ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

「である」か「べき」か

2016-04-07 15:00:32 | 日記
毎日新聞は4月6日付で、

「「難民」送還 試される欧州人道主義」

と題する社説を掲げている。

私がブログで難民問題を取り上げてから、

この問題を扱ったはじめての社説である。

さっそく私は、期待をもってこの社説に目を通した。

目を通してすぐ、私は肩透かしを食らった気分になった。

難民に対処する欧州各国の実情は、コレコレ「である」。

コレコレに関しては、シカジカが実情「である」、といった具合で、

この社説は、

「である」砲の連続射撃から、――事実の列挙から、

成り立っている。

実情が知りたい人にとっては、

この社説は役立つだろうが、

私が求めているのは、こうした「である(be)」ではなく、

「べき(ought)」についての問いであり、

その問いに対する答えなのだ。

毎日の社説は、「べき」の問いも、

この問いに対する答えも

全く無視し、

完全スルーしてしまっている。

そんな青っちょろい問いなんて

愚問だと言わんばかりだ。


この社説の締めの文章は、以下の通りである。

「戦乱や貧困に苦しむ中東・アフリカから豊かな欧州を目指す人の流れをコントロールするのは簡単ではない。

難民危機をどう解決に導くか。

戦後欧州が理念に掲げてきた人道主義が試されている。」

大学入試の模範解答のような、

そつのない見事な文章である。

でも、これでいいのだろうか。

難民危機をどう解決に導くか。

それが問題なのだが、

毎日はこの問いを、

「人道主義」という欧州の理念の側に

いわば丸投げしてしまっている。

「あなたたち西洋の人が言う人道主義からすれば、

どういう解が出てくるんですかね。

東洋人の私にはどうでもいいことですが、

参考までに

一応聞かせてもらえませんか?」

といった無責任な態度なのだ。

ここにもエリート・ジャーナリズムの典型的文章がある。
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