世界遺産とは、社団法人日本ユネスコ協会によれば次のように紹介されている。
「世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から引き継がれた貴重なたからものです。世界遺産にはさまざまな国や地域に住む人びとが誇る文化財や自然環境などがあります。
なかには人類の残酷な歴史を刻むもの、また戦争や自然災害、環境汚染などにより危機にさらされているものも含まれています。それらは国際協力を通じた保護のもと、国境を越え今日に生きる世界のすべての人びとが共有し、次の世代に受け継いでいくべきものです。」
また、 世界遺産には次の3種類があり、有形の不動産が対象になっているという。
文化遺産:顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など
自然遺産:顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、景観、絶滅のおそれのある動植物の生息・生息地などを含む地域
複合遺産:文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えている遺産
種類別世界遺産リスト登録件数:2006年7月現在で、文化遺産644、自然遺産162、複合遺産24(合計830)。
※以上詳細は、日本ユネスコ協会のホームページを参照⇒http://www.unesco.jp/contents/isan/about.html
この世界遺産登録を目指して、国内各地では活発な取り組みが展開されている。東北地方では、奥州平泉(岩手県)、三内丸山遺跡を始めとする縄文遺跡群(青森県)、出羽三山と最上川が織りなす文化景観(山形県)などがある。
国内各地の取り組みについては、個人の方のサイトながら、その概要をとりまとめて紹介しているユニークで優れものがある。
世界遺産資料館⇒http://homepage1.nifty.com/uraisan/
ところで、わが宮城県には世界遺産にふさわしい資産が無いのだろうか。そうだとするとあまりに情けない。なぜなら、この地に営々と積みかねられてきた歴史や伝統、文化といったものが、一般的なものであり、取り立てて自慢できるものが無いということになるからである。そういうことになっては、ご先祖様に申し訳ないではないか。
(我が国に飛来するガン(雁)の大部分が集まるとされるラムサール条約指定湿地の伊豆沼・内沼、蕪栗沼・周辺水田は、まさに世界遺産。)
松島湾一体はどうであろうか? 少しエリアを拡大し、その特筆すべき点を挙げてみたい。
① 八百八島とも称される多くの島々からなる「特別名勝 松島」
② 松島湾貝塚公園とも呼ぶべき国内最大数を誇る現存する貝塚群
③ 砂州の矢本海浜緑地、リアスの奥松島半島
④ 松島地区の国宝「瑞巌寺」を始めとする寺院群、塩竈地区の奥州一ノ宮の塩竈神社・志波彦神社
⑤ 国際貿易港を目指して明治政府が進めた「野蒜築港」
⑥ 現存し、今も活躍している国内最長の貞山運河(高城川、北上運河、東名運河、貞山運河)の要衝
(注)貞山運河となれば、浦生干潟や藩政時代からの黒松防風林などもあるので、岩沼市までの仙台湾岸としたいところであるが、仙台港で分断されてしまうことになる。
⑦ これらの資産と折り合いをつけながら累々と重ねられた水産業や生活
こうして見ると、世界遺産“複合遺産”登録への夢も膨らんでこようというもの。
「世界遺産登録を目指す」を県民共有のキャッチフレーズに掲げ、本県の最重要プロジェクトの一つであり、松島湾自然環境の再生と生活や産業の調和を目指す『松島湾リフレッシュ事業』を再構成し、大いに展開してはどうだろうか。21世紀におけるチャレンジとしては、もっとも象徴的な取り組みとなるだろうに・・・。
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