旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

国木田独歩の詩―山林に自由存す

2013-11-05 22:04:09 | 日々雑感
甑山をうろついていたとき思い出した国木田独歩の詩。
わが高校時代、しばしば思いを重ねて読誦していた詩。


     山林に自由存す

  われ此句(このく)を吟じて血のわくを覚ゆ
  嗚呼(ああ)山林に自由存す
  いかなればわれ山林をみすてし

  あくがれて虚栄の途(みち)にのぼりしより
  十年(ととせ)の月日塵(ちり)のうちに過ぎぬ
  ふりさけ見れば自由の里は
  すでに雲山千里の外にある心地す

  眥(まなじり)を決して天外をのぞめば
  をちかたの高峰(たかね)の雪の朝日影
  嗚呼(ああ)山林に自由存す
  われ此句を吟じて血のわくを覚ゆ

  なつかしきわが故郷は何処(いずこ)ぞや
  彼処(かしこ)にわれは山林の児(こ)なりき
  顧(かえり)みれば千里江山(せんりこうざん)
  自由の郷(さと)は雲底(うんてい)に没せんとす


 ※国木田独歩:くにきだ どっぽ、1871年8月30日(明治4年7月15日)~1908年(明治41年)6月23日

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