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自主避難所への食料支給

2016年05月02日 | 震災・災害


益城町の一部の自主避難所で、行政による食料等物資の支給がなされない事例が報告されている。それは、県や市町村の対応として正しいのか検証する。

以下は、熊本県の「熊本県地域防災計画 地震・津波災害対策編」および「避難所運営ガイドライン」からの要所の抜粋。



■熊本県地域防災計画 (地震・津波災害対策編)
http://cyber.pref.kumamoto.jp/bousai/Content/asp/topics/topics_detail.asp?PageID=6&PageType=shiryo&id=1101

(P.133)
6. 避難所の開設及び収容(県知事公室、県健康福祉部、市町村)

(1) 避難所等の安全性の確認及び速やかな避難所開設

また、必要に応じ、あらかじめ指定していた施設以外の施設についても、災害に対する安全性を確認の上、管理者の同意を得て避難所として開設する。

(7) 避難所の運営管理

ア 市町村は、避難所運営マニュアル等に基づき、避難所を適切に運営管理するものとし、運営の際は、他自治体からの派遣職員やボランティアの活用についても検討するものとする。

サ 県、市町村は、やむを得ず避難所に滞在することができない被災者に対しても、食料等必要な物資の配布、保健師等による巡回健康相談の実施等保健医療サービスの提供、正確な情報の伝達等により、生活環境の確保が図られるよう努めることとする。


以上のように、指定避難所以外であっても、必要に応じて避難所を開設することを記述してある。
さらに、「避難所に滞在することができない被災者」に対しても県や市町村が食料等を配布することを定めている。



■避難所運営ガイドライン・避難所運営マニュアル作成モデル
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_236.html

避難所運営ガイドライン [PDFファイル/349KB]

第1章 避難所についての基本的事項

2 避難所の機能

水・食料・生活 物資の提供
避難者に対し、飲料水や非常食、食材の供給、 被服・寝具の提供等を行う。原則として、ライフラインの復旧、流通経路の回復等に伴い必要性が減少する。

これらの支援のうち、「水・食料・生活物資の提供」「健康の確保」「衛生的環境の提供」「情報の提供・交換・収集」については、避難所にいる避難者だけでなく、在宅の被災者についても、必要に応じて公平にサービスが受けられるようにすることが必要である。

3 対象とする避難者

(3) 在宅被災者

避難所を拠点として実施される市町村の救援対策の対象には、 避難所に入れない人々や、自宅の被害は免れたもののライフラインの停止等により生活できない人々(在宅被災者)、余震・二次災 害のおそれや情報不足により不安を覚える住民等を含む。

・食料の提供等の救援対策を実施するに当たっては、避難所内外にかかわらず、必要とする被災者に同様に対応する。


こちらのガイドラインでは避難所の機能として、「水・食料・生活物資の提供」を定めるとともに、避難所に入れない人(在宅を含む)にも、「避難所内外にかかわらず」「食料の提供等」を行うことを記述している。

従って、「自主避難所だから」という理由で、県や市町村が避難者に食料等の支給を行わないことは、行政としての職務を全うしていないし、拒否する正当な理由はないと考える。



(追記)

内閣府でも以下のように定めている。

内閣府・防災基本計画
http://www.bousai.go.jp/taisaku/keikaku/kihon.html

第2編 各災害に共通する対策編
 第2章 災害応急対策
  第6節 避難の受入れ及び情報提供活動

P.65
○市町村(都道府県)は,やむを得ず避難所に滞在することができない被災者に対しても,食料等必要な物資の配布,保健師等による巡回健康相談の実施等保健医療サービスの提供,正確な情報の伝達等により,生活環境の確保が図られるよう努めることとする。


従って、「自主避難所だから」「車中避難だから」「在宅被災者だから」といった理由で、食料等の支援物資の支給対象から外すことは政府や県のルールにはない。

もし、自主避難所、車中避難者、在宅被災者などで、「指定避難所の避難者ではない」ことを理由に行政側から支援物資の支給等を拒否されてる方がいたら、上記の説明を添えて交渉してください。実務的には、最寄りの指定避難所(小中学校、公立高校など)が周辺の被災者への支援物資配布の業務を担うことになっているはずです。



(追記2)物資集積所での個人配布

熊本市内で物資の集積所になっている運動施設で個人への配布をしていないことをジャーナリストがレポートしているが、個人的見解としてはこれは混乱を避けるために必要な処置だと考える。数百もの避難所に物資を配送するセンターで個人配布もやってしまったら、大混乱になってしまう。

物資の配布ルートは次のようになるはず。

 集積所 → 指定避難所(と避難者) → 周辺の車中または在宅被災者等

だから、いずれの被災者も最寄りの指定避難所(小中学校または公立高校など)の運営責任者に相談するのが正解。



(追記3)

以下のように、熊本市長は4月18日の時点で「対策本部会議では指定避難場所だけでなくそれ以外の広場や施設等の場所で避難生活をされている皆さんへも出来る限り行き渡るように指示しております。」と書いている。
これは上述の政府や県の方針と合致している。







以上。


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