この解説では「肺に移ってトリップ」の意味を解しておらず、それはサイケデリック-リテラシーの欠如と言えます。
しかしサイケデリック自体が違法とされるお国柄なのでしょうがない面もあり、「アオカンでイッてちょうだい」も真っ直ぐに解説されていません。
世界的には60年代からサイケデリック-ロックは若者の心を捉え続けており、日本の音楽シーンは時代の波に乗り遅れている感があった中で、りんご姫の2000年のデビューには鮮烈なインパクトがありました。
このデビューアルバムの中でも特に鮮烈なのは「丸の内サイケデリック」と「同じ夜」で、2000年の夏はインドのバラナシ(シバ神の聖地)で3ヶ月間沈没し、そこでは毎晩「久美子ハウス」の屋上で凡パーティーが開かれて「同じ夜」を多くの人と追体験していました。
さて、「Sunの物語」に入らせて貰い、「遊女の神」徳流河(ドゥルーガ)のサイケデリックな暮らしを物語りますが、既に「女子鉄道突撃隊の成長戦略」で彼女たちが「手作りチョコレート」を列車で配ると描き、それは映画「ショコラ」の主人公の戦略に共通するとしました。
それはつまり「ハシシ」を配るコトで、これは少量を食べるだけで半日程トリップ感を味わえます。
チョコレートに混ぜれば味も良く、効果が表れるまで一時間程かかるので、列車の客は何故そんなにハイになるのかを理解しません...
流河は香港でもチョコレート作りを続けますが、ハシシは専ら食べるだけで吸わないとします。
これは「肺に移ってトリップ」しない為で、今では「女子革命突撃隊」の指導者として「党」から追われる身なので、記憶が飛ぶようなトリップは控えます。
「腸からの吸収」は穏やかで、ノスタルジーに浸る感じがし、その感じは「同じ夜」で謳われていて、流河は毎晩クルーザーの上で涙を流します。
また一方で、クルーザーでは毎晩パーティーが開かれ、沖にて大ボリュームの音楽も流されます。
次回はそんなパーティー-ピープルな暮らしについて物語ります。