30歳を過ぎて、ようやく酢豚に入ってるパイナップルを受け入れることができるようになった男...それがボクです。
スゴイね、北島、金メダル!200mもガンバレっ!
1990年...夏。
ボクのいたボウイのコピーバンドは阪南市のサラダホール(小ホール)で行われる、楽器店主催のライブイベントに出ることになった。
バンドはボーカルと他のメンバーとの確執(まぁ、実際はそんな大したものではなかったが。)など、様々な不安材料を持ちながら、なんとかライブ当日を迎えた。
このイベントは全部で10数組ものバンドが30分ずつ、ライブをやっていくという長丁場。お昼過ぎにトップのバンドが出て、最後は夜の21:00前くらい。
ボクらは朝から会場入りし、リハーサル。
ひろ~い楽屋に戻って、出番まで、みんなで準備したり、おしゃべりしたり、細かい打ち合わせをしていた。
ボクらのバンドのボーカルは、髪の毛のセットに余念がなかった。ヒムロックになるべく、彼は懸命に鏡に向かって、ドライヤーと格闘していた。
ボクらは、その後ろで、おしゃべりをしていたのだが、残念ながらボーカルの彼との心の距離は修復不可能になってしまっていた...
おそらくこのライブでボクらのバンドは解散。中にはすでに脱退を告げていたメンバーもいたと思う。
そんな待ち時間に、メンバーみんなで、ひとつの作戦を企てた。
ライブの最後に、ボーカルが演奏したがっていた「IMAGE DOWN」という曲のイントロを弾き始め、ボーカルが歌いはじめた瞬間、即エンディングにつなげて演奏を強制終了させるという、ドッキリ的なシロモノだ。「勝手なことばかり言いやがって。そんなにやりたいのならやってやるよ!」的な、やや行き過ぎた感情が、ボクたちをその奇行へと駆り立てた。
全員が同意した直後、ボクらはリハーサルを開始した。
手にしたギター、ベースは生音、ドラマーは自分の太ももでビートを刻み始めた...このバンド始まって以来、最高のグルーヴが生まれた...
ボーカルの髪の毛のセットも終わり、しばらくした頃、ボクらはついに本番のステージに立つことになった。
一曲目はたぶん、「BEAT SWEET」だったと思うが、今となってはもう、記憶はかなり曖昧だ。イントロが始まった瞬間、場内にいた女の子たちが、一気に立ち上がった!まぁ、ボクらが凄かったんじゃなくて、ボウイが凄かったということに間違いなかったのだが。
その証拠に一曲目のギターソロが終わる頃には、はやくも客席は、集団ジャンケンの決勝戦さながらの情景になっていた。
ライブ本編はとにかく必死で演奏した。「LIKE A CHILD」や、「PLASTIC BOMB」、「ONLY YOU」など...表現力なんて言うのもおこがましいくらい、本当に稚拙なプレイだったと思うがボクらは何とか、最後の「No!N.Y」まで持ち込んだ。
「No!N.Y」の最後のEのコードをかき鳴らし、エンディングをひっぱるメンバー...そう!いよいよ、幻の「IMAGE DOWN」の時間がやってきた。
しかし、本当にやるのか?
楽屋では悪ノリしてたが、今はライブの本番。ましてやラストの場面...
これでお茶を濁して、ボクら全体が「イメージダウン」になるのではないか?
さすがに、ボーカルに対して「かわいそうなのでは?」などなど...
(後になって、この時の事をみんなで振り返ったことがあったが、やはりみんな同じ気持ちだったらしい。)
ボーカルはこれでライブが終了したと思っていた...
ボクらバックのメンバーはお互いの顔を見合わせた...
すると、ドラマーが軽くうなづいて、カウントを4つ入れた。
ほんの数秒のことだったと思うが、ボクにはとても長い時間に思えた。
ドラマーがカウントを入れた瞬間、様々な葛藤は、すべて吹き飛んだ...
そして、ボクたちは「転がる石」になっていった。
リハーサルも入念にやったおかげで、演奏は完璧だった。
「IMAGE DOWN」のイントロが流れた瞬間、ボーカルはやはりテンションが上がった。それは当然。「お前らやるじゃん!」的にニュアンスは十分に感じ取れた。
ボクたちは楽屋での打ち合わせどおり、タイトに演奏をしめくくった。
なぜなら、イントロとエンディングしか、本当に弾けなかったからだ。
(全部通して演奏できるなら、とっくにレパートリーとしてライブ本編で演奏していただろう。)
もちろん、イントロとエンディングを完璧につなぎ合わせて...
ヒムロックみたいにキメたボーカルは「♪カッコがいいよ、お前はいつでも~」と歌うところが、途中で演奏が終わったため、「カッ....???」ってなちょっとおかしな歌い方になってしまった。
そしてライブは終了...ボーカルはちょっと淋しそうに、ステージを降りていった。
まぁ、正確に言えば、この後でもうひとりのギタリストがやりたいってリクエストしてた「Johnny B' Goode.」(チャック・ベリーじゃなくて、ジミヘンっぽかったけどネ)をボーカル以外のメンバーで一曲だけプレイした。ボクもアドリブソロをやった。
そのライブの模様はビデオに収められていて、しばらくは「飲めない酒の肴」になったりしたような気もするのだけど、まぁ、今となっては当時のボーカルに申し訳ないって気持ちでいっぱいだ。いや、ウソはつきたくないから、「いっぱい」ってワケじゃないけど、少なくとも今だったら決してやらないと思う。
というか、やはり、やってはいけないと思う...
そんなこんなで、1990年の暑かった夏。ボクらのバンド「ルパンとその一味」のギグは終わった...もう完全にバンド自体は空中分解の様相を呈していたが、ボクには感傷など無かった...ライブの感想も、たしかに上手いバンドはいたが、どれもこれもやはり同じたぐいのモノばかりだった。ZIGGYの「I'm Getting Blue」なんて、この日のライブだけで3回も聴けたんだもの。
いよいよボクは、本格的に初期のビートルズや、50~60年代のアメリカンポップス、ロックンロール...俗に言う「オールディーズ」をプレイできるバンド(まぁ、ビートルズはオールディーズだなんていまだに思っていないが。)がほぼ結成となりつつあり、おまけに初ステージの話まで決まっていたのだから、もう気持ちはすっかり、そちらに夢中になってしまっていた。
当時、ボクら世代で、そんな音楽をやってるバンドは他にいないだろうと思っていた。
このサラダホールのライブで「Johnny B' Goode.」をプレイしたときも、照明やPA、スタッフのオジサンたちが、嬉しそうに聴いてたことを、後で誰かがボクたちに教えくれた。
これ以後もボクたちが50~60年代の音楽をプレイすると、珍しがられたり、「あら、キミたち、なかなかイイネ~」なんていいながら、ミョーに昔を懐かしがられたりもした。
そりゃ、褒めてくれれば、悪い気なんて全然しないけど、ボクは、やりたい音楽をただ胸を張ってやってるだけ。もちろん、今も昔も...そう、これからも。
古ければ何でも「いい音楽」だなんて、ちっとも思っていないし、
別に誰かに気に入られようなんて思ったことも無い。
【Image Down】~【Baby Action 】
http://jp.youtube.com/watch?v=fBsz62IJpYg&feature=related
ボウイ、ボクは好きやで。
だってこれ、ロックンロールやもん。
当時はそんなふに思わんかったけどなっ。
スゴイね、北島、金メダル!200mもガンバレっ!
1990年...夏。
ボクのいたボウイのコピーバンドは阪南市のサラダホール(小ホール)で行われる、楽器店主催のライブイベントに出ることになった。
バンドはボーカルと他のメンバーとの確執(まぁ、実際はそんな大したものではなかったが。)など、様々な不安材料を持ちながら、なんとかライブ当日を迎えた。
このイベントは全部で10数組ものバンドが30分ずつ、ライブをやっていくという長丁場。お昼過ぎにトップのバンドが出て、最後は夜の21:00前くらい。
ボクらは朝から会場入りし、リハーサル。
ひろ~い楽屋に戻って、出番まで、みんなで準備したり、おしゃべりしたり、細かい打ち合わせをしていた。
ボクらのバンドのボーカルは、髪の毛のセットに余念がなかった。ヒムロックになるべく、彼は懸命に鏡に向かって、ドライヤーと格闘していた。
ボクらは、その後ろで、おしゃべりをしていたのだが、残念ながらボーカルの彼との心の距離は修復不可能になってしまっていた...
おそらくこのライブでボクらのバンドは解散。中にはすでに脱退を告げていたメンバーもいたと思う。
そんな待ち時間に、メンバーみんなで、ひとつの作戦を企てた。
ライブの最後に、ボーカルが演奏したがっていた「IMAGE DOWN」という曲のイントロを弾き始め、ボーカルが歌いはじめた瞬間、即エンディングにつなげて演奏を強制終了させるという、ドッキリ的なシロモノだ。「勝手なことばかり言いやがって。そんなにやりたいのならやってやるよ!」的な、やや行き過ぎた感情が、ボクたちをその奇行へと駆り立てた。
全員が同意した直後、ボクらはリハーサルを開始した。
手にしたギター、ベースは生音、ドラマーは自分の太ももでビートを刻み始めた...このバンド始まって以来、最高のグルーヴが生まれた...
ボーカルの髪の毛のセットも終わり、しばらくした頃、ボクらはついに本番のステージに立つことになった。
一曲目はたぶん、「BEAT SWEET」だったと思うが、今となってはもう、記憶はかなり曖昧だ。イントロが始まった瞬間、場内にいた女の子たちが、一気に立ち上がった!まぁ、ボクらが凄かったんじゃなくて、ボウイが凄かったということに間違いなかったのだが。
その証拠に一曲目のギターソロが終わる頃には、はやくも客席は、集団ジャンケンの決勝戦さながらの情景になっていた。
ライブ本編はとにかく必死で演奏した。「LIKE A CHILD」や、「PLASTIC BOMB」、「ONLY YOU」など...表現力なんて言うのもおこがましいくらい、本当に稚拙なプレイだったと思うがボクらは何とか、最後の「No!N.Y」まで持ち込んだ。
「No!N.Y」の最後のEのコードをかき鳴らし、エンディングをひっぱるメンバー...そう!いよいよ、幻の「IMAGE DOWN」の時間がやってきた。
しかし、本当にやるのか?
楽屋では悪ノリしてたが、今はライブの本番。ましてやラストの場面...
これでお茶を濁して、ボクら全体が「イメージダウン」になるのではないか?
さすがに、ボーカルに対して「かわいそうなのでは?」などなど...
(後になって、この時の事をみんなで振り返ったことがあったが、やはりみんな同じ気持ちだったらしい。)
ボーカルはこれでライブが終了したと思っていた...
ボクらバックのメンバーはお互いの顔を見合わせた...
すると、ドラマーが軽くうなづいて、カウントを4つ入れた。
ほんの数秒のことだったと思うが、ボクにはとても長い時間に思えた。
ドラマーがカウントを入れた瞬間、様々な葛藤は、すべて吹き飛んだ...
そして、ボクたちは「転がる石」になっていった。
リハーサルも入念にやったおかげで、演奏は完璧だった。
「IMAGE DOWN」のイントロが流れた瞬間、ボーカルはやはりテンションが上がった。それは当然。「お前らやるじゃん!」的にニュアンスは十分に感じ取れた。
ボクたちは楽屋での打ち合わせどおり、タイトに演奏をしめくくった。
なぜなら、イントロとエンディングしか、本当に弾けなかったからだ。
(全部通して演奏できるなら、とっくにレパートリーとしてライブ本編で演奏していただろう。)
もちろん、イントロとエンディングを完璧につなぎ合わせて...
ヒムロックみたいにキメたボーカルは「♪カッコがいいよ、お前はいつでも~」と歌うところが、途中で演奏が終わったため、「カッ....???」ってなちょっとおかしな歌い方になってしまった。
そしてライブは終了...ボーカルはちょっと淋しそうに、ステージを降りていった。
まぁ、正確に言えば、この後でもうひとりのギタリストがやりたいってリクエストしてた「Johnny B' Goode.」(チャック・ベリーじゃなくて、ジミヘンっぽかったけどネ)をボーカル以外のメンバーで一曲だけプレイした。ボクもアドリブソロをやった。
そのライブの模様はビデオに収められていて、しばらくは「飲めない酒の肴」になったりしたような気もするのだけど、まぁ、今となっては当時のボーカルに申し訳ないって気持ちでいっぱいだ。いや、ウソはつきたくないから、「いっぱい」ってワケじゃないけど、少なくとも今だったら決してやらないと思う。
というか、やはり、やってはいけないと思う...
そんなこんなで、1990年の暑かった夏。ボクらのバンド「ルパンとその一味」のギグは終わった...もう完全にバンド自体は空中分解の様相を呈していたが、ボクには感傷など無かった...ライブの感想も、たしかに上手いバンドはいたが、どれもこれもやはり同じたぐいのモノばかりだった。ZIGGYの「I'm Getting Blue」なんて、この日のライブだけで3回も聴けたんだもの。
いよいよボクは、本格的に初期のビートルズや、50~60年代のアメリカンポップス、ロックンロール...俗に言う「オールディーズ」をプレイできるバンド(まぁ、ビートルズはオールディーズだなんていまだに思っていないが。)がほぼ結成となりつつあり、おまけに初ステージの話まで決まっていたのだから、もう気持ちはすっかり、そちらに夢中になってしまっていた。
当時、ボクら世代で、そんな音楽をやってるバンドは他にいないだろうと思っていた。
このサラダホールのライブで「Johnny B' Goode.」をプレイしたときも、照明やPA、スタッフのオジサンたちが、嬉しそうに聴いてたことを、後で誰かがボクたちに教えくれた。
これ以後もボクたちが50~60年代の音楽をプレイすると、珍しがられたり、「あら、キミたち、なかなかイイネ~」なんていいながら、ミョーに昔を懐かしがられたりもした。
そりゃ、褒めてくれれば、悪い気なんて全然しないけど、ボクは、やりたい音楽をただ胸を張ってやってるだけ。もちろん、今も昔も...そう、これからも。
古ければ何でも「いい音楽」だなんて、ちっとも思っていないし、
別に誰かに気に入られようなんて思ったことも無い。
【Image Down】~【Baby Action 】
http://jp.youtube.com/watch?v=fBsz62IJpYg&feature=related
ボウイ、ボクは好きやで。
だってこれ、ロックンロールやもん。
当時はそんなふに思わんかったけどなっ。