ターボ・モーターの"そんなボクです..."

ギターを弾いて歌う...そしてボクはロックンロールを今日も転がす。
ターボ・モーターの気まぐれダイアリー

Driving Nowhere...

2010年06月03日 | Weblog
大体この時間に何気なくつけたテレビでやってる、水川あさみと古田新太のコントみたいなドラマ...
くだらなさすぎて最高ですネ。あっ、ボクです。アフターミッドナイト!

翌日からは3学期の授業が始まった。
彼女との仲は何も変わらない。 ただ卒業の日だけが刻々と近づいていった。

ある朝、教室で彼女が話しかけてきた。ちょっと興奮している。
「あのネ、昨夜ソニック・ユースのライブに行ったの!」
なんでも、ライブ中にメンバーのサーストン・ムーアが観客に向かって「ステージに上がれ!」と煽ったらしい。
どさくさに紛れて、彼女は一目散にステージの上へ駆け登り、「サーストンに思いっきり抱きついたった!」と嬉しそうに語っていた。

そう!彼女、やるときはやるんだ。

後日、天王寺でライブをやったドラマーのヤツがボクに「ライブに行かないか?」と言ってきた。
「やっぱライブ観なアカンよ!勉強になるし。」そう必死で誘う彼に対し、わりと軽いノリでボクはOKをした。
偶然にもソニック・ユースやボアダムスとかのメンバーがシャッフルしてそれぞれのユニットでライブを行うというイベントだった。

始まってすぐにサーストン・ムーアが弾き語りを始めた。
フェンダーのジャズマスターかなんかを弾いてたような気がする。
彼女が「思いっきり抱きついたった」というサーストンはやたらと背が高かった。

最後のバンドのライブ中、いきなり一人の男が、ステージからボクの前の方へ向かってダイブしてきた。
みんな受け止めるのか?と思ったが、全員見事に素早くこれをかわした。もちろんボクも。
「...痛~っ!」アタマから落下した男の叫び声は、ステージのバンドのギターのノイズにかき消されていった。
「これが、グランジ...まさにオルタナ!」とボクは心の中で叫んだが、お世辞にも出てきたバンドの演奏はどれも素晴らしいモノじゃなかったと思う。
チケット代...今思えば、結構高かったョ。

そんなこんなで、卒業のための課題制作に追われる毎日…卒業してからの準備もしなくてはならない。
くだらない寄り道ばかりしながらも、ボクらは着々と(?)それをこなしていった。

卒業式の数日前に彼女と学校の入り口でバッタリ会った。
ボクは、近所にあるコーヒーショップに誘おうと思ったが、それを口にはしなかった。
なぜかはよく分からない。帰り際、ボクらはいくつかの「あてのない約束」をしてお互いに手を振った。

卒業後...ボクは好意で、ある先生の事務所で見習いみたいなことをするようになった。
彼女も同じ先生の紹介で別のデザイン事務所へ。

忙しい合間を縫って、電話では何気ないおしゃべりなんかをしていたボクらだったが、久しぶりに二人でライブを観に行く約束をした。
スウェードのライブへ。サンケイホールだったと思う。

当日は雨が降っていた...
今度はボクがずいぶん遅れたが、会場の入り口で彼女はチケットを2枚持って待っていた。
開演ギリギリ...なんとかボクらは間に合った。

久しぶりに会う彼女は、長く伸びていた髪を大胆に短くカットし、驚くほどイメージが違っていた。
「会社の人は前の髪型のほうが良かったって、かなり不評なの...」彼女はぼやいたが、ボクはすぐさまこう言った。「いや、こっちの方がいいよ!」 
となりでやたらオシャレにキメた彼女が、ボクにはまるでロックスターのように思えた。

そう!彼女、やるときはやるんだ。 やっぱり!

生で観るスウェードは最高だった。特にバーナード・バトラーのギタープレイは圧巻!
レスポールにアンプはVOXのAC-30だったと思う。ボーカルのブレットはひたすらクネクネしていたが、ボーカルは妖艶であの独特の声を響かせていた。やっぱ「アニマル・ナイトレイト」か「So Young」が今でもボクは好きですネ♪。

「So Young」/ Suede
http://www.youtube.com/watch?v=WfIRGbLftTE

ライブが終わって雨の中、ボクらはひとつの傘に入りながら、梅田の駅へと向かった。
そしてまた、地下鉄のホームで「サヨナラ」を言って別れた。

その後はお互いに忙しい日々...
彼女とは電話でおしゃべりすることも次第に少なくなり、会うことはほとんどなくなった。

月日が流れある時、彼女はボクにオアシスとプライマル・スクリームのカセットテープを送ってくれた。
お礼にボクは、ソニック・ユースや少年ナイフが参加したカーペンターズのトリビュート盤と、70年代の映画「小さな恋のメロディ」のサントラをカセットテープに入れて送った。

後日、彼女からの手紙が。
「小さな恋のメロディは、お父さんがレコードを持っていて、子供の頃、よく聴いていたので懐かしかった。当時は一曲目のin the morningにばかり、針を落として聴いていたのよ。」...って。

「In The Morning - Melody Fair - To Love Somebody」/ Bee Gees
http://www.youtube.com/watch?v=hiIkKq25Nz8&feature=PlayList&p=05C9A97244848A61&playnext_from=PL&playnext=1&index=49

と、まぁいろんなことを回想しながら書いてきたワケですが、この辺にしておきます。
唐突に終わりますが、昔、「週間少年ジャンプ」とかでも呆気なく連載終わっちゃう漫画とかあったでしょ? それと同じです(笑)

だってそれ以上先は何もないのですから。

そうすべては、今から17、8年以上も前のこと。
2年間を共に過ごし、アホなことばかり企てていたクラスメートの連中は、みんな様々な道を歩んで行った。

ボクをライブに誘ったジミヘンみたいなバンドでドラムを叩いていたヤツは卒業後、単身ブラジルへ渡り、数年後に帰国。ドラムの講師になった。
デザイナーになり長年の夢である自分のブランドを立ち上げたヤツもいた。
対照的にデザインとは無縁の世界で働く者、卒業して間もなくママになった女の子。(スナックのじゃないですョ。) 
今となっては、大抵の仲間は結婚し、子供が生まれ、新しい家庭を築いている。
今では、残念ながらごくわずかなメンバーと年賀状くらいでしか、やりとりはしなくなってしまったけど。

あっ、そうそう。
2年の夏休みの終わりに「腐ったミカン」ならぬ「腐ったとうもろこし」で食中毒になって、青白く死にそうな顔で登校してきた日にそのまま1泊2日の琵琶湖キャンプに強制連行されたMr.ドラゴン(もちろん仮名)! 
今現在、誰もキミの連絡先を知りません。誰にでもいいから連絡を下さい。
キミがボクらの中でも人一倍「寂しがり屋」だということは、周知の事実です☆

ボクはと言えば、卒業後も「バンドをしたい」という思いは捨てきれず…というかむしろ高まるばかりで、デザインの仕事はしなくなった。
いくつかのバンドを経験し、16年以上たった今、「モータースリー」というバンドで、どこでどうなったのかグリースで髪を撫で付け、相変わらずリッケンバッカーをかき鳴らし、時たま「黄色い台」の上に飛び乗っては、「ロックンロールッ!」などと叫ぶ日々だ。

「えっ!まだやってるの?」とボクの10代、20代を知る人は口を揃えて言うのだが、おかげさまで今のほうが「バンドマン的」には遥かに忙しい…ま、こんな楽しいことはきっとやめられないだろう。

彼女がその後、どんな人生を歩んでいるのかは分からない。
最愛の人と恋に落ち、やがて結婚し子供を産み、どこかで幸せに暮らしているだろう…きっとそうであってほしいと心から思う。

付き合ったワケでもなく、恋人同士になったワケでもない。
だが、ボクが19~20歳という極めて多感な時期に、音楽を通じて教えてもらったことがたくさんあったことは間違いない。

2年間、別の美術系学校で過ごして入学してきた彼女は、年上の同級生だった。

ある時、彼女はそう言った。
「好きな男性のタイプは、若かりし頃のミック・ジャガーなの。」
 
まるで、ストーンズの「Ruby Tuesday」みたいな人だった。

「Ruby Tuesday」
http://www.youtube.com/watch?v=5QJjA2Gje-c

驚くほど涙もろかった彼女が、京都の夜に見せた涙の理由は今でも分からない...

いや、もしかしたら意味なんてなかったのかも知れない。
いや、もしそれが分かっていたら、ボクだってもうちょっとマシな年の取り方ができたのかも知れない。

なんだ。そういうことか(苦笑)

ボクは手に取ったライドのアルバム「Nowhere」をそっと戻した...

さよなら、ルビー・チューズディ...なんちゃって。