香港はおそらく、自由主義諸国の中で最も裕福な国でしょう。
わたしはUAE(アラブ首長国連邦)に行ったコトもありますが、そこは物価ばかりは香港並に世界最高水準でしたが、所詮は砂漠に建てられた蜃気楼都市で、全く豊かさは感じられませんでした。
それに引き換え香港は、沖縄と同等の豊かな熱帯の自然に恵まれ、人々の気質は穏やかで粘り強さが感じられます。
彼等はイギリス植民地だった遺産を活かしてグローバル市場に打って出て、巨大な中国市場との架け橋役を担い大きな勝利を納めました。
しかしもちろん、香港社会も「勝ち組」と「負け組」に分かれており、ネットではそれを「香港の豚」と「無駄な若者」と表現しています。
このページの自動翻訳はラフですが読めなくもなく、AIの進化はネット空間の「言葉の壁」を無くしたと言えそうです。
前置きは以上として、カトマンドゥの古本屋で買った本の中では1番の収穫と言える「なぜ世界の半分が飢えるのか」について語らせて貰います。
まずは"半分"についてですが、国連は世界の飢餓人口は30%としております。
しかしこれは「栄養飢餓」を含んでおらず、「なぜ世界の半分が飢えるのか」ではそれについても論じています。
ここでは豊かなアメリカに於いてすら栄養飢餓が広まっている実態がレポートされており、わたしはアメリカに2年間住んだのでそれを体感しています。
しかし、インドやネパールではアメリカよりもずっと栄養飢餓の問題は深刻な気がし、子供の頃からまともな栄養を取って来なかった人々は、身体的にも知能的にも発育不全で、そうした人々の人生には常に「苦」がつきまとっている印象を受けました。
この「苦」は"なぜ"生じているかを、本書では豊かな国のアグリビジネスと、貧しい国の暗愚な支配層のせいにしていて、主に「投機」こそがその主因としているので、長くなりますが引用させて貰います。
−− 自由経済諸国には、一定の価格で食糧を売買いする国家機関がなく、市場価格を規制し得るような政府管理備蓄もない。あるのは先物取引市場と投機である。−−
−− 先物相場は、大豆の例でみたように、需給の実勢を知るのに必ずしも頼りになる指標ではなく、市場を大混乱におとしいれることさえある。『フォーチュン』誌の説明によると、「生産量あるいは貿易量のわずかな動きが価格に大きくはね返ってくるというのが、世界農業経済の実情である。その原因は、生産が少しでも落ちれば、供給は備蓄に頼らざるを得ず、しかも世界の大部分の食料備蓄は偏在しているからである」。
"偏在している"ということを別の言葉でいえば、アメリカ、そして一部はカナダ、もう一度いい直せば穀物貿易業者が世界のほとんど全部の穀物を押さえているということである。食料価格が低いときは、穀物貿易業者、そして日本のような国までが食糧を"ため込む"(『フォーチュン』の表現)。"ため込む"というのは、投機のことをいささか上品にいいかえたものである。 −−
ここでは日本が槍玉に上がっていますが、香港の豊かさも「投機」によるモノであるコトは疑いなく、日本にはまだ農業と工業があるぶん香港のよりはマシと言えるでしょう。
そんな香港の「豚」と「無断な若者」と一緒に、不夜城を酔っ払って歩き回りながらブログをアップしました。
このテーマは次回にまた深めて行こうと思います。