ゆきちゃん通信++tomiの日記++

自閉症の娘、由紀子の毎日と
母の生活を綴っています。

1998年6月 (5歳)

2001年01月27日 | ゆきちゃんの日記
これは1998年6月の日記です。
月に一回しか通えなかった
療育センターに持っていくために
書いた日記です。


1日(月)
夜中ついにパニックを起こす。

起きているときは我慢が出来るようだが、

眠くなるともう歯止めが利かない。

1時間近く泣き続け点滴のひもを引っ張ろうとする。

その内泣き疲れて眠ってしまった。

もう限界のようだったので先生にお願いして
自宅で投薬治療にしてもらった。

家に帰って由紀子は上機嫌で遊び始めるが、
私は目が開かないほど疲れてしまった。


2日(火)

今日も私が使い物にならないほど疲れていて、
横になるとすぐ眠ってしまう。

由紀子は咳が出るものの
元気でお昼寝もしてくれない。

とぎれとぎれに目を覚まして
相手をする私をいいことに
洗面所で水遊びを始めたり、

引き出しの中の物を出して遊んだり・・・・・

でも怒る元気もない私でした。


3日(水)
 
今日まで保育園をお休みさせることにした。

でも元気はあるし、

昼寝はしないし

私は今日も眠い。

夕方お散歩に連れ出したときの

由紀子の言葉

「ああ!空気がおいしい」


4日(木)
 
今日から保育園。

登園したときO上先生がお迎えをしてくれた。

先生の顔を見たときの
由紀子の顔がおもしろかった。

一瞬「あっ!」というような顔をしたかと思うと
その場で固まってしまった。

先生がお迎えに来てくれると
照れて私の後ろに隠れてしまった。

4月にとても可愛がってくださっていた
2人の先生が転勤された。

由紀子の転勤の意味が分かるはずがない、

急にいなくなって待っても待っても帰ってこない。

その転勤した1人の先生の名前が
「M本先生」そして、

新しく保育園に入ってこられた
副担任の先生の名前も「M本先生」。

由紀子は最近まで家でその名前を口にしなかった。

5月になって「M本先生」と言ったときや
っと前のM本先生にお別れが出来たのだと思った。

今回のO上先生の長期出張中ずっと
由紀子はきっとこのまま帰ってこないかもしれないと
不安でいっぱいだったのだろう。

今日のうれしそうな顔を見てそう思った。


5日(金)

久原養護学校を見学に行って来た。

のびのびとした子どもたちを見て
いいところだと思った。

でも、1年生の教室の様子は
由紀子には物足りないかもしれないとも思った。

身辺自立を目的としたカリキュラムのようだったし、
先生の声しか教室の中にはなかった。

由紀子が入れば由紀子にあった
カリキュラムを組んでくださるだろう事は解ったが

それでも何か物足りなさを感じてしまった。
 
しかし、高学年と中学部の子どもを見たとき
大きくなったらここがいいかもしれないと思った。

由紀子がどのくらい成長するか解らないけれど

普通学校についていけなくなったら
養護学校へ入れてやろうとお父さんと話した。

そして、最後の目標は養護学校の高等部です。


6日(土)

お父さんのおごりで外食をしました。

大好きなエビフライを食べてご機嫌な由紀子が

「ああ幸せ」といって、

みんなに大うけだった。

最近いろいろな言葉を使うようになった。

「もう一回」・・・・楽しいことをしてもらったとき催促をする言葉。

「いらない」・・・今まで拒否の言葉は「おしまい」しか持っていなかったが、
          物をすすめられたときにちゃんと拒否出来るようになった。

「お母さんおいで」・・今までは用事があるときは「お母さん」だけだった。

「○○○たすけて」・・○の所は家族の名前です。

大切な言葉だと思うので、

指名された人は何をおいてでも
駆けつけて助けてやることにしています。


7日(日)

高総体と中学校の陸上大会のため、

みんないつもの通り出かけてしまった。

退屈した由紀子に

「明日はお船に乗ってイチジク人参
(療育センターのこと)に行こうね」

と話したら、

突然トイレに行って、
靴を履いて

すっかりお出かけの準備をしてしまった。

しかたなくおばあちゃんの所で納得してもらった。


10日(水)
 
このごろの由紀子の行動を見ていると
いろいろ考えているなと、
思うことがよくある

お父さんと3人で
近所のスーパーへ歩いていくときなど、

2人ともに手をつないで欲しいらしく、

私がスーパーの袋を持っているときなど
お父さんとどっちの手をつなげば
私とも手をつなげるか立ち止まって
考えていたり、

洋服を着替える時も、
私が出した服が気に入らないと、

着たい服をタンスの中で探したり
(前は何を着せても黙っていたのに・・)

小学校入学を前に、
この子もそれなりに成長しているとうれしくなる。


11日(木)
今日はS小学校の学校見学をしてきた。

特殊学級を見せてもらったが
とても明るくて楽しそうな様子だった。

今年新設された特殊学級で
2年生の女の子が1人、
3年生の男女1名ずつ、計3人。

F小学校の一対一の授業とは違って
活気があるように見えた。

3人とも軽症の障害のようで
字も簡単な計算もできているようだった。

特に2年生の女の子は言葉がはっきりしないこと以外は
とても特殊学級にいる子どもには見えなかった。
 
その子の普通学級との交流は、
朝の会から親学級に行って、
国語と算数の時間だけ特殊学級に来ている
という形だった。

こんな事もできるのかと思った。

由紀子にとって、
どこが一番居心地が良いのか?!

居心地が良いだけで良いのか?!

どうしてみんなは普通学級にこだわるのか?!

考えても考えても分からない。
 
S小学校の校長先生は

「障害を持った子どもも
子どもの集団の中で生活することが大切だと思う。
でも、みんなについていけない部分は
個別に指導を受けることも大切だとも思う。」

と、おっしゃった。

そうなのかもしれない。

でも、・・・・・・・・。


12日(金)
 
時の記念日に保育園で作った
車の時計を持ち帰った。

その車にはたくさんの顔がかいてあった。

O上先生、由紀ちゃん、お父さん、お母さん、
くま、うさぎ、あきちゃん、じゅんくん・・・。

2回聞いても同じ答えだったので
きっと意識して書いたのだと思う。

くまとウサギの絵には家族中大拍手でした。 

今日は日本脳炎の予防接種を受けてきた。

大泣きをしたけれどがんばって受けてきました。


13日(土)

若竹の会の訓練日。

由紀子は最近訓練を楽しみにしているようだ。

家にいてもお友達が居るわけでもなく
ビデオを見るわけでもなく
退屈なのだろう。

近所の子どもたちと
1人だけ違う保育園に通っているのだから
仕方がないと思いながら

由紀子の寂しさを考えるとかわいそうです。

小学校に入ったら家で遊べる
お友達が出来ると良いなと思います。


14日(日)
 
鏡の前で何かしているなと思って
後ろから見ていると

突然「バラモン」と言って
目を指でつりあげていた。

「バラモンだこ」が気に入って
飾ってあると喜んでいたが
よく見ているなと感心してしまう。

後ろで「上がり目、下がり目、バラモンの目」と歌って

つり目をして見せたらすごく喜んで
まねをしてしばらく遊んでいた。


15日(月)
 
就学相談日が8月20日に決まった。

障害児の親の中には

就学相談を受けない。
障害児にも普通の子どもたちと
同じように学校へ行く権利がある、

と主張する人たちがが居るけれど

社会の中にそういうシステムがあるのなら

正面からぶつかって自分の意志をしっかり話して
一番良い方法を探ってこようと思っている。

今ここで就学相談をさけても
この後いくつも壁があると思うから・・・・。

逃げてばかりはいられません。


16日(火)
 
ここ数日家に帰ってから
わがままがひどくて困る。

鼻水が出たといっては
私にふけと言って聞かず、

自分でしなさいと言うと
大泣きする。

自分で読みたい本が見つからないと言っては
また泣いて・・。

泣いた後、
鼻歌を歌ったり。

どうしたの?と言う感じです。


17日(水)
 
保育園にわがままのことを相談したら先生から、

2日間お昼寝の時間にO上先生が居なくて、

他の先生が添い寝をしたけれど
とうとう寝なかったと返事をもらった。

そして、泣いてしてもらおう

泣いて勝とうとしているのかもしれないし、

お母さんの反応を見ているのかもしれない、

とも書いてあった。

そうかもしれない
私は由紀子に見透かされていると思う。

どうすれば自分の言うことを
聞いてくれるかよく知っている。

私、よく反省はするのだけど結果が出ない。

「困ったものだ!」

これ、お父さんの一言です。


18日(木)

朝の「ポンキッキ」という番組の中に
音を聞いて何をしている音かあてるゲームがある。

今朝ご飯を食べながら見ていた由紀子が

「カチャカチャ」

という音を聞いてすぐに

「パソコン」と答えた。

ピンポーン!!

想像する力もついているとうれしくなった。


19日(金)

朝からすごい雨だった。

保育園に行くのをためらうほどの雨だったが、

私に抱かれて雨の中を
車まで走る事を由紀子は大喜び。

久しぶりに長靴を履かしてみたら
小さくてはけない。

大きくなったんだなと思った。

新しい長靴をかってやらなくては・・。

今日は2回目の予防接種の日だった。

2回目という事で
部屋に入った時から由紀子は逃げ腰で
泣きべそをかいていた。

「終わったらアイスを買ってあげる」
という言葉だけにすがっているようだった。

針が刺さった瞬間、大きな声で

「いたーい!ありがとうございました!!!」

と叫んで、

会場中大爆笑になってしまった。

今日も由紀子はがんばりました。


20日(土)

今日は 若竹の会の練習もなくて、

いつもの退屈な土曜日でした。

雨は降るし最悪!


21日(日)

今日も雨。
由紀子が頭をかきむしってかゆそうなので
髪を短くしてやることにした。

先日、先輩ママに

髪は美容院で切ってもらった方がいいと

助言を受けたので思い切って
友人がやっている美容室につれていくことにした。

シャンプー、ドライヤー、えりそりなどは
やめてもらいたいこと。

途中で泣き出して、
中途半端になってもかまわないことを告げて、

由紀子を鏡の前に座らせた。

初めは「おしまい!」と
拒否するような感じだったけれど

鏡に映った自分がうれしかったらしく

「かわいい、かっこいい」

とおだてられながら
最後まで切ることが出来た。 

私が心配したほど抵抗もなく
ニコニコして座っている姿を見て、

この子は私が思っている以上に
しっかりしているのかもしれないと思った。


22日(月)
また風邪をひいたのかくしゃみが出ている。

「ティシュ、ティシュ」と大忙しです。

こんな日は鼻血が出やすいので気をつけなくては・・・・。


23日(火)

保育園の給食の時おかわりをするほど
たくさん食べられるようになったらしい。

家でもよく「おかわり」という言葉が
聞かれるようになった。

お肉が好きになって
煮付けた物も炒めた物もよく食べる。

今までタンパク質は玉子と豆腐でしか取れなかったので
心配だったけれど

これでメニューが楽になる。


24日(水)

今日は保育園で歯科検診があった。

朝から納得させようと

「今日は保育園には医者さんが来るから
泣かないでアーンとしてね」

といったら、

「おしまい!保育園、保育園。」

と、歯医者さんに行くものと
勘違いされてしまった。 

でも、保育園ではお利口に出来たらしく、

虫歯0本で先生に誉めていただいたそうです。

良かった、

由紀子を歯医者さんに連れていくことを
想像しただけで疲れてしまう。


25日(木)

今日は土田先生が保健所の研修にみえられて、

由紀子たちを使って療育訓練の研修会を開かれた。

由紀子の他に10人ほどの子どもが来ていたが、

福江にこんなに療育を必要としている子どもが居るのかと
びっくりしてしまった。

早く保健所で教育訓練が出来るようになることを
心から願った。

夕方からは小学校の先生方を対象とした
講演会があると聞いていたので

由紀子を上の娘に頼んで出かけてみたが
先生は誰も来ていなかった。

(1人だけ遅れてみえた)

先生方の関心がないのかな? 

来年入学を控えた者には不安なことでした。

私を含めて3人の自閉症児の親が参加していたが、

れから自閉児のネットワークを作って、
もう1度講演会を企画しようと話し合った。

夜は土田先生を囲んで食事ができた。

先生といろいろ話が出来、
とても有意義な1日だった。


26日(金)

今日は由紀子の保育園での生活を見せてもらうために
保育参観をさせてもらった。

普通にに見行くと由紀子が甘えてくるかもしれないので

先生と話し合って
保育園の手伝いをしながら見せてもらうことにした。

エプロンをつけて教室に座って
七夕に飾りを作っていると

由紀子が先生方への挨拶が終わって
教室に帰ってきた。

私を見つけてびっくりしたようだったが、

先生にトイレに行くように言われて
走っていってしまった。

帰ってきた由紀子はお尻を半分出していた。

直してやりたい気持ちを抑えて知らん顔をしていたら

先生や回りの子どもたちに
注意されて自分で直していた。

それ以来由紀子は気にしながらも
1度も私に話しかけてこなかった。

今日は保育園の仕事をしに来ていると思ったようだ。 


27日(土)

若竹の会の訓練日。

前回の訓練まで両足飛びでケンパのように
閉じて開いてとしながら進む訓練は

私に手を引いてもらわないと
前に進めなかったが
今日は一人で飛んでいた。

由紀子の順番が来たことに気がつかず、

みんなの拍手で驚いて見ると
得意そうに飛んでいる由紀子の姿があった。

すごい!すごい!

由紀子は本当がんばっている。


28日(日)

今日はお父さんの学校の人たちと
地引き網に行った。

初めこそたくさんの人に驚いて
私の背中に張り付いていたけれど。

網があがって海辺につれていくと
洋服のまま腰まで水に浸かって、

網からこぼれた5センチ程の
アジを手づかみにして
じっと見つめてポイッと投げ捨て

もう1匹掴んで・・・

と夢中になっていた。 

天気が悪かったので親に止められ、

理性のはたらく回りの子どもたちは、

唖然としたりうらやましそうだったりしていた。


私は明日、熱が出たとしても、
この瞬間の、
由紀子の目の輝きを大切にしてやりたいと思った。


29日(月)

昨日のことで熱を出すこともなく
元気に保育園に行った。

先生に昨日のことを話すと

「自然の中では構えることもなく
自分を出せるからいきいきと見えたのでしょう。」

とおしゃった。

そうかもしれない。

台所で魚を見ても手づかみにしたりはしないだろう。

自然の中だから、
海の中だから、
由紀子も自然の中にとけ込んでいったのだろう。


30日(火)

夕方、洗面所に由紀子が入って
長く出てこないので様子を見に行くと、

石鹸を使って頭から首まで洗っていた。

ベタベタになった姿を見て
一瞬何が起こったのか分からなくて
由紀子と見つめ合ってしまった。

早く保育園でプールが始まって
水遊びの欲求が満たされるといいなあ~!

と心から思います。

=END=
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1998年5月 (5歳) | トップ | 1998年7月 (5歳) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ゆきちゃんの日記」カテゴリの最新記事