むかし、むかしのおはなし。
お日様とお月様と雷様の3人で旅をしていました。
途中、街道脇の原っぱで、おにぎりを食べながら休憩をしました。
さらに街道を歩きましたが、雷様が「疲れた、疲れた。」と言ったので、早めに宿をとることにしました。
しばらく行くと、宿が見えたのでそこに泊まることに決めました。
宿賃は3人で30円ということです。
女中さんに案内されて部屋に行き、宿賃の支払いを済ませることになりました。
お日様たちは1人10円を出しあい、30円を女中さんに渡しました。
女中さんは30円を女将さんのところへ持って行きました。
女中さんから30円を受け取った女将さんは、「旅する3人のお噂はいろいろ聞いています。わざわざこの宿を選んでくれたことはなんと嬉しいことでしょう。」と言って、宿賃を5円おまけするので旅する3人に戻してくださいと女中さんに5円を持たせました。
女将さんから5円をあずかった女中さんは、お日様たちに行く途中トイレに寄り考えました。
3人で5円は分けられない、どうしたものか。
すると、名案がうかびました。
そうだ、あたしが2円いただき残りの3円を3人に戻せばちょうどうまく分けられるではないか。
うん、うん、それがいい、それがいい。
トイレから出た女中さんは、自分のふところに2円を隠し、3人の部屋に行くと、女将さんからおまけですと言って3円をテーブルにおきました。
お日様たち3人はたいへん喜び、1人1円いただきました。
翌日、昼ちかくまで朝寝坊をした雷様は女中さんに聞きました。
雷様「お月様がいないようだが、どこに行っただろうかね?」
女中「お月様は、昨日の夜お立ちになりました。」
雷様「お日様もいないけど、どこに居るだろうね?」
女中「お日様は、今朝はやくお立ちになりました。」
雷様「うーん、月日の立つのは早いものだ。」
女中「して、雷様はいつお立ちになりますか?」
雷様「わしか、わしは雷だけに夕立だ。」
さて、お日様たち3人は宿賃として1人10円を出しました。
のちに1人1円戻ってきますので、実質1人9円です。
3人でサンク27円、いま女中さんが2円持っています、あわせて29円。
あれ、あれーっ! 最初に30円あったのに、どうしていま29円しかないの?
どーしてなの? どーして?
1円はどこに行ってしまったのでしょうか?