死の幇助(しのほうじょ)とは自殺を手助けする行為を指す。その動機及び態様により、消極的幇助と積極的幇助に分かれる。切腹等で介錯を行うのもこの一例である。
消極的幇助編集
回復の見込みのない患者に対し、それ以上の延命措置を打ち切ることを指す。改善の見込みのない苦痛よりも死を選択するとの意味から、尊厳死とも呼ばれる。医師が酸素マスクを外すなどの行為を行うが、日本の現行法では殺人罪に問われる。
積極的幇助編集
自殺志願者に対し、苦痛のない自殺手段を提供することを指す。アメリカ・ミシガン州在住の、ジャック・ケボキアンが考案した自殺装置が有名。自殺志願者が、自らの手で生理食塩水を注射するボタンを押し、続いて睡眠薬のボタンを押し、最後にケボキアンが致死量に達した毒薬注入のボタンを押す。
ミシガン州に自殺幇助罪がなかったことから、この行為が可能となったが、事件を契機に、ミシガン州当局は慌てて自殺幇助罪を制定。ケボキアンが自殺装置を続けて使用したことから、ケボーキアンは自殺幇助罪で告訴されたが、ケボキアンは自殺装置の使用をやめるつもりはないと明言している。
ケボキアンの下には、自殺装置の利用を求める連絡が、全世界から寄せられている。しかし、ケボキアンは自殺装置の使用を病気で苦しんでいる者に限定している。
合法化の動き編集
オランダでは、条件付で自殺幇助を合法化した。
オランダでは、自由に医師を選択することが出来ず、生まれたときからホームドクターがあてがわれる。ホームドクターが、回復の見込みがなく、生きていても病苦にさいなまれるだけだと判断した場合には、致死量に達した毒薬の使用が許される。
自殺関与・同意殺人罪(じさつかんよ・どういさつじんざい)とは、刑法第202条に規定されている罪の総称である。個別には、人を教唆して自殺させる自殺教唆罪(簡単に言うと「死ね」など言って人を自殺させようとすること)、人を幇助して自殺させる自殺幇助罪(自殺のための道具や場所、知識などを提供すること)、人の嘱託を受けてその人を殺害する嘱託殺人罪、人の承諾を得てその人を殺害する承諾殺人罪(同意殺人罪)を言う。
殺人罪の減刑類型であり、法定刑は全て、6ヶ月以上7年以下の懲役又は禁錮と殺人罪よりも軽い。これらの罪の未遂も罰せられる(刑法第203条)。
被害者が自己の死に対して真摯な同意を与えている場合に、その人を殺害すると同意殺人となる。
殺人罪よりも同意殺人の方が刑が軽い根拠:被害者の同意がある事から、違法性の程度が低く、その為、殺人罪よりも刑が軽いと説明される。(違法性減少事由)
嘱託殺人罪:被害者の積極的な依頼を受けてその人を殺した場合に嘱託殺人罪となる。
承諾殺人罪(同意殺人罪):行為者が被害者に対し殺害の申し込みをしたところ、被害者がこれに同意・承諾した事を受けて殺害した場合に承諾殺人罪(同意殺人罪)となる。