日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

日本の漫画を世界に

2009年02月18日 05時49分20秒 | ブラジル事情
 浦沢直樹の「20世紀少年」を漫画で読んでいる。面白い。

 改めて漫画っていいなと思う。

 僕は小学校3年生の時に、コロコロコミックに出会い、漫画を知った。それから、漫画が上手なクラスメートがいた影響で、僕も見よう見まねで漫画もどきの絵を描き始めた。

 小学校高学年になると「キャプテン翼」や「キン肉まん」などが流行しだし、週刊少年ジャンプを読み始めた。その頃から僕の漫画に対する気持ちは最高潮に達し、将来の職業として漫画家を意識し始めた。

 ただ、当時の教育に関する風潮は、「漫画は百害あって一利なし」。漫画ばかり読んでいると馬鹿になるみたいな考えが当たり前の事として通っていた。でも、今考えると馬鹿げた話しである。漫画を読んで馬鹿になるんだったら、今頃日本人の多くが馬鹿になっている。

 戦前などは、恐らく小説を読みすぎたら馬鹿になるみたいな話しがまことしやかに言われていたのでは、と想像する。どの時代でも新しい娯楽というのは、社会から認知されるまで時間がかかるものなのだ。

 小説も漫画も映画もテレビゲームも、その人の能力とは全く関係がない。何でもやり過ぎが良くないのであり、時間をコントロールできなくなるほど夢中になるのがよくないというだけだ。学校の勉強をきっちりこなしてさえいれば、いくら小説や漫画を読もうが、映画を見ようが、テレビゲームをプレーしようが関係ない。

 ただ、どのジャンルにも駄作と良作がある。出来れば皆から評価されているものは古典であっても読むべきで、好きなものだけ読んでいても成長できない。もしその世界で食べていこうとしたら、いい作品はジャンルを問わずにどんどん読むべし、見るべし、プレーすべしである。いいものを知れば知るほど、自分が作り出そうとする作品にも吸収したいい部分が加味されていく。

 僕の漫画熱は中学2年を最高潮に、高校受験を経て徐々に冷めていき、大学に入った頃には随分興味がなくなっていた。当時、漫画の代わりに興味を持ち始めたのは小説だった。漫画に対するマイナスイメージが僕の考えを大きく変え、小説を読みこなしてこそ教養のあるエリートになれると信じていたのだ。

 でも、ここ4,5年、日本に帰った際、大人向けのレベルの高い作品に出会い、漫画を改めて見直している。もちろん、日本には質の悪い漫画は山ほどある。しかし、壮大なるメッセージを送っている偉大なる漫画も少なからずあるのは事実だ。小説や映画といった形ではなく、漫画という媒体だからこそ、読者により効果的に伝えられるという作品もあるのだから、いい作品は教養として読むべきである。

 ブラジルでもここ7,8年。日本の漫画が輸入され、ポルトガル語の翻訳を付けて、本屋で普通に売っている。日本の漫画は一部のオタクには大人気なのである。つまり、日本の漫画は世界に誇れる日本文化の1つなのである。

 僕もいつか日本の漫画の翻訳の仕事も引き受けられたら、少年時代に漫画に対する思い入れが深い僕としては、これほど名誉なことはないと思っている。

 日本の漫画は今や世界中で愛されている。しかし、残念ながら、韓国などを除けば、世界各国で漫画家は育っていない。僕は各国で多くの漫画家が輩出し、それぞれの文化を背景にしたストーリーを考え出し、世界中の人に読まれたらいいなと思う。
 
 いつか、ブラジル人漫画家が描いた作品を日本語に訳せたらなあと夢見ている。 

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