庁が公開している施策の事例集 紹介ページ,当該事例先の計画/ 設計に携わった設計事務所 等が公開する設計事例詳細ページ,当該事例が掲載されてい る新建築,近代建築の冊子のバックナンバー紹介ページ,医 療福祉建築賞の紹介ページ,他大学が運用する事例紹介ペー ジなどを載せている。リンク掲載の基準としては,国や学術 機関,当該事例先が公開している,信憑性のあるWeb ペー ジを選定している。 注5)2020 年12 月28 日時点では,掲載する事例先にWebsite での公開許可を得ていない。利用実証調査は,事例先のプラ イバシーや情報漏洩に配慮し,Website のアクセスはID と パスワードを設定し限定的に公開した上でアンケート調査を 行った。 [参考文献] 1)まち・ひと・しごと創生本部,「生涯活躍のまち」構想最 終報告,http://www. kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/ ccrc/saisyu-houkoku.html,2020 年10 月参照 2)SWC首長研究会,スマートウェルネスシティとは,http:// www.swc.jp/about/,2020 年10 月参照 3)国土交通省,「小さな拠点」づくりガイドブック,https:// www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/kokudoseisaku_tk3_ guidebook.html,2020 年10 月参照 4) 厚生労働省,「我が事・丸ごと」地域共生社会実 現本部,https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/othersyakaihosyou_ 457228.html,2020 年10 月参照 5)厚生労働省,地域包括ケアシステム,http://www.mhlw. go.jp/stf/seisakunitsuite/buna/hukushi_kaigo/kaigo_ koureisha/chiiki-houkatsu/, 2020 年10 月参照 6)architecturephoto® , ホームページ,https:// architecturephoto.net/,2020 年10 月参照 7)一般社団法人ソトノバ,ホームページ,https://sotonoba. place/,2020 年10 月参照 8)東京電機大学 建築・環境計画研究室,環境づくりのリゾー ムサイト,ホームページ,http://rhizomesite.com/,2020 年10 月参照 9)千葉紗央里,山田あすか:“ 小児の療養環境評価項目の整理に よる環境づくりの普及サイト「環境づくりのリゾームサイト」 の制作とその検証” こども環境学会 こども環境学研究,Vol.10 No.3(C.N.28), 2014.12,p.70,2020 年10 月参照 10)科学研究費助成事業データベース,山田あすか,「利用縁」 がつなぐ福祉起点型共生コミュニティの拠点のあり方に関 する包括的研究,https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHIPROJECT- 18H01611/, 2018 年10 月参照 11)山田あすか,2019 年度開始社会ニーズに対応した「特別調 査委員会」設置提案書,多様な事例の横断的整理による福祉 起点型共生コミュニティの概念整理と新しい地域拠点計画の あり方の検討,https://www.aij.or.jp/syakaini-zutaiou/y060- 16.html, 2020 年10 月参照 − 210 −
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