きょうは残りの1紙、日本経済新聞の社説について見ていくことにしよう。
《東北の復興は廃炉と両輪で進めよ》というタイトルが示すように、この社説は「東北の復興には、フクシマ原発の廃炉作業が欠かせない」と主張している。
では、この主張はどういう理由に基づいてなされているのか。
それを見る前に、ここでいう「廃炉」が何を意味するかをまず押さえなければならない。
原発の「廃炉」というと、普通は「溶け落ちた燃料デブリの取り出し」を思い浮かべるが、この社説がいう「廃炉」は、それだけを意味しないからである。
燃料デブリを取り出すに当たっては、それに伴って発生する大量の廃棄物の処分法が問題になるし、原発跡地をどう使うかも検討しなければならない。特に、核燃料廃棄物の最終処分法は最大の難問であり、まだ見つかっていないのが現状である。社説は廃炉作業を「燃料デブリの取り出し」に伴う一連のプロセスとして捉え、次のように述べている。
「廃炉の最難関とされる溶け落ちた燃料デブリの取り出しも23年度後半に開始を予定する。今後は廃炉で発生する大量の廃棄物の処分法や、最終的に周辺の土地をどう使うかなども課題になる。どんな状態になれば廃炉が完了したとするかという廃炉の定義を含め、作業計画のよりどころとなる法制度も検討すべきだろう。」
では、こうした廃炉プロセスは何ゆえに欠かせないのか。それは端的にいえば、地元との意思疎通と信頼の回復のために、それが必要不可欠だからである。社説はこう主張する。
「政府はエネルギーの安定供給確保と気候対策の両立に原発が必要だとしている。だが原発政策を前に進めるには信頼回復が前提となる。廃炉プロセスに住民との対話を導入し、地元の意向を反映させるべきだ。それが政府や東電への不信感を払拭する一歩になる。」
つまり、日経の社説は、政府・原発事業者と地元住民との間の信頼の回復が「東北の復興」の第一の基本前提であり、また、今後、原発政策を進めるに当たっての基本前提でもある、と主張しているのである。
話は変わるが、きのうの朝日新聞に、以下の記事が載っていた。
「岸田政権が震災後の政策を大きく転換し、原発の新規建設や60年を超えた運転を可能とする方針を打ち出す中、初めて迎えた『3・11』。この日、福島県など各地で原発回帰に反対する集会などが開かれた。」
(朝日新聞デジタル3月12日配信)
政府・原発事業者と地元住民との間の信頼が損なわれたままの現状では、「原発反対!」の抗議の声が鳴り止まないのは当然である。
日経の社説がいうように、政府・原発事業者は、地元住民の信頼が得られるよう、今後はたえず地元住民との意思疎通を図りながら、廃炉プロセスの一つひとつを丁寧かつ慎重に進めるべきだろう。
《東北の復興は廃炉と両輪で進めよ》というタイトルが示すように、この社説は「東北の復興には、フクシマ原発の廃炉作業が欠かせない」と主張している。
では、この主張はどういう理由に基づいてなされているのか。
それを見る前に、ここでいう「廃炉」が何を意味するかをまず押さえなければならない。
原発の「廃炉」というと、普通は「溶け落ちた燃料デブリの取り出し」を思い浮かべるが、この社説がいう「廃炉」は、それだけを意味しないからである。
燃料デブリを取り出すに当たっては、それに伴って発生する大量の廃棄物の処分法が問題になるし、原発跡地をどう使うかも検討しなければならない。特に、核燃料廃棄物の最終処分法は最大の難問であり、まだ見つかっていないのが現状である。社説は廃炉作業を「燃料デブリの取り出し」に伴う一連のプロセスとして捉え、次のように述べている。
「廃炉の最難関とされる溶け落ちた燃料デブリの取り出しも23年度後半に開始を予定する。今後は廃炉で発生する大量の廃棄物の処分法や、最終的に周辺の土地をどう使うかなども課題になる。どんな状態になれば廃炉が完了したとするかという廃炉の定義を含め、作業計画のよりどころとなる法制度も検討すべきだろう。」
では、こうした廃炉プロセスは何ゆえに欠かせないのか。それは端的にいえば、地元との意思疎通と信頼の回復のために、それが必要不可欠だからである。社説はこう主張する。
「政府はエネルギーの安定供給確保と気候対策の両立に原発が必要だとしている。だが原発政策を前に進めるには信頼回復が前提となる。廃炉プロセスに住民との対話を導入し、地元の意向を反映させるべきだ。それが政府や東電への不信感を払拭する一歩になる。」
つまり、日経の社説は、政府・原発事業者と地元住民との間の信頼の回復が「東北の復興」の第一の基本前提であり、また、今後、原発政策を進めるに当たっての基本前提でもある、と主張しているのである。
話は変わるが、きのうの朝日新聞に、以下の記事が載っていた。
「岸田政権が震災後の政策を大きく転換し、原発の新規建設や60年を超えた運転を可能とする方針を打ち出す中、初めて迎えた『3・11』。この日、福島県など各地で原発回帰に反対する集会などが開かれた。」
(朝日新聞デジタル3月12日配信)
政府・原発事業者と地元住民との間の信頼が損なわれたままの現状では、「原発反対!」の抗議の声が鳴り止まないのは当然である。
日経の社説がいうように、政府・原発事業者は、地元住民の信頼が得られるよう、今後はたえず地元住民との意思疎通を図りながら、廃炉プロセスの一つひとつを丁寧かつ慎重に進めるべきだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます