論語を現代語訳してみました。
雍也 第六
《原文》
子曰、人之生也、直。罔之生也、幸而免。
《翻訳》
子 曰〔のたま〕わく、人〔ひと〕の生〔い〕くるや、直〔ちょく〕たれ。之〔これ〕 罔〔な〕くして生くるは、幸〔さいわ〕いにして免〔まぬか〕るるのみ。
子 曰〔のたま〕わく、人〔ひと〕の生〔い〕くるや、直〔ちょく〕たれ。之〔これ〕 罔〔な〕くして生くるは、幸〔さいわ〕いにして免〔まぬか〕るるのみ。
《現代語訳》
孔先生はまた、〈冉有さんに対し〉 次のように仰られました。
元来、人の生き方というのは、〈どのような過酷な状況であっても〉常に誠実なものじゃ。
しかし、誠実さもなく生き長らえるとすれば、それは単に、幸運にも難を免れたに過ぎぬわな、と。
〈つづく〉
《雑感コーナー》 以上、ご覧いただき有難う御座います。
この語句の意味するところは、いかに九死に一生を得たといえども、それをもって奇跡と呼べるのかどうか、だと思います。本当の意味での奇跡とは、自分が人としてこの世に生まれ、父母の子として、いま現在を生かされていることの奇跡にまさるものはないわけで、それらを尊重しあってこそ、本当の意味での仁愛の心が芽生えてくるんだろうとも思われるのです。
孔子は、学を修めるうえで、もっとも大切なことを冉有や弟子たちに伝えよとしたんではないでしょうか。
※ 関連ブログ 人の生くるや直し
※ 孔先生とは、孔子のことで、名は孔丘〔こうきゅう〕といい、子は、先生という意味
※ 原文・翻訳の出典は、加地伸行大阪大学名誉教授の『論語 増補版 全訳註』より
※ 現代語訳は、同出典本と伊與田學先生の『論語 一日一言』を主として参考