それでは、北斗と南斗のおはなしです。
むかしむかし、中国のおはなし、三国時代。
魏、呉、蜀、関羽、張飛、諸葛亮のころのおはなし。
魏の曹操は頭痛で悩んでいて、いろいろ治療をしたが良くなりません。
いちど占ってもらおうと思い、許芝(太史丞)を呼んで占い師は誰が良いか尋ねました。
許芝は管輅(かんろ)の名を挙げました。
曹操は管輅とはどのような人物か尋ねました。
管輅が南陽県(今の河南省南陽市あたりかな?たぶん)を通りかかったとき、田で作業している若者が気になり尋ねた、「名前と年は?」
若者「名は趙顔(ちょうがん)、年は19才。あなたはどなた?」
管輅「私は管輅、君には死相が出ている。あと3日の内に死ぬだろう、惜しいことだ。」
趙顔は急いで家に帰り、父に話すと驚いた父は管輅のあとを追いかけた。
管輅に追いついた父は地面に拝伏しながら助けを求めた。
管輅「私は占い師、天命はどうにもならない。」
それでも父子は管輅にしがみつき放そうとしない。
気の毒に思った管輅は、1つの策を話した。
上等の酒1樽、鹿の肉の干物1塊を用意して、明日南の山に行くこと。
そこには大きな桑の木があり、木下で碁を打っている2人がいる。
1人は北側に座り、もう1人は南側に座っている。
あなたがた親子は、2人が夢中で碁を打っている間に、黙って酒と肉をすすめること。
何を言われても、ただおじぎをしていれば良い。
碁が終ったら「寿命を延ばしてほしい」と必死に頼むこと。
私の名は決して言ってはならない。
翌朝、親子は酒と肉を持ち南の山に行きました。
管輅が言っていたとおり大きな桑の木がありました。
そして、2人の仙人らしき人が夢中で碁を打っていました。
親子はかたわらに座ると何も言わず酒と肉をすすめました。
碁を打っている2人は知らずしらず酒を飲み、肉を食べてしまいました。
やがて夕方になり、北側の仙人が親子に気づき「おまえたち何をしている、あっちへ行け!」と怒鳴りました。
それでも親子はただおじぎをしていました。
南側の仙人「おいおい、さんざん飲み食いしておいて、怒鳴ることはないだろう、なんとかしてやらなければなるまい。」
北側の仙人「この若者の命は、生まれる前から決まっている、なんともならん。」
南側の仙人「これは管輅のおせっかいかな、とりあえず調べてみようか。」
南側の仙人は懐から帳面を取出し、趙顔という名前を見つけると、なるほど「寿命十九才」とありました。
南側の仙人は、それではと筆を取出して「十九」の上に「九」を書き加え、親子に見せながら「これで良いな!」と言いました。
言うが早いか、急に厳しい顔になり、「管輅に言うがよい、天の秘密をもらす者には天のお咎めがある。以後気をつけるようにとな。」
すると、かおりよき風が吹き、碁を打っていた2人は鶴になって空高く飛んで行ってしまいました。
親子は急いで帰り、管輅にすべてを話すと、
管輅「やはり御見通しでしたか。あの2人、北側の方が死を司る北斗七星の精、南側の方が生を司る南斗六星の精なのです。それにしてもともかく九十九まで寿命が延びて良かったですね。」
以後、管輅は軽々しく占いをすることをやめたということです。
ふ~~ん、そーなんだ。
私は氷水のかんろしか知らんけど・・・