五体目。
趣味でも仕事でもなんでもそうだと思いますが、ビギナーズラックで上手くいくとそのあとしばらくはノリノリでよい仕事ができるものです。
そんな時期には失敗ですら味になったり。
これが四、五作目あたりになってだんだん頭で考え始めるようになるとガタガタになるわけです。
マニュアル化してやろうとか、理論化してやろうとか、上手くいったアレを再現しようとか。
これはその典型的な例。
茶色はルナダイバーで鍛えた得意色ですが、緑色がいい色がでなくて苦労しました。なんかどす黒くて汚ならしい。
明るくすればいいじゃん、という話なのですが、白を混ぜると何だかカビみたいでパレットにある時点で気にくわない。それでもまあ塗ってみると明らかに浮いているのであわてて嫌だと思っているどす黒い色に戻したり。
(明るい緑が浮いてしまう理由はずっと後になってから写メをセピア色変換したらわかりました。茶と緑の色の境目が消えて単色の機体になったのです。茶と緑の明度が同じなのだと思います。緑を明るくするためには茶も明るくしなくてはいけなかったのでしょう。)
明るくすることが出来なかったのでチューブ直出しの青や黄で薄くカバーしたりとかだましだましなんとか清潔感が増さないかと試行錯誤しました。
最終的に腕先の白線を描いた時に、あ、この濃い色も大河原っぽくてかっこいいかもと思えるようになりました。
リアルタイプっぽくて好き。
頭で考えはじめた分、手先の感触に耳を傾けることを忘れているので、前より太い筆を使っていることに気づかず、細かい塗り分けが下手になったと悩んだり、絶不調でした。
これをオデコメガネ症候群と呼びます。うそ。
出来上がった当時は当然好きな作品ではなかったわけですが、日をおいて見ると、悩んだ分細かく丁寧なタッチを積み重ねいて綺麗な仕上がりです。
私の作品は雑で実物は写真より見劣りがしますが本作は勝っています。
メモ。
・目の周りのクマはオリジナル。(多分。ブログ巡りが好きなのでどなたかの作品が記憶に残っていた可能性もありますが。)お気に入りです。
・デカールは油絵の具の上からでは密着してくれません。過去作ではインレタを使用していますが今回はプラスチックの上にデカールを貼って、クリアを塗り、砥ぎ出して、油絵の具を塗るという事をしています。
・天面のカメラの溶接痕は油絵の具です。油絵の具は溶剤が気化するのではなく、化学反応で固まるためひけませんのでこのような事ができます。
・元々Ma.k.専門模型店NUTZのラプターコンペに参加させていただくつもりでした。ブーメランはそのための物。ちょっとでもネタになればと。上記のように塗装に大苦戦している内に期限切れになってしまいました。
・アンテナは合成樹脂のホウキの毛。横山先生がマップロ1で紹介されておられました。
先生は安全面から奨励されていますが、針金よりもピンッと伸びるので表現としても優れていると思います。
ルナダイバーという大物を完成させ、展示会参加というイベントも終わり、脱力感のなか肩のこらない物をユルく作りたいなあと選びました。
下地には昔に混色したラッカーのグレイを死蔵していてもしかたないから、ダークグレイならなんでもいいやという軽い気持ちでエアブラシ塗装しました。
このグレイは寒色系でガサガサなつや消しです、メタリックカラーが少し混ぜてあります。
これらの特徴にちょっとだけ振り回されました。
寒色系:ルナダイバーに使ったグレイは茶色味がかった暖色系の色で自然に塗装に馴染んでくれました。(横山先生はマホガニーを愛用していらっしゃいますね)
筆の届かない所、影になる所を塗り残したり、うす塗りですましたりして影を表現するのですが、青系のグレイだとなぜだかすごく気持ち悪い。
あわてて赤を塗装面に直接おいてブレンディングしたり補整した所、青と赤の二系統の影色が生じ深みを増しました。
結果オーライ。
ガサガサなつや消し:ガンダムセンチネルでいうところの梨地直前というやつです。油絵の具のからみがよく他の作品よりうす塗りで仕上がってます。
メタリックカラー:うっすら塗面越しにすけて金属のような仕上がりになりました。あおぐろいグレイであること、うす塗りであること、使用した油絵の具が透明度の高い色だったこと、これらがトータルにはたらいているのでしょうが。
工作について
このキットの再販当時、胴の巾をつめると格好よくなるという記事がMG誌に掲載されました。
逆に手足を太くしても面白いのではと試してみました。
腕:上腕1mm巾増し。下碗はそのまま。ただし、左腕は楕円の整形を修正する目的で0.3か0.5mm巾増し。
脚:太ももを楔状に巾増し。上端で1か1.2mm、下端で0mm。
こうして出来上がった姿は想像していたよりもずっと普通でした(笑)
スネークアイとファルケは同時進行に近かったのですが、ルナダイバーは二作が出来上がってから心機一転工作を始めました。
入りくんだ部分が多いので下地にラッカーの灰色をエアブラシ塗装しました。
そのため前二作とは仕上がりの雰囲気が異なります。
油絵の具塗りが楽しくてしょうがない時期だったので工作の終了を待ちかねて塗装に入りました。
色味が中々決まらず何度か塗り重ねてますが、のっている時は運も味方するものです。
最初はさび止めのような赤。暗くて気に入らず次に透明感のある黄色。最終的ににサーモンピンクの様な色で塗ったのですが、その結果赤は錆びに、黄はオイル漏れにと非常にコクのある塗装になりました。
延々二ヶ月以上塗っていました。
ちなみに第6回関東Ma.k.模型展示会参加作品です。
参加者の方々の作品の塗装面と比較して(※作品を比較したのではない)油絵の具という塗料の美しさは際立っていると思いました。
また懸念していた塗膜の厚さもさほど問題ではなかったようです。
液体ではないため凹部にたまらないのでディテールがだるくなりにくいという事のようです。
遅乾性なのでたまっていても筆先でかきだせますしね。
?
作品自体を比較してどうだったか?
玉砕して泣いて帰りましたよ。
横山先生が作品の前を四回素通りしたのが思い出です(笑)
二体目の作品。
スネークアイでブレンディングの面白さ、容易さに感動したので次作は当然迷彩なのです。
ぼかしが容易なのと同時にキッパリした塗り分けも簡単なことを本作で知りました。
機首の迷彩と白の塗り分けは同じ日に行っています。
油絵の具は乾くのに数日かかりますが、チューブに入ったペースト状のままで塗るのでこちらからブレンディングしない限り液体の絵の具のように混ざることはないわけです。
作品は大きなキャンバスを持て余してますね。
かなり塗り込みが足りないです。
1/35なら上出来といった所。
写真では大きさがわからないのでわかりませんがw
油絵の具三原色塗りの記念すべき一作目です。
この作品以前から油絵の具で塗装するという事はボチボチおこなってはいたんですが、油絵の描き方のままで塗ってはいけないという変な思い込み、決めつけがあってラッカー溶剤で薄めて塗るなど試行錯誤していました。
また色も12色セットの色を使っていました。
そんな中いくつか数をこなす内にだんだんと感覚で油絵の具の事がわかってきます。
変に模型向けにアレンジしなくても、油絵の描き方のままでプラスチックの上に塗って構わないのではと感じるようになってきました。
その実験台にしたのがこの素組のスネークアイです。
その際に、子供のころから興味のあった三原色による混色も、どうせ実験だからと気軽な気持ちで試して見ることにしました。
やってビックリ!
今まで取説の作例のような無個性な塗装しか出来なかった私にこんな面白味のある作品が作れたのです。
これ以来ドップリはまっています。
スネークアイについて。
サーフェーサーのグレイ地の上から油絵の具の赤青黄プラス白で塗装しています。下地のグレイが結構すけています。この効果に気づいて、塗りつぶしてしまった所にも上からグレイを置く事もしています。
恐る恐るアクセントの赤をおいてブレンディングした時の感動は今でも覚えています。
実に容易に好みのボケ具合になってくれます。
他にも色のはみだしを指の腹ででなじませたり、ノリノリで塗装しました。
この作品に関しては楽しかったという感想しかありません。
ちなみに色のモトネタはマップロ2収録BDの3ページ目の右上のイラスト。
ベージュとアイボリーのムラが美しい。