盍(なん)ぞ爾(なんじ)の志を言わざる
「顔淵(がんえん)、季路(きろ)侍(じ)す。子曰(のたま)わく、盍ぞ各々(おのおの)爾の志を言わざる。子路(しろ)曰(い)わく、願わくば車馬衣裘(しゃばいきゅう)、朋友と共にし、之(これ)を敝(やぶ)りても憾(うら)むこと無からん。顔淵曰(い)わく、善に伐(ほこ)ること無く、労(ろう)を施すこと無からん。子路曰(い)わく、願わくは子の志を聞かん。子曰(のたま)わく、老者(ろうしゃ)は之を安(やす)んじ、朋友(ほうゆう)は之を信じ、少者(しょうしゃ)は之を懐(なつ)けん。」
■その意味は?
顔淵と季路〔子路〕が孔子(先生)のそばに侍っていた。孔子(先生)が話しかけられた。
『どうだ、めいめい自分の理想を話し合ってみないかね。』
子路が言った。
『立派な馬や車、衣服や毛皮を友と共に使って、破れても惜しいと思わないようにありたいです。』
顔淵が言った。
『善い行いをしても人に誇ることもなく、骨の折れることを人に押し付けることのないようにありたいものです。』
子路が言った。
『どうか先生の理想をお聞かせください。』
孔子(先生)が言われた。
『年寄りたちの心を安らかにし、友達とは信をもって交わり、若者には親しみ懐かれるような人間になりたいね。』
(「論語」一日一言より)
■感想
共に志を語り合い、己に欠けているところ、また、己の過ちを省みて、それが真に愛するもののためであるのか、はたまた、世のため人のためのものであるのか、深く考えることも大切とあるといえよう。