真の動物福祉牧場を目指して

Seek (王者) of Indi

 このタイトルはジョージ-ハリスンの "Seek of Arabi" から取りましたが、今わたしがシーク教徒の都アムリトサルに来ているコトも関連しています。

 昨日居たビートルズで有名なリシュケシュは、あまりにも観光地化されていてヨガ-アシュラムやツアー会社が百軒以上も建ち並び、せっかくガンガーが山々から平野へ流れ出す聖地なのに、町が発展し過ぎて自然の風情が損なわれてしまっていました。

 わたしは今更ヨガやツアーにお金を払う気もなく、欧米からの観光客がやたらと多い町には違和感を感じ、聖地のサドゥー達もカーシーと同じくダラダラしているだけに見えたので、安いドミトリー宿は有っても泊まる気にはなりませんでした。

 そんなワケで引き続き夜行列車の旅を続け、ちょうど良い時刻にアムリトサル行きがあったのでそれに乗りました。
 因みに乗ったのはハリドワールという隣りの大きな街からで、ここもガンガー上流の聖地として有名で、ほぼインド人の観光客ばかりでしたがカーシーとは一味違ったモダンなガートを味わえました。

  

 夜行列車は空いていたので横になって寝れ、朝起きるとそこはインド1の穀倉地帯パンジャブの広大な麦畑が広がっていました。
 パンジャブは実直なシーク教徒の州で、昔からインドで最も豊かな農民を擁する州として有名です。

 有名な「グリーン-レボリューション(緑の革命)の暴力」もここを起点として起こり、これは有機農法から化学農法への転換で生じた様々な問題をルポした本で、著者であるパンジャブ出身の女性農学者(シヴァ女史)は国際的な賞を獲得しました。

 この本についてはブログ初期に詳しく解説しましたが、化学農法に適応した品種は育つのに水を多く必要とし、パンジャブは半乾燥地帯のため農民間での水争いを生じさせました。
 これはパキスタンとインドの間での水争いを激化させ、その暴力の連鎖は戦争にまで発展しました。

 また、遺伝子組み換えの種子は1世代しか続かない「ターミネーター」のタメ、農民は毎年買わされて経営を圧迫しました。
 農薬も化学肥料とセットになっており経費が嵩み、それでも数年間は収量が増えてペイしましたが、だんだんと土地のミネラルバランスが崩れて作物の病気が多発する様になり、農民は農薬散布を増やして体を壊し、更に赤字経営から抜け出せなくなって自殺する農民が後を絶たなくなりました… 

 この問題は国の農業保護政策でとりあえず収まりましたが、根本的に解決するには化学農法と有機農法を上手く融合させる必要があり、それには有効微生物群(EM)を用いるのが最も効果的です。
 シヴァ女史はこのEM農法の普及も行われており、それはもう30年以上も前からなので、どこまで農業システムとして普及しているか探ってみたいと思います。

 ここで話をいったんアムリトサルのシーク教徒に戻しますと、彼等は日本人と同じくらいの肌色で、男性は髪と髭を伸ばしっぱなしにしてターバンを巻いています。
 シークの男達はみんな「シン」のラストネームを持ち、これは「王者」という意味で恰幅の良い人が多く居ます。

 そうしたシーク達は独立志向が非常に強く、ムガル帝国や大英帝国の時代からインド独立後も、パンジャブ独立戦争を闘いその都度敗れて来た歴史があります。
 そのタメかパンジャブ女性にはどこか暗い影が見え、彼女達はパンジャブから出たいからか、外国人旅行者に積極性にアプローチして来ます。

 おそらくインドで若い女性からナンパさられる所はココくらいで、そんなアムリトサルにもヒンドゥー寺院が増えて来ており、シーク寺院と合体している所も幾つか見かけました。
 その代りモスクは一切無く、すぐ側の姉妹都市と言えるパキスタンのラホールはスーフィー(イスラム神秘主義)の都なので、まるで別世界の観があります。

 因みにパキスタンのビザは日本でないと取り難く、パキに入国すると今度はインドに入り難くなります。
 このイン-パの国境がフリーになり、昔のように姉妹都市間の交流が活発になれば、停滞感のあるシーク文化もより発展するかと思います。

 わたしがアムリトサルを訪れたのはこれで3度目になり、今回初めてゴールデンテンプルに泊まりました。
 ここは完全ドネーション制で千人近い巡礼者が毎日泊まり、24時間タダで食事もできます。
 まるで無銭旅行者の天国と言った所ですが、わたしは適当な額を寄附をして出発し、ここからバスで山中のダラムサラーまで半日かけて行きます。
 
 
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