漫トラ日記

現実生活空間&脳内妄想空間を日々マンガに浸食される主婦の怠惰な日常

『蒼天航路』全36巻

2008年04月04日 16時33分11秒 | マンガ

『蒼天航路』全36巻 漫画・王欣太(きんぐ ごんた)原案・李學仁(イ・ハギン)

タイトルしか知らない漫画だったんだけど、図書館にあったんで借りて来ました。
なので、最初は期待してなかったんです。
が!最初の数ページで物語に引き込まれ、あとはもう一気!
メチャメチャ面白かったです!!

中身は平たく言えば「三国志」
ただし、主人公は奸雄曹操
その曹操がメチャカッコ良いんです!
これは惚れますって!
上の画像は全部曹操
青年期、壮年期、老年期の曹操です
どう?良い男でしょ?
絵の魅力は大きいですよ!

普通の『三国志』は、劉備元徳が主人公で
彼は武勇・知略に優れ義に厚く、親孝行
貧しい中から身を起こす立志伝中の人物でありながら
決して邪な権力欲で動かない正義漢として描かれてます
少なくとも、吉川英治氏の小説や横山光輝版『三国志』ではそうだったと思う。。。
“思う”と言うのは、吉川英治氏の「三国志」は30ページで
横山光輝版「三国志」は30巻あたりで飽きちゃって、全部読んでないからなんですが
ともかく、主人公劉備始め関羽・張飛、諸葛孔明、みんな立派過ぎてキャラに面白みが無い
マジメで出来過ぎ君で飽きるわけ
やっぱり、人間どこかダークな部分がないと嘘臭いです
特に歴史物だしね

その点、『蒼天航路』の曹操は人間そのもの!
ガキ大将で女好き
軍略に優れた武の人でありながら、溢れんばかりの詩才の持ち主
人の才を愛で、身分の上下を問わず人材を登用するけれど
自分の役に立たないものは切り捨てる非情な能力主義者
ゆえに非効率的な因習の破壊者
世間の反感も周囲の反対も意に介さず、自分の道を突き進む
日本で言えば、織田信長を髣髴とさせる人物像です
しかし、そこは中国
描かれてるスケールが大きい!大きい!
しかも、漫画だから少々大げさとは言え
それぞれのエピソードは非常に史実に基づいて描かれてます
これ、パソコンを傍らに置いてwikiを活用しながら読んでたんだけど
調べると従来の「三国志」がとんでもなく嘘っぱちだったと、
目からウロコの思いでした!
おかげで、高校で習った時はチンプンカンプンだった三国時代の中国の歴史が
大分理解できました
こういう面白い歴史漫画読むと、いつも思うんですよ
昔こんな漫画があったら、もっと学校の成績が良かったろうに、と。。。

勿論、カッコ良い曹操だけじゃなくて、彼以外のキャラも立ってます!
まず、ライバル義の人、劉備玄徳確かに義侠人(ヤー様の親玉?)で、
度量の大きさで関羽・張飛等を引き付ける人物として描かれてはいるものの
度量の大きさも度を越すとただのホラ吹き、って感じです
しかも、戦争に弱くて自分の女房子どもを戦場に置いて逃げる情けない奴です~

一番、可笑しかったのは諸葛孔明
ハンサムな優男として描かれていて、ビジュアル的には可なんだけど
。。。何と、彼はポン引き!
女の子たちをいっぱい抱えていて、そのためものすごく情報通
そして、ちょっと浮世離れした神通力の持ち主
当然、非常な才の持ち主なんだけど、何故かあの才好きの曹操にはアウト・オブ・眼中
(このあたり、ものすごく笑えました)
そのため、えらくプライドを傷つけられた孔明が赤壁の戦いを影で糸引いて
曹操を追い詰める、と言う展開になってます

呂布、ものすごく強い!ありえないくらい強い!
そして、ドレッドヘア。古代中国にドレッドヘアですよ~~!
青筋立てた呂布が赤兎馬にまたがり兵卒を蟻のように一薙ぎするシーンは
笑えるくらいすごいです~

中でも、私のお気に入りは曹操の部下夏侯惇(かこうとん)
曹操のいとこで、忠実な武将
董卓配下の徐栄との戦いで片目を射抜かれ、プシュップシュッと血が吹き出てるのにもかかわらず
平気な顔して曹操に付き従う。。。このシーンに惚れましたわ~
(我ながら、変な趣味だ)

等等、まあここに書き切れない数多い登場人物が
全然かぶさることなく個性的に描かれています
その技量、恐るべし!!

とにもかくにも、非常~に面白かった!
長いけど、読む機会があれば絶対お奨めですよ~~!!


最後に『蒼天候路』を扱ったサイトをご紹介
まだ良く見てないんですが、なかなか奥深そうなサイトです
  ↓
蒼天考


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21 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白そう! (アガサ)
2008-04-04 23:08:21
夜さんの記事を読むと
苦手な歴史物もすごく読みたくなる!

図書館にこんなマンガが置いてあるなんていいな~
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そうなの~。 (長友)
2008-04-05 15:12:00
私は吉川英治作の三国志を読んで
感動した口だけど、あれって嘘っぱち
だったんだ~。ショック・・・。
四面楚歌とかの言葉やら意味を知った
時の感動が忘れられない作品だったけど。
諸葛孔明なんか惚れていたんだよ~。
諸葛孔明が日本に生まれてくれてたら
日本も違った道を歩んでたよな~とか。
でも、中国って優れた人物が国を治めた
割りに今の中国って・・・いけない!
これ以上、他国の事を書くと駄目ね。
この漫画、探してみるね~。
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かっこいいね~ (パール)
2008-04-06 07:20:54
曹操、かっこいいです~~
36巻で完結なのですね。
いつかは挑戦してみます。
しかし、夜さんの図書館いいな~
こっちはマンガなんてほとんど無いです。
少しだけあるけど、それも全巻揃ってなかったりして使えないったら・・・--;
「マンガ道」は1冊が5,6cmと分厚いタイプのですが
持ってますので読みたくなったらいつでもどうぞ~♪
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長い・・・。 (ひろし)
2008-04-06 12:18:29
私が・・・リサイクル本屋始めたころから、高価買取だった商品・・・。
36巻もいったんだ~。

歴史を感じております~。。。

調子いいですね!!
お酒がおいしい~。。。


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アガサさんへ ()
2008-04-06 16:05:33
遅レス、ゴメン~~
(オフ会で頭がいっぱいなもんで。。。

私も中国の歴史物は苦手なのよ
だって、漢字だらけなんだもの~~
それも、難しくて読めない字ばっかり!
しかも、似たような名前が多いし。。。
でも「蒼天航路」はキャラの顔が個性的で覚えやすいの!
名前を忘れても顔見ると、どんな人だったか
すぐ思い出す
で、何回も登場するうちに名前の方も覚えるわけよ。。。
そこが作者の王欣太さんのタダモノでない所よ!

でも、36巻じゃね~~。。。借りれなきゃ読めなかったわ
とってもお奨めなのにな~~
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長友さんへ ()
2008-04-06 16:26:40
吉川版の「三国志」を読んだの!?
私は、高校の時にチャレンジして
あまりに漢字だらけだったもんで、30ページで挫折したわ~~
「宮本武蔵」は一気だったんだけどねぇ。。。

諸葛孔明はこれまでの「三国志」では
絶対的にカッコ良い役だもんね~~
私も、これ読んでそのギャップにのけぞったわよ~~
少々やり過ぎだとは思ったけど、話としては面白かったわよ
でも、孔明ファンは読まないほうが良いかも~~

私は基本的にカッコ良い悪役フェチなんで
この曹操に惚れちゃって
当分、この曹操像を覆すような「三国志」は読みたくないです~
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パールさんへ ()
2008-04-06 16:37:40
曹操、素敵でしょ?
話も絶対パールさんの好みだと思うわ!
機会があったら、是非読んでみてね!

アハハハ。。。図書館ね
最近の図書館は柔らかくなったな~
昔は漫画どころか通俗小説だってろくに無かったもん
だけど、充実度はまだまだ!
せめて、漫画大賞取った作品くらい入れて欲しいんだけどね

>「マンガ道」
持ってるの!?
そのうち、リクエストさせてもらいます~~
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ひろしさんへ ()
2008-04-06 16:48:30
高価買取。。。やっぱり、人気あったのね
すごく面白いもん!

1巻の初版が'95
最終巻が'06
10年も掛かって描いてるんだね~~
ホント、歴史だよ~

>タイガース
さっきまで、ルンルンなレスしようと思ってたのに。。。
阿部が満塁HRを打たれてガックリ~
ま、それでも首位だけどさ

この試合に、金本の2000本安打が出なくて良かったよ~
甲子園に帰って、絶対ホームでお祝いだよ~~
返信する
え~~~ (満天)
2008-04-07 11:36:46
コレを夜さんが読んでいなかったのにはビックリ!てっきり読んでるのかと思っておった~
コレ…私しゃ~大好きでんがな~~
横山さんのは面白みに欠けるが
吉川さんのはこの漫画に近いよん(笑)
劉備の不甲斐なさはちゃんと出ているし
曹操の破天荒な凄さ関羽の潔さ孔明の聡明さが良く出ている~三国志は元々荒くれ者の成り上がりストーリーだからね~~(笑)

コレが図書館にあるのは解るわ~~
文章を読まなくても三国志の面白さが良く出てるもんな~~~(笑)
返信する
満天さんへ ()
2008-04-07 15:56:46
え~?全然
青年マンガをリアルでは読まないので
連載してるのも知らなかったくらい
ここ十数年は子育て中で、
どうしても目線が子供向けマンガに行ってたし作家さんの新規開拓も面倒で
買うマンガも保守的になってたしね~~
でも、最近は子どもが大きくなったので
大人マンガに目線が移ってる
逆に、最近の少女マンガ事情に疎くなっちゃったよ~

それにしても、これは面白かった!
絵も抜群に旨いし!
やっぱり、満天さんもはまってたか!

吉川「三国志」はこれに近いの?
じゃ、かなり読む気が出てきたわ
返信する
三国志は、 (くま)
2008-04-07 22:34:48
家の旦那さんが大好きで、吉川さんの「三国志」も家にあるんですが、そういえば以前旦那が、「<蒼天航路>面白いかな~…」って買うかどうか悩んでました~。
↑上の夜さんの記事や満天さんのコメなどを拝見するに…これは旦那さんをたきつけて買って貰うべきですね…

アッシは旦那さんの受け売りだけで、まだ吉川さんの本も読めてない「三国志」初心者なんですけど、好きな登場人物は「趙雲子龍」です 

返信する
くまさんへ ()
2008-04-09 09:03:56
絶対ダンナさんに買ってもらいなさい!!
面白さは保障するよ!!
「墨攻」よりはまったもの
何たって、主人公がカッコ良いから!
子龍も良い男だよ~~

私も金と場所があったら買いたいくらいなんだけど。。。

返信する
どうもお久しぶりです ()
2008-04-25 21:30:00

 『蒼天航路』。いいですよねえ。
 
 横山光輝氏の漫画で三国志を知った口ですが、これはそれ以来のカルチャーショック。

 冒頭部分では、やはり曹操の義祖父である曹騰、そして董卓のインパクトが強烈でした。

 そして最後では関羽を討つくだりでの陸遜と丁奉の登場も。

 自分的には今度は仲達主役の続編が見たいです。

 駄目ならせめて外伝での夷陵の戦いとか。
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仁さんへ ()
2008-04-26 01:34:46
おお、お久しぶりです~

やっぱり、歴史好きの仁さんも読んでましたか!
横山「三国志」も最初はとっても面白かったんですが
だんだん飽きてきて。。。
反対に「蒼天候路」は最後までテンションが落ちずに一気でした
もう決して、劉備元徳や諸葛孔明を前と同じ目で見ることが出来ません
そして、曹操が悪役の三国志も受け付けない体質になりました

>曹騰
良い味出してました
特に張譲との対決シーン、痛快です

>董卓
すごいですよね
なんか、突き抜けてるというか。。。
一本筋の通った残虐さでした
死に様もすごかった

>仲達
彼のことをwikiで調べたら
中国では「三国志演義トランプ」というものがあるそうな。。。
見てみたい~~!!
そして、王欣太氏の絵なら買っても良いですわ~
返信する
Unknown ()
2008-04-27 13:24:53

 若い頃の曹騰を知るには宮城谷昌光氏の小説がお薦めです。

 あとやはりインパクトのある董卓!

 最後の場面も強烈ですが、自分的には「天に確たる意思は無く、地に確たる歴史無し」の場面も好きです。

 あと曹操の正夫人が元は彼の女だったというのも。
返信する
仁さんへ ()
2008-04-30 21:32:57
亀レスでご免なさい~~

宮城谷昌光氏は未読です
ネットで調べたら色々ありすぎて。。。
曹騰がでてくるのは、やっぱり「三国志」ですか?

曹操の夫人は最初出てきたとき妖婦のように思えたけど、
調べたら、なかなか謙虚な賢夫人だったようですね
最後のほうに出てきた時は酸いも甘いもかみ分けた味のある女性に描かれてました
ああいう平和時のエピソードって結構面白いのに
あんまり出て来なくて。。。その辺やっぱり男マンガだと思いますね~

>「天に確たる意思は無く、地に確たる歴史無し」
ここ、私も好きです
頼るものは自分自身!
考え方が現代人ですよね~~
返信する
Unknown ()
2008-05-03 21:16:20
>曹騰がでてくるのは、やっぱり「三国志」ですか?

 はい。文芸春秋で現在連載中です。

 普通の三国志は黄巾の乱から始まりますが、ここではその遥か以前に曹騰が宮中入りする直前から始まってるんですよね。

 そして最後の曹騰で印象なのは葬儀の場面で、宦官を毛嫌いしていたはずの清流派の名士たちも参加しているところに人望が伺え、曹操の回想で「わしの蓄えた財産を使い、天下を駆けてくれ孟徳。わしはおまえのような男にこそ仕えたかったのだ」ところなどもう涙が出ました。

 そして後に老いた曹操が祖父のように蹴鞠を扱っている場面なども印象的で。


>考え方が現代人ですよね~~

 あとインパクトが強かったのが、連合軍を迎え撃つ時の軍議における「この痴れ犬どもぐわー!」「敵を選ぶとは何事だー!!」ですね。

 そしてその意を察した呂布の出陣。

 呂布もありながら、それが乗り上げる赤兎馬も「名馬」というよりむしろ「怪獣」みたいで。
返信する
仁さんへ ()
2008-05-05 23:27:51
>曹騰
連載中では単行本になるのは、まだ先でしょうか。。。
残念~!

彼は宦官にもかかわらず、性格が真っ直ぐだったようですね
だからこそ、多くの人々から慕われたのでしょう
こういう人脈作りが上手な所、役人として清廉な所
孫の曹操に影響を与えたんでしょうか。。。

>董卓
「腐れ犬どもぐわ~」と叫んだころの彼は、昇り竜の勢いでした
ただ、死んでから死体のおへそに指した灯心が何日も燃え続けるほど太ってた、って事を聞くと
政権を取って、酒池肉林の日々だったんだろうな、と想像
だから、暗殺されるんですよ
古今東西の独裁者の末路ですね~~

その点、曹操は偉くなっても質実剛健
評価高いです

>赤兎馬
すごい馬なんだけど
馬欲しさに寝返る呂布
やっぱり、情けねぇ~~
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Unknown ()
2008-05-07 12:31:37

 いえ。現在の連載は曹操と劉備の最後の戦いである漢中攻防戦の直前で、曹騰登場の部分は1・2巻ですでに出ています。

 大抵の図書館にはあるはずなのでどうかお試しください。

 あと本作としてはやはり劉備の描き方ですよね。

 良くも悪くもこんな「生き生きした」劉備が今まであったかと。
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仁さんへ ()
2008-05-08 23:49:34
図書館を検索してみました
6巻までありました
1巻目は全部貸し出し中だったんで
とりあえず、予約を入れました

カタカナ名前の本ばっかり読んでるので
漢字だらけの中国物を読み通すことが出来るか不安なんですが
挑戦してみますね~

劉備が良いんですね
曹操はどうです?
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Unknown ()
2008-05-09 12:44:41

 曹操の場合はとにかくインパクトですね。

 自分的には若い頃よりも孫権の言う「戦好きの年寄り」になってからの方が奥行きを感じます。

 特に魏王になった辺りからの。

 それを見て「ショボイ」でなく「殺されるかもしれねえ」と恐怖を感じる劉備もなかなか。

 まさに曹操の最大の理解者は孔明でなく劉備であると。
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