この秋、海外の戦争児童文学を2冊読みました。
ひとつは『本泥棒』 第二次大戦下のドイツのおはなし。
敗戦間近の郊外都市で、身寄りのない女の子が養子縁組先の両親や近所の家族、友人、隠れユダヤ人らとともに終戦を迎えるまでの物語。
舞 台がドイツなので、日本の終戦間近の頃のように空襲でめっためったにやられ、主人公とユダヤ人以外はリアルに全滅。
児童書なのに身もフタもない内容でした(^^;)
一方、『第八森の子供たち』こちらはドイツとの国境付近のオランダが舞台。
ドイツに侵攻されたり軍隊の通り道になったりはするものの、物語の舞台が田舎の農村なため、どこか「対岸の火事」的。
作者の体験をもとに書かれたものだそうで、描写はかなりリアルだけれど、
たまに流れ玉が飛んできたりドイツ兵が食べ物を要求してきたりする程度で、かくまっていたユダヤ人一家以外は、終戦まで家族全員無事。
児童書らしく、おだやかにかつ正面から戦争をとらえた(敢えて泣かせ文学にしてないところがいい。)良書でした。
戦争文学、戦争映画というとやはりドイツを舞台にしたものに触れる機会が多く、
主人公がドイツ人にしろユダヤ人にしろただただ悲惨で・・・という印象ばかり残るんだけれど、
(『本泥棒』のほうはそういうかんじ。お涙頂戴的ではあ る。)
同じ戦争の同じ時期、国境をはさむだけでこうも見方が変わるのか…と。
屋根にのぼるとかすかに見えるドイツの、見えないし手で触れられない戦争が、ひたひたと森の奥から近づいてくる感覚…
この「静かな不安」が伝わるような語り口は実に秀逸だとおもいました。
オランダは地理的にドイツとイギリスにはさまれており、 ドイツが開発途中だった大陸弾道弾(テポみたいなやつ???)がイギリスに到達せず落ちてくることがあったとか!
V1ミサイルというのだそうだけれど、そんなのぜんぜんしらなかった。
そういえば「戦場のピアニスト」でめためたにされたのはポーランド。
いろいろな国の立場からあの戦争を眺めてみると、またちがった発見があるんあるんだろうなぁ…とおもいました。
うっかりすると我々は、今もどこかで戦争が続いてることを忘れてしまうよね。
それを忘れないでいること、いつも気にしていること、あの戦争を子供たちにつたえていくこと、大切だなあとおもいます。
・・・まあ、できることなんかそんなにないけどさ。
どちらもとてもいい本ですのでおすすめです(^o^)/
『本泥棒』はそうとう重たいので、再起動に時間がかかりますよ~~ねんのため!!(^^;)