漫トラ日記

現実生活空間&脳内妄想空間を日々マンガに浸食される主婦の怠惰な日常

吉野朔実オンパレード

2007年06月28日 23時13分59秒 | マンガ
マンガ友達に色々お借りした物の内、この方の作品だけが遅々として読み進まず
や~~っと、このほど読了!
夜は軽~いロマコメ路線が好みなんで、読むのに時間が掛かった、掛かった。。。!
まぁ、その分読み応えがあったと言うか、色々考えさせられる作品群だっただけに
すんなり返してしまうには惜しいので、ここにアップです~

お借りしたのは
「透明人間の失踪」
   表題作他5編を収めた短編集
   この中の「霜柱の森」の主人公怜(さとい)は「記憶の技法」にも登場

「記憶の技法」
   主人公の華蓮は修学旅行のパスポート取得の為に戸籍抄本を取り寄せて
   自分より年下の姉(長女、死亡)がいたことを発見!
   その疑問を解消すべく、彼女は旅へ出ます
   かすかな手がかりを元に、自分のルーツを求めて。。。   

「恋愛的瞬間」全3巻
   大学で心理学を教える森依四月
   その専門は“恋愛”
   彼のクリニックには恋の悩みを抱えた様々な人が訪れる
   心理学博士森依四月を巡る人々の恋のショートストーリー集
   恋は甘やかなものではありません!   

「ECCENTRICS」全2巻
   家出中の結木千寿(せんじゅ)は30万円を出してEの文字の描かれた絵を買った
   直後、駅の線路に突き落とされて記憶を失ってしまう
   そんな彼女を助けたのは“天”(あまね)
   彼には“劫”(めぐる)という双子がいて、彼らは一つの人格を共有してると言う
   しかし、“天”と“劫”の関係も千寿の登場によって
   微妙にバランスが壊れていく
   そして、千寿は何故家出をしたのか?
   Eの持つ意味は?
   登場人物すべてがエキセントリックです
      
「ジュリエットの卵」全3巻
   主人公蛍は下宿して大学へ通う女の子
   家に残った双子の兄“水”(みなと)が恋しくてしょうがない
   ミナトも蛍の側にいたいのだが
   息子だけを溺愛する母は彼を決して手放そうとはしない
   しかし、蛍は徐々に周囲の人間に心を開き始め
   一方、ミナトは無理やり母親の所を出て蛍の所にやってくる
   他の女と寝ながらも、双子の妹だけしか見てないミナト。。。
   息子を異常に愛する母。。。
   ミナトを愛しながらも、蛍が世界に目を開かれていくことによって
   3人だけだった世界が徐々に壊れていくのでした
  
「ぼくだけが知っている」全3巻
   それまで、僕は何でも知っている大人だと思っていた!
   特別で選ばれた人間だと思っていた夏目礼智(らいち)
   小学4年のクラス替えまでは。。。!
   個性派揃いのクラスに入って戸惑い、もまれる日々
   想像力豊かな少年の日常と成長を描いた作品

「いたいけな瞳」全5巻
   短編集
   “珠玉の”と言う枕詞が似合います



吉野朔実さんは初めて読みました
絵は綺麗です、確かに!
そして上手です
ストーリーも読ませます
決して、悲劇ではないです
かといって、ハッピーエンドでもないけど。。。
そして、面白いか?と聞かれると。。。一瞬考えてしまいます
好きか?嫌いか?と聞かれれば、どちらかと言えば好きと答えるでしょう
ただ、手放しで好きとは言えません

事程左様に一言ですんなりと言える作家さんではないのです

要は。。。難しい~~!のです

非常に哲学的!
ご本人も好きなのでしょう
作品の随所に(いや全面にそれみたいな作品もある)、
小難しい哲学的なセリフがちりばめられています
“混乱を愛して”(ECCENTRICS)
“私は生まれたばかりで、すでに大罪を犯している”(ECCENTRICS)
“すべての幸福は恋愛的瞬間から始まるのだ”(恋愛的瞬間)
“不幸は才能です。なろうとする強い意志が必要”(恋愛的瞬間)
“知っているのが僕一人であるならば、それは「無」に等しい”(ぼくだけが知っている)
“どうして死んじゃいけないんだ?知りたいことは、もう知っている”(ぼくだけが知っている)
ちょっとめくってみただけでも、これだけある!

この言葉の意味を、一々立ち止まって考えていると
とても先へ読み進めないので、ほとんどスルー
しかし、この含蓄に満ちた言葉の数々が作品のテーマと結びついているので
私の鳥頭では読むのが非常~につらかった!!


私事だけど、私の高校時代の哲学の成績は2!(5段階評価で)
社会家系科目はみんな得意だったのに、これだけが。。。
ところが、私の妹のダンナは大学の専攻が哲学科!
哲学ほど面白いものはないとのたまふんだわ~。。。
言っちゃぁ何だけど
あんな当たり前(例えば「我思うゆえに我あり」)のことを
訳のわからない理屈でこねくり回して、
大事な脳みそを使う奴の神経が解らん!!
数学の方がはっきり答えが出てすっきりして良いじゃない~~!


いや。。。話を元に戻します

その吉野さんの作品に共通しているのがラストの終わり方と
良く言えば、考えさせる
悪く言えば、中途半端!

ことに「ジュリエットの卵」と「ECCENTRICS」
最後に主要人物が死を選ぶんだけど
彼らは本当に死んでしまったの?
救いがなくて後味が悪いラストでした

「恋愛的瞬間」はかなり面白かったんですが
やはりラストで何者かに刺される教授
犯人は特定されないまま、THE END!
やっぱり、中途半端です

「ぼくだけが知っている」
これが一番面白かった
屈託ない少年の目を通した日常風景は
他の吉野作品と比べて、とても健全で明るく感じました
が!
やっぱり、来ました~
ラストにの話が!
吉野さんは何でこんなに死ぬ話が好きなんでしょうか?
子供が主人公の時くらい、死神と対話しなくても良いと思うんですが。。。
実際の子供たちが生と死について何も考えてないとは思わないけど
作中の子供にを語らせる手法はあざとくて好きになれません
自分が親になってから余計にそう思うようになったけど
子供は死神が裸足で逃げ出すくらい
生きることに前向きであって欲しいと願っています
ここでも、ラストで後味の悪い思いをしました


反面、短編では
長編の時の投げ出されるような後味の悪さが
余韻となって心に残ります
吉野さんの本領は短編にあると思いますね!




最新の画像もっと見る

25 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
読んでないのがあるわ~。 (トミー。(猫とマンガとゴルフ~の管理人))
2007-06-29 14:52:10
 読んだものあったので、トラバさせて頂きました~。

 私も満天さんにお借りして、「透明人間の失踪」 や 「記憶の技法」 などは読みましたが、長編も面白そうですね。又借りようかしら。(買うとは言わない)
 吉野さん面白いとは思うけど、買って揃えようとまでは思わないのです。私も読むのに時間掛かった。可愛い絵柄にだまされましたね。ずっとこの方ばかり続けて読むと疲れそう。お疲れ様でした。
返信する
面白そう! (なごいく)
2007-06-29 15:17:57
と、あらすじを読んだところで思ったのだけど、その後の感想を読んだら…とても私の脳みそでは読み切れない事が分かりました(爆)。そしてラストで登場人物が死んじゃう系のマンガは、感情移入しすぎる私には無理です~私も死にたくなっちゃうから~(涙)。
みんなが死んじゃうと言えば佐々木淳子さんのマンガと清水玲子さんのマンガ。どちらも面白いけど自宅に保管は出来ましぇ~ん。
返信する
未読です (くま)
2007-06-29 15:41:58
吉野さん、表紙だけは見た事ありますが、全く読んだことがありません。
絵柄が結構可愛い感じだったように思うのですが、そ~なんですか…そんな哲学的な雰囲気のある作品を描かれる方だったんですね~…

理解出来るかという点を置いておくと、アッシは哲学的なお話聞いたり読んだりするのは結構好きですけど…というのも最近読んでる宇宙についての物理学の本とか読んでると、も~ほぼ理解出来ないんですが、凄い高度な数学を駆使してもの凄い想像力で理論を組み立てていく過程が、何だかこれも哲学と言えば言えるのかな?と思うほどなもので…

だけどホント仰るとおり、最低限生きていく上では必要の無さそうなことを営々と考え続けられる人間って、暇ですよね~(笑)(中でも暇人なアッシの言えるセリフじゃないですが。

あ、でも哲学的な話は好きですけど、複雑な心理とか、自分が単純なのであまり共感できないようで苦手ですし、アッシも基本、ハッピーエンドが好きなんで、吉野さんは、ちょっと好みじゃないかも知れませんね~…。
今度機会があれば、お奨めの短編から読んでみたいと思います。

詳しいレヴュー、ありがとうございました。

返信する
初期作品は持ってます (アガサ)
2007-06-29 15:56:04
月下の一群、少年は荒野をめざす、王様のディナー、グルービーナイト、ECCENTRRICSは持ってます。

ジュリエットの卵も最初は面白かったから、連載終わったら、買うつもりでいたけど、ラストがいやで買うのやめました。いたいけな瞳はまあまあ。僕だけが知っているもまあまあ。
ECCENTRRICSも最初はよかったのだけど、ラストがちょっと・・
恋愛的瞬間も題名に惹かれて読んだけど・・ちょっと・・

透明人間の失踪と、記憶の技法は読んだ事がありません。
哲学的なんですね・・
挫折しそう・・(苦笑)

絵柄が華やかで、
月下の一群を読んで、
我慢できずに、ぶ~けを買い始めるきっかけになった
作家さんなので、最初は好きだったんですよね~

おっとり、とぼけた感じのかわいい女の子が主人公の
話も描いていたのに・・
どんどん、変わっていくのが、ぶ~け本誌を読んでいてもわかりましたね。
返信する
全部読みましたよ~ (コミ)
2007-06-29 23:20:31
この、ラインナップ、ひょっとしてよるさんも
カズさんから借りられました?

私が母宮さんルートでカズさんからお借りしたのと
ほぼ同じ内容ですね。
これにあと「少年は荒野をめざす」だったかと…。


私も吉野さん作品はすご~く時間かかりました。
で、最後にhappyendじゃなくても
すっきりできないと気になっちゃいます。
まあ、人生にはすっきり解決できること
ばっかりじゃないんだろうけど
気持ちよく読み終われないですね。


「ECCENTRRICS」を読んだ後に私の頭で
理解できない謎だらけで、某トピでも尋ねたんですが
結局解らなかったんですよね。

鳥頭なもんで登場人物の名前はすっかり
忘却の彼方なんですが
改めてよるさんにも質問してみます


①1番最初にヒロインをプラットホームから
突き落としたのは誰だったの?双子の片割れ?母親?

②瀕死の状態で入院したのは双子のうちホントのとこどっち?途中から入れ替わってた?

③最後の方でプラットホームに飛び込んだ彼は
死んでしまったのかしら?

④ラストで生まれた赤ちゃんは誰と誰の子?
「生まれながらに罪を背負ってる」みたいな
モノローグがあったけど、どういう意味?


なんか謎が多くて「え?どういうこと???」
って気になって仕方なかったのよ~。



どの本だったかのあとがきに
「吉野作品には双子がよく登場する」
って書かれてましたが確かにそうでした。

それと、よるさんが書かれてるように
「死」を扱ったものがやっぱり多いですね。

私は大抵短編より長編の方が好きなんですが
吉野作品では「少年は荒野をめざす」が
1番心に残ってるかな。

「透明人間の失踪」「記憶の技法」は他のよりも
読みやすかったです。


>「ぼくだけが知っている」のラストの死
え?どんなのでしたっけ?
私の中では既にブラックボックス 
ちょいネタバレして下さいな。



今日私が読み終わったのは
吉野朔美さんと名前は似てるけど
happyendを信じて読める吉村明美さんの
「薔薇のために」全16巻。

チビ・デブ・ブスの三拍子揃ったヒロインのゆりは
思わず自分の学生時代の姿やコンプレックスを
見るようで、すごく共感して読んじゃいました。

あんなにカッコイイ男2人に愛された末に
納得のhappyendで読後感すっきりでした。
話が思わず脱線してしまってスミマセン
返信する
トミーさんへ ()
2007-06-29 23:48:13
ラストがすっきりしないんで、買うほどでは無いと思いますね~

ずっと吉田さんばかり読んでると、人生が重くなるんで、
「ジョジョ」や「神童」に浮気しまくってましたよ~
だから、読み終わるのに時間が掛かったのよね

吉田さんは、1作づつじっくり読むマンガでした。。。

短編集の「いたいけな瞳」がお奨めです~
返信する
いや、まあ、なんと・・・ (カズ)
2007-06-29 23:49:21
短期間で吉野さんを読んだの?夜さ~ん。。。
お疲れさまでした・・・
くら~くなって意気消沈しなかった~?

私も面白いかって聞かれても、手放しで”面白いよ!”って言えないです~
でも好きか嫌いかでは、嫌いじゃないのよね・・・
不思議な雰囲気のある作品と思ってたのは、哲学的なことだったんだ・・・
私には不思議で済ましちゃってたわ(笑)

「恋愛的瞬間」「ECCENTRICS」「ジュリエットの卵」などは途中まで面白くて夢中で読んだけど
、最後の方はなんでああいうことに・・・
「記憶の技法」など短編は初めて読む方にはいいと思います、がラストはやはり余韻が残る終わり方なんですよね~

返信する
なごいくさんへ ()
2007-06-29 23:55:59
登場人物が死ぬって言うより
主要脇役が自殺をするのに
死んだかどうか解らない終わり方に
フラストレーションがたまるのよ~!

私も死んでしまうマンガは嫌いなので
買ってまでは読めません!

哲学的って言う所では
佐々木淳子さんに通ずるものがあるかも。。。
でも、佐々木さんの方が夢があるよ~!
吉田さんのはあまりにも現実的で
テンションの低い時に読むことは、お奨めできません
返信する
くまさんへ ()
2007-06-30 00:05:28
可愛い絵に騙されてはいけません!
ヒーローとヒロインが恋仲になってハッピーなんてラストは
絶対に気体出来ませんから~!

>哲学的
そう言えば、くまさんは
かなり難しそうな本を読んでいたよね~
物理学も突き詰めれば、ほとんど哲学の世界だよね
でも、そういう哲学は世界の成り立ちとか、人類の行方とか
あんまり身近でない、それこそ空想して楽しめる世界だけど
吉田さんの世界はあまりにもリアリティがありすぎで
手放して楽しめないんだよ~

まぁ、ミステリアスでそれなりに面白いんだけどね。。。
でも、決して悲劇的ではないよ~!
返信する
アガサさんへ ()
2007-06-30 00:12:05
ふふふ、これらの作品が
アガサさんのお気に召さないのはすご~く良くわかる!
だって、アガサさん好みって、私とかなりかぶるもん!

やっぱり、「ジュリエットの卵」と「ECCENTRRICS」のラストでしょ!
すっきりしないもんね~

「いたいけな瞳」と「ぼくだけが知っている」が
許せる範囲って言うのも同じよ~

でも、「ECCENTRRICS」が読めたのなら
「記憶の技法」と「透明人間の失踪」は楽勝だよ~ん!
返信する

コメントを投稿