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総理に求めるモノ

2016年01月18日 | 時事・雑文


総理は庶民の仕事を経験しろ、と言ってる人がちらほらいるが、時間のムダ。コンビニ店員、宅配運転手、工場作業員、漁師…それぞれの仕事がわかるようになるまでどれほどの時間がかかるのか。職種の数は。キリがない。どうせ庶民ですら、庶民Aは庶民Bの仕事を知らない。求められる能力が違う。

「経験しろ」とは違うが、問題が生じると「総理が自分でやれ」と言い出す人も一定数いる。集団的自衛権の議論だと「総理が最前線で戦え」の類。菅直人はそのタイプらしいから、自分で原発まで出かけて行ったのだろう。だが、本来トップの仕事は決断することにある。トップが実務に没頭したら崩壊する。

映画「インデペンデンス・デイ」では米国大統領が戦闘機に乗って宇宙人と戦った。だが、あれは映画だ。山本五十六が九七式艦上攻撃機に乗って真珠湾で魚雷投下してたら作戦の指揮命令系統はどうなるのか。平社員が課長に文句言うノリで巨大組織や政府の長に「やって見せろ」と要求をするのはナンセンスすぎる。

そもそも、人の上に立つ人というのは、自分にない才能を持つ者たちをうまく使うことが求められる。総理が自分でパラシュート降下や配管工事ができる必要はない。逆に、自分ができることしか部下にやらせない人物を人の上においてはならない。そのような者は総理どころか、課長職ですら不適格。

民主党政権の失敗の理由のひとつがそれ。彼らは官僚を使いこなせなかった。というより、自分達ですべてやろうとして官僚を退けた。それではインプットは入らないし、アウトプットも出ない。挙句に菅直人は福島原発まで行って混乱させた。有権者もそうだが、特に国会議員ならその程度は理解しろ。


(追記。自ら経験しなければできない、というのは愚か者の主張。)

「愚者は経験に学び、智者は歴史に学ぶ」とはプロイセンの鉄血宰相ビスマルクの言葉だそうです。愚か者は自分の経験した範囲しか知らないが、賢い者は他人の経験からも学ぶ、ということです。人の上に立つ人ほど、自分の経験だけでは対応できない、という諌めでもあります。

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