ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

トランプ政権の不確実性(その2)

2025-03-07 10:05:15 | 日記
(承前)

トランプ米大統領の思考の特異性。私がそれを思い知らされたのは、次のニュースによってである。

トランプ米大統領は25日、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘で破壊されたパレスチナ自治区ガザの『将来像』の動画を自身のSNSに投稿した。ガザの住民を移住させ、米国が『所有』して再開発するというトランプ氏の提案には地元市民やアラブ諸国が反対しており、物議を醸しそうだ。
(朝日新聞2月27日)

このニュースを聞いたとき、私は、カネのことしか頭にない強引な地上げ屋の所業を連想したのである。
「ここは風光明媚だ。それなりに開発すれば、立派なリゾート地になる。だから、なあ、この土地を売ってくれないか。カネのほうなら、せいぜい奮発するぜ。移住先だって、便利な土地のマンションを用意させる。今のまま、貧乏な暮らしをするか、便利なマンションに移って快適な暮らしをするか、どっちが良いかは考えるまでもないではないか」
この地上げ屋は、土地の住民がそれでもなおこの土地を離れたがらない理由が理解できない。彼の頭には、〈郷土愛〉などという言葉は浮かばず、「どれだけのカネが手に入るか」ということしか考えられないのである。
「トランプの思考の独自性・異質性は、すべてを金銭的な損得勘定の論理(算盤の論理)で考える、ということに尽きる」と私が前回のブログで書いたのは、そういうことである。

さて、ゼレンスキー大統領だが、彼が28日の会談の席で、トランプ大統領から協定書ーー地下資源の権益をめぐる協定書ーーへの署名を求められたとき、頭に思い浮かべたのは、以上のような地上げ屋の姿だったに違いない。
この老人が地下資源から莫大なカネを手に入れたがっているのは、まあ良しとしよう。アメリカはこれまで、かなりの額の軍事支援を行ってきた。その投資に対するリターンが地下資源の権益ということである。

だが、見過ごせないのは、トランプが〈正義〉の観念を完全に度外視していることである。ウクライナの兵士たちは、これまで〈正義〉のために生命(いのち)を賭け、生命(いのち)を落としてきた。そのことをまるで無かったことのように度外視する、この強欲老人の品性がゼレンスキーは許せなかったのである。

怒りに駆られた結果、ゼレンスキーはトランプを怒らせ、軍事支援を止められてしまった。アメリカの支援を失ったままで、この先ウクライナはロシアとどう戦えばよいのかーー。
おそらく冷静になったゼレンスキーは、怒りを胸におさめ、協定書に署名をすることだろう。ウクライナが生き残る道は、それしかない。

注目すべきは、次のニュースである。

フランスのマクロン大統領は5日、ウクライナ情勢をめぐってテレビで演説を行い、ロシアの脅威がヨーロッパに差し迫っているとして、フランスが保有する核兵器による抑止力を、ヨーロッパにも広げることについて、検討を始める考えを明らかにしました。(中略)
マクロン大統領は『アメリカが私たちの味方であり続けると信じたい。しかし、もしそうでなくなった場合にも備える必要がある』と述べ、フランスを含むヨーロッパ各国が防衛力を強化し、ウクライナへの支援を継続する必要があると強調しました。

(NHK NEWS WEB 3月7日配信)

トランプ政権の不確実性。これについては前回の本ブログで述べたが、フランスのマクロン大統領はこの不確実性への対処として、「アメリカなしでもやっていける防衛体制の構築」を考案・構想しようとしている。
これに対して、トランプ政権はどういう反応を示すのか、興味は尽きない。

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