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韓国THAAD

2016年07月17日 | 安保・国益


韓国にTHAAD配備が決定された。場所は慶尚北道の星州。THAADの迎撃ミサイルの射程は200kmとされているから、ソウルはギリギリでカバーできない。
だが、広域の地図で確認すると、この場所が選ばれた意味が見えてくる。




第一に、北朝鮮の黄海側に東倉里ミサイル基地があるが、ここからグアムを狙うとすると、星州はまさにその軌道直下になる。さらには、中国・遼寧省瀋陽(*1)にあるとされるミサイル基地からグアムを狙う場合の軌道直下でもある。




第二に、中国の山東省莱蕪市(*1)に日本を狙うミサイル基地があるとされているが、ここから東京を狙うと星州が軌道直下になる。そして、京都府京丹後に配備されている米軍のXバンドレーダーも同じ軌道直下にある。




そして、参考記事(*1)によれば、これらの中国のミサイルは「台湾と戦闘状態になった場合に備えた在日米軍基地への攻撃力強化が目的」とのことである。

つまり、韓国THAADの真の狙いは、北朝鮮と中国からのグアム防衛、中国からの在日米軍基地(*2)および東京の防衛のための前進レーダー基地の位置付けだろうと推測できる。

昨今の軍事技術はネットワーク型なので、前進レーダー基地で早期に敵ミサイル発射を探知できれば、背後のイージス艦その他での迎撃ミサイル発射までの時間が稼げる。

韓国THAADに中国が激怒する理由がこれであろう。

「強烈な不満、断固反対」、中国外務省が抗議声明
http://www.sankei.com/world/news/160708/wor1607080028-n1.html
中国外務省は8日声明を発表し、「米国と韓国が、中国を含む関係国の明確な反対の立場を顧みずにTHAADの配備を発表したことに対し、中国は強烈な不満と断固とした反対を表明する」と非難した。

中国メディア、「星州との往来を断ち、ミサイルで狙え」
http://japanese.donga.com/List/3/03/27/538242/1
「これまで韓国は、北朝鮮ミサイルだけの標的だったが、THAAD配備によって北朝鮮、中国、ロシア3国の標的になった」とし、「北東アジアに戦略的覇権争いが起これば最初の被害者は韓国になるだろう」と主張した。



従って、構図としては「中国 vs 日米 with 台湾」の冷戦において、一旦は中国に尻尾を振ったはずの韓国が、手のひらを返して軍事的敵対行動を取ったので激怒したというわけである。

朴槿恵政権も、THAADは在韓米軍の防衛にはなっても、韓国の防衛にはほとんど寄与しない(=特にソウル防衛には効力なし)と知りつつ米国側からの配備要求を飲まされたわけだから、裏でどんな脅しがあったのやら。

このように相対的に弱い国(韓国)が、列強国(米中)の間をあっち行ったりこっち行ったりフラフラしてると、結局はこうやって双方から睨まれ、やがては代理戦争の戦場にされかねないという教訓にもなっているように思う。


*1:参考記事

山東省にミサイル部隊か
2010.3.21 22:35

 東アジアの動向に詳しいカナダの軍事専門誌、漢和防務評論4月号は、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルを配備した部隊が中国山東省莱蕪市にあると報じた。

 同誌は消息筋の情報を基に特定した部隊の施設の一部とする衛星写真も掲載。射程1800キロの中距離弾道ミサイル「東風21」を配備していると推測しており、事実であれば日本列島の軍事基地の大半が射程に収まるという。

 中国は部隊の新設を2005年に決めたといい、同誌は当時の台湾との関係悪化を受け、台湾と戦闘状態になった場合に備えた在日米軍基地への攻撃力強化が目的と分析している。

 中国の戦略核ミサイル部隊「第2砲兵」は遼寧省瀋陽や安徽省黄山などに主要基地があり、吉林省通化にも日本を射程に収める中距離弾道ミサイルがあるとされる。(共同)



*2:首都圏近郊の主な在日米軍基地

・横田飛行場(在日アメリカ空軍+航空自衛隊)
・厚木海軍飛行場(在日アメリカ海軍+海上自衛隊)
・キャンプ座間(在日アメリカ陸軍司令部)
・横須賀海軍施設(在日アメリカ海軍)


以上。



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