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韓国事変の力学

2017年01月11日 | 安保・国益


安倍政権が釜山慰安婦像を契機に駐韓日本国大使を一時帰国させる措置を含む韓国への制裁を発表したことから、日米による韓国切り捨てが顕在化した。メディアなどは、日韓関係の冷却が長期化するなどと書いていたりするが、これはそんなレベルでは済まない。韓国の国家存亡の危機である。

安倍政権の韓国制裁と同時に米バイデン副大統領も日本に同調する方向の発言をしている。安倍政権の動きは米国政府と連動したものである。日米と米韓の安全保障上の観点から、米政府が日韓慰安婦合意をお膳立てしたのだから当たり前である。韓国の合意破棄は米韓同盟を毀損させる。

さらに、朴槿恵弾劾を受けての韓国次期大統領候補は全員、THAAD配備、日本とのGSOMIA締結、日韓慰安婦合意の3点の破棄を主張している。特に韓国THAADは在韓米軍防衛と日米防衛に寄与するものであり、米韓軍事同盟レベルの決定と米国は言っているから、これの破棄は米韓同盟の消滅に直結する。

米韓同盟の消滅で、韓国の国防は著しく脆弱になる。兵器の稼働率は低く、兵士の質も悪い。戦闘が始まってもすぐに戦線崩壊しかねない。韓国自身もそれをわかっているから、すぐにどこかに頼る動きを見せるはず。第一の候補は、日米との対決を控えている中国。間髪を入れずに中韓同盟締結に動くはず。

韓国は今や、経済と通貨スワップを中国に依存してる状況だから、中国からすれば御し易い。だが、北朝鮮としてはこれは看破できない。北朝鮮は朝鮮人が多い瀋陽軍区は別として、北京とは決して良好な関係にはない。韓国を中国に占領されたら、北朝鮮は南北から挟撃される形に陥ってしまう。

韓国の次期政権は従北政権になることは既定路線だから、これを利用して北朝鮮は中韓同盟成立を阻止し、朝韓同盟成立を画策すると考える。これが第二候補。北朝鮮は核兵器をほぼ実戦配備したと考えられるから、資格はある。この中朝による韓国の取り合いで、韓国を戦場にした戦乱が起きる懸念がある。

韓国をめぐって中朝戦争になった場合、順当に考えれば北朝鮮が不利である。ここで重要プレイヤーとして登場するのがロシア。ロシアは国境を西側と接することを忌避するが、朝鮮半島全域を中国の勢力下に置かれることも好まない。シベリアで中国人の影響力が強まってることも懸念事項になっている。

ミサイル開発で露朝の協力関係が指摘されているように、関係は悪くない。北朝鮮が韓国を取りに行く過程で、露朝軍事同盟を宣言すれば中国は迂闊に動けなくなる。偶然にも日米ともに露に接近している状況を勘案すると、朝鮮半島を露の影響下に置くことを全力阻止したい勢力は中国だけである。

日米は、朝鮮半島が露の影響下に入ることはさほど歓迎ではないにしても、主敵を中国に切り替えようとしてる状況からすれば、中国の影響下に入るよりはマシである。それより、これを契機にして中露関係が破綻することが大歓迎である。中国包囲と崩壊が不可避と判断すればプーチンはそう動くだろう。

つまり、第三候補は、朝韓同盟あるいは北朝鮮による韓国支配と露朝軍事同盟の組み合わせ。第四候補は、韓国の国軍によるクーデターである。もはや韓国保守派の最後の砦は国軍しかないが、日米からの切り捨てが決定しているなら、これは援軍のない籠城策のようなもので長期安定の見通しは立たない。

以上が今後の韓国を取り巻く力学の概観である。いずれにしても、これまでのような自由民主主義陣営ではなくなり、中国または北朝鮮の影響下での圧政になる可能性が高い。その状況下で、どんな粛清や弾圧などが起きるかはわからない。だが、全ては韓国人が自ら招いた事態であり、自業自得である。

慰安婦像を抱いたまま亡国の悲哀を味わうが良い。



(追記)

韓国事変で、気になってることがある。イラクのクウェート侵攻から湾岸戦争への流れとの類似性。…の予感。つまり、イラクとクウェートの対立に対して、米国が中立的な立場を表明したことから、サダム・フセインがクウェート侵攻を決断し、それが国連安保理で武力行使容認決議になったこと。

今後、韓国へのTHAAD配備が拒否されると、米韓同盟は消滅に向かう。そこを中国は中韓同盟成立に動くだろうが、北朝鮮はそうはさせじと、米軍撤退の瞬間を狙って南進しかねない。一部には、朝鮮戦争再開は内戦だから他国は黙殺、との言説が流れている。北朝鮮はその確証が欲しいはず。

なんらかの形で、朝鮮戦争再開でも米国は動かない、と北朝鮮が認識すると南進の可能性は劇的に高まる。しかし、北朝鮮も韓国も国連加盟国である。南進が起きれば、国連安保理が動くだろうし、中露が拒否権を発動しても、多国籍軍の軍事行動は十分に考えられる。だが、手続きと準備に時間がかかる。

よって、韓国は焦土化する。その後、正義を掲げる国連軍または多国籍軍が軍事行動を開始し、北朝鮮に攻撃を加える。結果的に、朝鮮半島全域が焦土化する。要点は、米国を裏切った韓国を北朝鮮に始末させて、その後に正義を掲げて北朝鮮を始末しつつ、中国への恫喝を兼ねる。これが第五の候補。

このケースだと、日本も米軍の後方支援に参加することになり、北朝鮮からの弾道ミサイルを全弾迎撃成功できるとも思えないし、国内に潜伏した工作員の破壊活動も考えられるので、日本も被害は覚悟せねばならないが。ただ、これが現実化すると9条なんてあっという間に消えるだろうね。



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