アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ウツギ、タニウツギ、ミツバウツギ - デンパーク

2024-05-07 15:00:00 | みんなの花図鑑
安城デンパークでは彩の花木園を中心にいろいろなウツギが咲いています。
ウツギといっても何種類かの属に分かれていますので、整理してみたいと思います。

●●● まずは ウツギ属(Deutzia)のウツギから

ヒメウツギ Deutzia gracilis



ウツギの中では一番早く咲くのがこのヒメウツギ。
ウツギ属(Deutzia)のウツギです。種小名の gracilis は 「細長い、繊細な」という意味のようです。
さて
ウツギ属は「ウツギ3兄弟」と言って、白い小さい花を咲かせる よく似た3種類があります。
それらの名は ヒメウツギ、マルバウツギ、ウツギ(卯の花)です。





ウツギ属の花はおしべの花糸が うどんのように扁平になっている特徴があります。
そして
「花糸の翼の形がウツギ、ヒメウツギ、マルバウツギでそれぞれ違う。
ヒメウツギでは、翼の上端が角(ツノ)のように突き出している。
ウツギはほぼ四角であり、マルバウツギではなで肩になっている。」
(松江の花図鑑「ウツギ(空木)」より)



マルバウツギ Deutzia scabra



ウツギ属を Deutzia といいますが、この読み方がとても難しいのです。
何故なら Deutzia はオランダのドイツさんの名前をとっているからです "(-""-)"
---------------------------------------
「学名のDeutzia(ドイツァ)は、オランダの植物学者ヨハン・ドイツの名前から、それとcrenata(クレナータ) という葉っぱが主の植物と合わさって名付けられました。」
(花言葉.net 「ウツギの花言葉と由来」)」
---------------------------------------
上の記事では Deutzia(ドイツァ)と呼んでいますが、
安城デンパークでは あとにでてくるように Deutzia(デウィツィァ)と読んだり、(デウツィア)と読んだり、統一されていないようです。
種小名の scabraは 「茎葉がザラザラ」という意味のようです。







雄しべの付け根にあるオレンジ色の花盤の輪が目立ちます。
マルバウツギの花糸の翼の上端部は(ヒメウツギでは角(ツノ)のように突き出していましたが)なで肩をしています。





ウツギ × エレガンティッシマ 'Rosalind'

(上)4月26日
(下)5月4日


樹名板には (デウィツィア ’ロザリンド’)と表記してありますが、その名でネット上を検索してもあまり自自がありません。
第一、「デウィツィア」と書くと それが「ウツギ属」のことだと分かりません。
学名 が Deutzia × elegantissima 'Rosalind'
なのですから 「ウツギ × エレガンティッシマ 'Rosalind' 」と表記しておけば役に立つと思います。
品種名の ’ロザリンド’ は デンパークの樹名板では'Rosealind' となっていますが、正しくは 'Rosalind' のようです。



さてこの花も ウツギ属の交配種ですので、雄しべの花糸が扁平という共通する特徴があります。ちょっと分かりにくいのですが、花糸(翼)の上部が くぎ抜きのようにY字型になっていて 雄しべの葯がそこから離れて伸びています。




シセンウツギ Deutzia setchuenensis

ウツギ属最後のウツギは シセンウツギです。


学名は Deutzia setchuenensis です。
種小名の setchuensis は 「支那四川省の」という意味です。


ウツギ3兄弟の長男 ウツギ(卯の花)などについては こちら をご覧ください







●●● つぎは タニウツギ属(Weigela)の仲間

タニウツギ(新潟県産) Weigela holtensis




タニウツギ属の属名 Weigela も、スウェーデン生まれのドイツ人植物学者 Christian Ehrenfried Weigel さんに因んだものなので、どう読むのか迷います。
デンパークでは ラテン読みして(ウェィゲラ)となってますが、ときに(ワイゲラ)としていることもあります・・・
ウツギ属(Deutzia)はアジサイ科でしたが、タニウツギ属(Weigela)はスイカズラ科で 科が違います。
ウツギ属は離弁花でしたが、タニウツギ属はラッパ状の花冠を持つ合弁花です。
このタニウツギは新潟県産で、新潟では 木が柔らかく用材に使えないので、役立たずの意味の "づくなし" とも呼ばれているそうです。
バックの白い雪が積もったような木はヒトツバタゴです。







雄しべは5個あり、真ん中に大きめの柱頭をもっためしべが付いています。





斑入りタニウツギ フロリダバリエガータ



フロリダバリエガータでネット上を検索すると、
「斑入り大紅ウツギ (ウェイゲラ フロリダ 'バリエガータ')」とか、
「フイリウツギ ウェイゲラ フロリダ バリエガータ」
とかの名で流通している種類がこれに当たります。






「蕾はピンクで、開くと淡いピンク色、咲き進むと紅色に染まっていきます。ピンクの濃淡と、斑入りの葉がとても綺麗です。」(みんなの趣味の園芸)




タニウツギ ’ソニック・ブルーム・ピンク’


樹名板に Weigela を「ワイゲラ」と表記していますが、もちろん タニウツギ属(Weigela)のことです。










タニウツギ ’アベル・キャリエール’










タニウツギ’ ’レッド・プリンス




タニウツギ(Weigela)のなかでは いちばん赤が濃い園芸品種のようです。












ショウキウツギ




やはりスイカズラ科ですが、属が違い ショウキウツギ属(Kolkwitzia)のウツギです。






解説板がありましたの載せておきます(クリックで拡大)。





●●● 最後に ミツバウツギ属(Staphylea)の仲間をひとつ

スタフィレア・ピンナータ




「ミツバウツギ科は北半球の熱帯から温帯に広く分布し、 5属約50種が知られています。日本には、ミツバウツギ(Staphylea bumalda)や奇妙な名前のショウベンノキ(Turpinia ternata)、秋になると赤い果肉から綺麗な黒い種子を覗かせるゴンズイ(Euscaphis japonica)などが分布しています。」(山科植物資料館「スタフィレア・ピンナタ」)








.