12月14日(土)に日本大学で開催された丹沢大山自然再生活動報告会に、野生動物救護の会の痕跡調査チーム「BeasTrace」がポスター発表を行いに行ってきました。この報告会は、丹沢大山自然再生委員会の主催で毎年開催されていて、BeasTraceは去年に続いて2回目の参加となりました。基調講演では、羽山委員長とセンターの羽太部長が丹沢大山自然再生計画の15年間の歩みを振り返り、これまでの成果と今後の課題についてお話をされました。シンポジウムでは、丹沢のシカ問題、人工林の管理、登山者のオーバーユーズと自然保護の問題について神奈川県の担当者による講演が行われました。また、基調講演とシンポジウムの合間に大学の研究者や市民団体が調査研究や自然保護に関する成果をポスター発表しました。
戦後に荒廃した丹沢大山の自然を復活させるために始められた再生活動は、多くの人々の努力によって実を結び始めているようです。シカの管理捕獲やシカ柵の設置により林床の植物層が再生し、水源林の整備が進み野生動物たちの生息環境も改善されつつあります。しかしながら新たな問題も生まれてきています。地球温暖化による環境の変化がブナ林の再生を妨げるとともに台風による水害ももたらします。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のような感染症を媒介するマダニや豚コレラに罹患したイノシシが丹沢に侵入する可能性も懸念されます。丹沢大山の自然を復活するために行ってきた再生活動は、人間と自然のより良い共生を実現するための活動にシフトチェンジする時期が来ているのかもしれないと、委員会の先生方が話されていました。BeasTraceのメンバーも人と野生動物のより良い共生を目指して、微力ながら調査研究を続けていきたいと思います。
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