2014年6月23日月曜日。
私の母が、卵巣癌で息を引き取りました。
60歳と2ヶ月でした。
母の卵巣癌が見つかってから亡くなるまでのことを、私の記録として、そして今も癌と闘っている誰かのために書き残したいと思います。
『
腸閉塞(イレウス)と最後の入院【その1】』
『
腸閉塞(イレウス)と最後の入院【その2】』
『
腸閉塞(イレウス)と最後の入院【その3】』
の続きです。
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母が退院してきてから、家は普段よりバタバタしていました。
色んな人が来るし。
訪問看護の人が一日おきに来てくれて。
酸素ボンベを貸してくれた業者の方(どこだっけ、有名な外資の会社)も様子を見に来たり。
いつも静かな家が、バタバタしています。
でも、病院よりは遥かに静かで、日常です。
母を家に連れ帰ってすぐに、訪問看護の看護師さんも来てくれて、色々としてくれました。
母のいない所に連れて行かれて、
「お母さんの様子は良くないです。今夜何かあってもおかしくない。
何かあったらすぐに連絡を下さい。当番が携帯を持っているので、夜でも大丈夫です。
もし、お母さんが息を引き取ったと思っても、救急車は呼ばないで下さい。
自宅で亡くなった時には事故になってしまうので警察に連れて行かれてしまいます。
先生に来て頂く事になっているので、何があってもこちらに連絡をください」
との事でした。
母の入院している病院は、市内では一番大きな総合病院でした。
この辺ではあまりないNICU(新生児集中治療室)があって、県の「がん診療指定病院」になっている病院でもあります。
この規模の病院の先生が家に来てくれるのは珍しいことらしいのですが、病院の院長が往診を比較的してくれる先生らしいので、その関係で比較的往診もしてくれるらしいんですね。
母に、
「家に帰ってきたのわかる?」
と聞いても返事はありませんでしたが、わかっているっぽかったです。
母はこちらの問いかけに答えたり会話が出来る状態ではありませんでした。
目は開いています。
ぼーっとどこかを見ているのか、見ていないのか。
手をベッドの柵から出して、ボーっとしている感じ。
介護ベッドは比較的高性能の物を借りたので、エアーが入っていて、時間ごとに左右のバランスを変えて床ずれ防止になるものでした。
でも、数時間ごとに身体の下にタオルを入れて体位を変えました。
点滴が無くならないように交換したり、母に話しかけたり。
お風呂にもしばらく入ってなくて気持ち悪いと言っていたので、大きな桶にお湯を入れてきて、ベッドで足湯をしました。
そのときも、足をあげるときは自分で力を入れたり、少しは意識があるっぽい動きをしていました。
痛がっていたら与えるように、と言われた痛み止めの口に入れるお薬は使いませんでした。
この数日、痛がっている様子はありませんでした。
鼻に入っているチューブから出てくる物に血のようなものが混じっていて、一度だけ訪問看護の看護師さんを呼びました。
何て言ってたかな……特に問題もなく、様子を見て大丈夫という事だったと思います。
夜になって……。
妹と姪っ子が家に帰り、父が2階の寝室へ上がりました。
夜中になっても母が寝る様子がないので、「まだ起きてるの?」と聞いたら、
「何回も」と、母は言いました。
声が出るのは珍しいです。
「何回も聞くなって? はいはい」
確かに、まだ起きてるの? と言ったのは、数回目でした。
やっぱり、たまに正気になるんだな、と思いました。
夜中の2時くらいだったか。
何となく自室に上がる感じでもなく、母が寝ている和室のベッドのあたりで横になりました。
旦那様も一緒です。
気づいた時には旦那様が私を呼んでいました。
「バービー(←母の事)が……」
いわれて飛び起きて、母の所へ行くと……。
母は息を引き取っていました。
4時頃でした。
母の身体はまだ温かくて。
目を細く開いていて、まだ起きてくるように見えました。
どうして寝てる間に行ってしまったのか。
寝てしまったのか。
思ったけど、これはどうしようもなくて。
見送りなんていらないよ、っていう感じも、母らしくて。
「頑張ったね。もう痛くないね、苦しくないね。ありがとう」と言いました。
2階の父を呼び起こしました。
妹に電話して、母の事を伝えて。
訪問看護の方に電話をして母が息を引き取ったと伝えました。
先生を連れて行くとの事でした。
大きなお葬式にする予定はないけれど、お葬式はしてあげたいので、公共の所でお葬式ができる葬儀屋さんをネットで探して電話してもらうように旦那様に頼みました。
電話をすると、すぐに来てくれるとの事でした。
悲しむ間もないバタバタで、動きながら泣くという日でした。
4回で終わる予定だったのですが、その後の事もちょっと書こうと思うので、5回へ続きます。
お付き合いいただいてありがとうございます。
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