今置かれている環境に嫌気がさすと、ふらりと誰も自分を知らない遠くへ行ってしまいたいって思うことはありますよね。
2008年のアメリカ映画「ジャンパー」は、自分が願った場所へ瞬間移動できる能力をもった青年が主人公のSFアクションです。
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大人しくて目立たない高校生のデヴィッド・ライスは、五歳の折に母親が蒸発して以来、アル中の父親と二人暮らし。同級生のミリーに淡い恋心を寄せるも告白できない。
ある日、いじめっ子の嫌がらせで真冬の川に転落したデヴィッドのからだは、その瞬間、自分の大好きな図書館へと移動する。自由自在にテレポートできるジャンパーだと自覚した彼は、その能力を鍛えて銀行の金庫室に潜入。大金を元手にして、窮屈な故郷を飛び出して…。
やがて八年後。
大人になったデヴィッドは、ミリーと再会。いまや金に困らない羽振りのいい生活をしているデヴィッドにミリーも惹かれていきます。しかし、二人で出かけたローマのコロッセウムで、ローランドという男が率いるその秘密組織「パラディン」から命を狙われることに。
平凡な思春期の青少年が超人能力に目覚めてとは「スパイダーマン」のようにおなじみ。しかし、この主人公にどうも肩入れできない。それでも前半はジャンプするたびに世界じゅうの名所を駆け巡るのでロケーションとしてはおもしろかったんです。
しかし、「パラディン」がジャンパーを忌み嫌う目的がやや安直すぎて盛り上がりに欠けます。アクションとはいっても、ジャンパーは飛んで逃げるだけしか能がなく、「パラディン」たちは野生動物を捕獲するような原始的な遣り口で追いつめるだけです。
終盤には人質となったミリーを、ジャンパーの先輩格であるグリフィンと共同戦線を張って救い出すのは予定調和なのですが、ラストの母親とのエピソードがそれなりに効いてはいるでしょう。goo映画で紹介されていた筋書きとラスト(母親の素性)がやや違うのは、日曜洋画劇場特別版にしたためか。
ただ、今後ジャンパーの安全が確保されたわけではないので、けっしてハッピーエンドとはいえなさそうですね。まじめに働くのではなく、お金を盗んで人目を避けて暮らしつづけなければいけないこの先を思えば。震災に遭っても店の物を盗むのを恥と考える日本人には、この欲望を満たすだけに行動した主人公はあまりかっこよく思われないでしょうね。
監督は「Mr. & Mrs. スミス」のダグ・リーマン。
出演は「海辺の家」のヘイデン・クリステンセン、「リトルダンサー」のジェイミー・ベル、そして「スターウォーズ」シリーズのサミュエル・L・ジャクソン。アナキン・スカイウォーカー役のクリステンと抱き合わせで話題づくりのキャスティングだったのでしょうか。
(2011年3月29日)
ジャンパー - goo 映画