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「被害者=正義」という虚構

2016年01月10日 | 文化・道徳


韓国には「被害者=道義的優位性」というおかしな価値観がある。ある事件における被害者と加害者の関係では、たしかに相対的に道義的優位差はあるだろう。しかし、それはその事件限定であり、事件の範囲外にまで道義的優位性を持ち出せるはずがない。だが、韓国人は道義的優位性を乱用する傾向がある。

韓国での道義的優位性の乱用は「甲の横暴」という言葉でも指摘されている。日本で言えば契約書における甲と乙を上下関係とみなし、甲という上位の立場を得ると途端に度が過ぎる横暴な振る舞いをすることを言う。役職上の上下などに限らず、事件における被害者も「甲の横暴」を振りかざす。

慰安婦問題について言えば、歴史認識の真実性の問題以外にも、戦後生まれの韓国人ですら日本国と日本人に「甲の横暴」を振りかざすという悪癖がある。政府間の応酬ならまだしも、戦後生まれの一般国民同士の間に、慰安婦問題を理由にした道義的有意差などありはしない。とんでもない勘違いだ。

前置きが長くなったが、実はこの記事の本題は韓国ではない。どうやらドイツにも「被害者=道義的優位性」というおかしな価値観があるらしいので驚いたのだ。ケルンの集団暴行強姦事件である。難民は「絶対善」であるので、その者らが犯した犯行を報じないという愚行を起こしたらしい。

ドイツの「集団性犯罪」被害届は100件超!それでもなぜメディアは沈黙し続けたのか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47293

《緑の党は、難民申請者は全員がドイツに留まれるようにすべきという意見だ。党の代表オツデミア氏は、今回の事件に対するコメントを求められ、「犯された罪は悪しきものだが、その罪を難民に被せるのも悪しきことだ」と述べた。》

《ただ、これまでのドイツの報道の流れでは、難民は「絶対善」として扱われていた。だから、今回の事件の犯人が難民では、とても都合が悪い。ドイツのメディアはかなりの左派だ。ちなみに、政治記者の支持政党で一番多いのが緑の党だという。》


こういう「被害者=正義」という過剰な祭り上げは「被害者」に不適切な特権を与えかねず、社会の混乱の原因となるからすべきではない。ある事件の被害者といえども、その事件の外ではその他一般の人たちと立場は同じである。おかしなイデオロギーでおかしな価値観を植え付けたのでは社会は壊れる。


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