日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

ポルトガル語は難しい!?

2010年02月07日 00時13分09秒 | ポルトガル語
 
 ポルトガル語は難しい?

 初めてポルトガル語を勉強される方は、まず何より動詞の活用形の多さに驚くのではないでしょうか。
 
 ポルトガル語では、規則動詞が3種類あり、動詞の語尾が-ar, -er,-irで終わる。そして、白水社の「現代ポルトガル語辞典」の巻末動詞活用法には80種類もの不規則動詞が掲載されている。
 
 ポルトガル語では主語が1・2・3人称か、単数か複数かによって動詞の活用形が変化する。従って、各動詞ごとに最低6種類の活用形を覚える必要がある。
 
 また、ポルトガル語には法というものが存在し、直説法・接続法・命令法・不定法と4種類に分かれる。そして、前の2つにはそれぞれ時制が存在する。
 
 直説法の時制は以下の通り。
 
 1)直説法現在、2)直説法現在完了、3)直説法不完全過去、4)直説法過去完了、5)直説法完全過去、6)直説法大過去、7)直説法未来、8)直説法未来完了、9)直説法過去未来、10)直説法過去未来完了。
 
 何と全部で10種類もある。
 
 接続法の時制は以下の通り。
 
 1)接続法現在、2)接続法現在完了、3)接続法過去、4)接続法過去完了、5)接続法未来、6)接続法未来完了。
 
 全部で6種類ある。
 
 これに命令法と不定法(非人称不定法と人称不定法)が加わるが、この2法に関しては時制がないことから、動詞の時制は合計で16種類となる。

 時制に関した動詞の活用形にだけ注目すると、その数の多さもあり、ポルトガル語は難しい言語のように見えるかもしれない。

 では、英語の時制の数はどうであろう?

 英語の時制は以下の通りである。

 1)現在形、2)過去形、3)未来形、4)現在進行形、5)過去進行形、6)未来進行形、7)現在完了形、8)過去完了形、9)未来完了形、10)現在完了進行形、11)過去完了進行形、12)未来完了進行形。
 
 全部で12種類もある。
 
 つまり、時制の数だけではそれほど差はないように思える。ただ、ポルトガル語の時制の中には進行形は含まれていない。従って、ポルトガル語の方が活用形の数は断然多い。
 
 僕はポルトガル語を12年近く勉強してきているわけだが、16種類の時制を全部使っていない。と言うか、ブラジル人ですら話し言葉では16種類の時制を全部使って話してはいない。
 
 例えば、直接法大過去は文章でたまに見受けられる程度で、話し言葉では聞いたことがない。話し言葉では直接法大過去は直説法過去完了で代用されているからである。

 また、ここがポルトガル語の不思議な所なのだが、Você(あなた)は2人称ではなく3人称として分類される。僕が所有している白水社の「ブラジルポルトガル語の入門」の説明によれば、Vocêが3人称であるのは普通名詞から由来した語であるからだそうだ。

 従って、2人称に分類されるのはTu (あなた)とVós(あなたたち)だけである。そして、このTuはブラジル国内では死語として廃れてきており、唯一使用されている地域が僕が住むリオグランデドスル州なのである。

 しかし、ガウーシャ(リオグランデドスル州出身の人)は、日常生活でTuを使いながらも、動詞の活用は3人称の活用を使用している。これは規範文法に従えば完全に間違いである。しかし、大多数の人がその誤用を使用しだすと、正用と認められてしまうのが言語の面白い点である。

 因みに、Tuを使用しつつ、規範文法に従って動詞を2人称で活用して話しているのは高校や大学の一部のポルトガル語の先生くらいである。時々、この活用形を使って話す人に出会うが、何だかインテリを気取っている感じがして僕は好きになれない。
 
 つまり、基本的にはポルトガル語学習者は2人称の動詞の活用を覚える必要がないのである。そうなると、ポルトガル語を勉強するに当たって、覚えなければならない活用形の種類も随分減ってくる。
 
 僕は何かの文章を書く時には時制に細心の注意を払うが、少なくとも話す時にはかなり適当に時制を使って話している。あまりにも正しく話すことに気を使うと、何も話せなくなってしまうからである。
 
 正しく外国語を話すことは大事だと思う。そして、その前提として正しく文法を理解する必要がある。でも、頭の中だけで文を構築して、実際に口から言葉として発さなければ意味がない。
 
 言葉の一番の役割は自分が言いたいことを他人に伝えるというコミュニケーションとしての働きである。文法的に間違って話すことは問題ではない。伝えるべきは話す内容であり、発話された文の文法的正しさを伝えるのが目的ではないのである。
 
 ただ、自分自身の発話を自己修正できるフィルターは常に備えておくべきである。そして、本当に正確に話せるようになりたいと思えば、間違いをその場で修正してくれる個人の先生にお金を払って習う必要があり、ひたすら訓練するしか方法はないと思う。

 

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2 コメント

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返答 (たけちん)
2010-03-13 08:10:17
言語はコミュニケーションの手段ですから、正確に話す必要はないです。

もちろん、文法的に正確に話せればベストですが、一番重要なのは気持ちが通じること、言いたい事が通じることです。

全体を見ると難しそうですが、1つ1つ見ていけば易しくなります。

是非頑張ってください。

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う~ん、やはり難しそう! (midori)
2010-03-12 23:32:23
ポルトガル語を習おうとしている日本女子ですが、やはり、難しそうですね、文法。

一度、スペイン語の初級の文法で、挫折しているだけに、緊張しますが、ブラジルは大好きなので、やはりぼちぼちでも、話せるようになりたいなと、思います。

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