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日本に仕掛けられた勢力均衡戦略

2013年08月21日 | 安保・国益

日本は中国とは尖閣で、韓国とは竹島で争っている。露とも北方領土問題がある。感情的な部分はさて置き一歩引いて考えると、これらの問題は終戦前後に生じている。率直に言って、これらはアメリカに仕込まれた罠だと言える。勢力均衡戦略は英米覇権国の常套手段だ。

欧州大陸から離れた島国の大英帝国の戦略は大陸の勢力均衡だった。大英帝国にとっての脅威は、大陸側が団結して英国に立ち向かってくることだ。だから、大陸が複数の国に分離して対立し合うように仕向け、英国にとっての脅威にならないようにすることが生存の必須条件だった。

大英帝国の覇権ノウハウは米国に引き継がれた。太平洋戦争以前から米国が懸念したことはアジアの団結と米国への対抗であったはずだ。大日本帝国+朝鮮+台湾+満州国の人口は約1.7億人。当時の米国の人口は約1.3億人。国力は人口に比例するから、日本が米国を圧倒するのは時間の問題だった。

大日本帝国+朝鮮+台湾+満州国にもっと時間があれば国力は一層充実しただろうし、場合によっては中国大陸をさらに併呑して勢力を拡大した可能性もある。そうなると、米国と日本は太平洋を挟んでにらみ合いになり、人口に起因する国力で勝る日本が米国を圧倒する恐怖があったはずだ。

だから、米国はなんとしてでも勢力均衡戦略を発動し、日本の勢力圏を細切れにする必然性があった。そうしなければ米国の存亡に関わる。それが米国が太平洋戦争を起こさねばならない理由のひとつであった。そして、戦後も日本が再び勢力を拡大しないように罠を仕込む必要があった。

米国が戦後日本に仕掛けた罠が領土問題だ。終戦直前にソ連の参戦と樺太や北方領土への侵攻を黙認したし、尖閣諸島は領有権を曖昧なままにし、戦後の韓国による竹島侵攻は米国からのそそのかしや黙認を疑わせる。もしソ連+中国+日本+朝鮮が団結して米国に立ち向かってきたら米国は滅ぶ。

米国の罠は今も継続しているように見える。米政府は日本による尖閣諸島の施政権は認めるが、領有権については明言しない。竹島についても明言しない。表向きは穏便に解決するように求めるが、完全解決は米国の将来の利益にならない。また対立があってこそ米国製兵器が日本に売れる。

もっとも、勢力均衡戦略は中国もマネしているであろう。中国の最大の戦略は日米離反であろうし、その一環での日韓離反だ。南京大虐殺や従軍慰安婦もそのためのネタに過ぎない。そういったことも念頭に置きながら誰と組むかを考えて国策を練らねばいつか滅ぼされる。
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