旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

パンドラの箱

2022-01-30 22:43:37 | 日々雑感
昨日、フキノトウなどを見ようと歩いた帰りに、いつものドラッグストアに立ち寄った。
LINEで知らせのあった10%引きがこの日までだった。
購入したのは、血中酸素飽和度を計る器具。
隣りのコロナウイルス用検査キットコーナーは、当然のことながら空っぽ。

家に戻ってすぐに使ってみた様子がトップ画像。
(最初計ったときは98%あった。)

そんなことをしているうちにギリシャ神話にある『パンドラの箱』を思い出した。
それは、ざっと次にような話。

     *

【パンドラの箱】
人間に生きていく知恵を授けた心優しいプロメテウス(先に考える者)は、神々だけのものとされていた火を盗みそれも与えた。
これにより大神ゼウスの怒りを買い、コーカサス山の岩につながれ、極寒灼熱さらしや毎日繰り返される大鷲による内臓食いちぎりの苦しみにあわせられた。
プロメテウスを罰したゼウスは、次に人間を苦しめる方法をいろいろ考えた。
思いついたそれは、美しい女をつくって人間たちに贈ることだった。

そこでヘパイトスに女をつくらせ、パンドラ(あらゆるものに恵まれた者)という名を付け、これに息を吹き込んだ。
このパンドラに、神々は美しさやずるがしこさ、大胆さなど思い思いの贈り物をした。
そしてパンドラをプロメテウスの弟エピメテウス(後から考える者)のところに連れて行った(まもなく二人は結婚)。

エピメテウスの家には、プロメテウスが残していった黄金づくりの箱が一つあった。
箱の中に入れてあったのは、病気、盗み、ねたみ、憎しみや悪だくみなど、人間を苦しめるありとあらゆる悪だった。
それは、プロメテウスが人間の間にはびこらないよう閉じ込めたものだった。

この美しい箱を目にしたパンドラは、少し考えの足りないエピメテウスに開けて見せるようせがんだ。
そして根負けしたエピメテウスは箱を開けてしまう。
とたんにあらゆる悪が箱から飛び出し、人間の世界に飛び散ってしまった。
あわててパンドラがフタを閉めようとしたとき、中から「自分も出してください」と弱々しい声がした。
その声の主は、”希望”だった。

     *

新型コロナウイルスの猛威が世界中で続いている。
広く目やれば、中露と米国や西欧諸国の対立、アラブやアフリカ諸国の紛争、アジア地域での軍事クーデター勃発などなど・・・。
ひるがえって国内では、多発する殺人(それも自殺できないから死刑になるためと他人を巻き込むなどというとんでもない「やから」までいる。)、貧困格差の拡大(極貧家庭の増加)などなど・・・。
まさに開かれたパンドラの箱。
きっとコロナウイルスたちは、「お前たちが戦うべき共通の敵はおれらなのに、勝手に自滅への道を進んでいる。人類ってなんと愚かな奴らよ!」とあざけり笑っているに違いない。

血中酸素飽和度を計る小さな器具を手にしつつ、コロナウイルスへの対処においてこれも”希望”と言うべきか思い惑うそんな夜だった。

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