車いすラグビー2大会連続銅「結果だけではない5年間の歴史と過程」池主将
[2021年8月29日18時35分]
<東京パラリンピック・車いすラグビー:日本60-52オーストラリア>◇3位決定戦◇29日◇国立代々木競技場
16年リオデジャネイロ大会銅メダルで世界ランク3位の日本が、3連覇を狙っていた同1位のオーストラリアを下し、2大会連続の銅メダルを獲得した。
試合後、池透暢主将(41)は仲間たちに感謝の言葉を伝えた。悲願の金メダルはならなかったが、「自分たちには結果だけではない5年間積み上げてきた歴史や過程がある。それが素晴らしいし、仲間と最高の時間を過ごせた。金メダルではなかったが、やってきたことは間違っていない。これはメダルよりもパラアスリートとして大切なことだと思う」と、チーム一丸となって戦えたことを強調した。
日本は前半の第1ピリオド(P)から得意の「好守速攻」を展開。反則により数的不利な場面でも、スピードを生かした攻撃でエースの池崎大輔(43)らがトライ。第2Pも攻撃的な攻防で気持ちの入ったプレーを連発。前半を30-25で折り返した。後半はさらにアクセル全開。それぞれが役割を遂行し、相手のミスを誘発して点差を広げた。第4Pも主導権を握り、8点差で完勝した。
同4位の英国との準決勝では攻守ともに日本らしいプレーが最後までできず、不完全燃焼に終わった。試合後の28日夜には、チームラインで米国人のケビン・オアー監督から日本ラグビーの“原点”を送られたという。最後の一戦を迎えるにあたり、12人の桜の戦士たちがやるべきこと、求めるラグビーとは一体何か-。答えは、全員が最後までハードワークして、攻守において果敢に挑み続けること。「俺はそういうラグビーが好きだ」。そのメッセージを読んだ選手たちは、改めて気持ちを立て直して奮起しこの日を迎えた。
41歳の闘将は言った。
「全員がケビンが目指すラグビーが好きだと思うし、リオ大会から積み上げてきたラグビーを最後に出せた。自分たちも強くなったが、世界も強くなった。銅メダルは今の実力」
最後の仕事を終えた池主将は、笑顔と涙が入り交じった表情でコートを後にした。