今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズも三周目に突入しております。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もないだろうということで、一周あたり四十四作品を紹介できると思っております。
三周目の第九回目、今回は「お」「く」「や」です。
「お」・・・オオイヌノフグリ
オオイヌノフグリを一輪描いて「ほっ」と書き添えました。草野心平の詩「春の歌」からの発想です。
ハングルは「韓国語でも日本語でも同じ意味の名前です」と書いてあります。これは事実で、韓国語でも犬の睾丸を表す言葉がこの草の名前になっています。
在来種の「イヌノフグリ」の存在を脅かす外来種の「オオイヌノフグリ」ですが、かわいい花ですね。俳句では「いぬふぐり」と詠んでも「オオイヌノフグリ」を指すのが一般的です。もちろん春の季語です。
「く」・・・グロリオサ
変わった姿の花ですが、よく見るとユリ科の特徴を備えています。葉の先端がくるっと巻いていて、それがあちこちに絡まって、活けるときなどに少し困ります。花束でもらって家で活け直そうとして、ばらすときに絡まっています。温室栽培で年じゅう出回っているようですが、俳句では夏の季語に分類されています。
書き添えてあるハングルは、
「咲くも無心 散るも無心 花はひたすら 今を生きる」
と書いてあります。
「や」・・・ヤモリ
描いたのは「トッケイヤモリ」という種です。東南アジアにいる種で我が家の壁をちょろちょろしているやつよりかなり大型です。ヤモリは漢字で「家守」「屋守」と書くほか、「守宮」と書くこともあります。俳句では夏の季語です。重盛さと美さんが村上ショージさんから授けられたギャグ「しげもり やもり はちゅうるい ワオ!」というのを書き添えてありますが、わかる人は少ないかもしれません。