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風野真智雄の『われ、謙信なりせば』(上杉景勝と直江兼続)を読んだ。風野の作品は初めて読んだので、作者について。1951年福島県生まれで、93年『黒牛と妖怪』で第17回歴史文学賞を受賞し作家としてデビューしたらしい。
「あの二人が欲しい」慶長3年、(1598年)、太閤秀吉が没し、天下盗りに王手をかけた徳川家康が呟いた。あの二人とは、故上杉謙信の後を継ぐ上杉景勝とその軍師直江兼続のことである。関ヶ原の合戦の前に、景勝と兼続は領地である会津に帰り、軍備を急ぐ。家康の上阪要請に対し、有名な兼続の反論が行われ、家康が上杉討伐の軍を起こす。その隙をねらって石田三成が挙兵し、関ヶ原のたたかいになるのは有名な話だ。江戸へ引き返す家康の軍をなぜ上杉は攻めなかったのか?大きな疑問が残るところである。本書では、景勝が謙信以来の「義」の立場に立って、家康を攻める「義」がないと考えたことになっている。関ヶ原の合戦の後、上杉は米沢30万石に押し込められる。その後の、米沢での仕置きのこと、そして子供を亡くした兼続が自分の代で直江家を終わりにする判断をすることなど、天下を相手にたたかった彼の生き様というものを描いている。
風野真智雄という作家の作品はこれが最初だが、結構面白かった。少し探して読んでみたいと思っている。
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