天気が良くないので、もう長いこと山野歩きを諦めてきた。
ウオーキングを兼ねた多摩川べり散策で気を紛らすといった程度。
今度の土曜日にはチビ孫が保育園の友達と水遊びしたいと言うので、その場所の状況を見に行ってきた。
これまで附近は堤防のかさ上げ工事関連などで立入りが制限されていたようだったし、先日夜遅くは水も無かった。
しかし現在、日中は水も流され、幼い子供たちが水遊びできるようだった。
多摩川堤防の斜面にヤブカンゾウの花を見つけて嬉しくなってしまった。
<ヤブカンゾウ>
ユリ科ワスレグサ属。八重咲になるのが特徴。3倍体で結実しない。
同科同属に、ユウスゲ(キスゲ)、ハマカンゾウ、ノカンゾウがある。
「萱草(かんぞう・わすれぐさ)・忘れ草」を詠んだ歌は、万葉集や古今集にある。 その例は ⇒ こちら
ワスレグサ属のこれらの花を見ると、わたしは、立原道造(1914.7.30~1939.3.29 享年24歳)を思い出す。
立原23歳の時の『詩集 萱草に寄す』にある『のちのおもひに』には格別の思い入れがある。
高校3年生だったときに覚えたソネット型式(14行詩)の詩は、あれから半世紀も経つというのに今でも諳んじることができる。
※立原が旧中山道の宿(油屋)で目にした花はユウスゲ(もしくはアサマキスゲ)。
のちのおもひに
夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引層に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しずまりかへつた午さがりの林道を
うららかに青い空には陽がてり 火山は眠ってゐた
ーそして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた・・・・・・
夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには
夢は 眞冬の追憶のうちに凍るであろう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう
立原道造 『詩集 萱草に寄す』 出典:立原道造詩集(角川文庫)
(兵庫島公園)
(画像右側の刈り払いされた草地は、切株などがあって子どもの遊びには不適。)
(野仏様ではいつものように合掌!)
(コエビソウ) 場所:砧線跡地緑道わき
(同白)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます