介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

新しいブログにリンクしています。7つのテーマにわけました。引き続きお読みください。

第3678号 明日の2時間目は、社会福祉概論第5講です。

2010-05-13 03:13:49 | 722教室で
写真は、鹿児島湾のフェリーから。5月4日夕刻写す。

前回第4講のまとめ:
第3672号 今日の講義のまとめ
を読んで復習しておく。

【今日のプログラム】
ポイントは、「世界の中で日本を考える」です。
難しいですが手がかりを提示しますので話し合ってください。
後半:3年生のMさん(ブログネーム:八丁目)から、これからの勉強について体験談があります。
*図書館裏、森のガヤ前のテーブルに移動します。


【世界の中で日本を考える】
これから4年間、さまざまな専門科目で、社会保障・社会福祉のことを学びます。4年生の前半には、是非、全体を通じた復習をしてください。いまは、そのための基礎的な考え方の練習。

自分の顔は鏡を見てしかわからないように、「日本の社会保障・社会福祉の姿」は、違った文化と社会の元で発達したほかの国の社会保障や社会福祉のことを学んではじめてはっきりします。この際の注意点は、あまりに多くのことを学ぼうとして、わけがわからなくなることですね。

今日は、日本の社会保障や社会福祉を知る上で、
・ 理想として伝えられるスウェーデンの特色とは?
・ アメリカは、医療保険すらもたない社会保障の遅れた国ですが、それは何故?
・ 日本は、ドイツの制度に近いといわれますが、それはどんなところか?
・ 日本だって、それなりの対応はしてきたのでは?
という4つのテーマに分解してみます。

全部を議論できないので
各チーム(くじでテーマAからDを決める)1つのテーマを議論します。答えを求めるのではなく、「どんな問題かを考える」のでよいのです。想定している話し合いの時間は10分です。
*話の内容を各チーム1分で全体に発表する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

テーマA
日本の社会保障・社会福祉の理想像として、しばしばスウェーデンがあげられます。もう何年も多くの日本人がスウェーデンの社会保障・社会福祉を学んできたのに、どうして日本ではスウェーデンのようにいかないのでしょうか?

《議論のヒント》
1 日本は、スウェーデンのようなキリスト教が普及している社会ではないから。
2 スウェーデンは、人口1000万人以下(東京都より少ない)の小さな国で、国としての意見をまとめやすいから。
3 日本では、戦後長く、自由民主党の政権だったが、スウェーデンでは、社会民主党が政権をとってきた期間が長い。


テーマB 
アメリカでは、一般市民を対象とする公的な医療保険制度がない国として有名です。(2010年、オバマ大統領の下で、なんとか実現しようとしていますね)

《議論のヒント》
1 アメリカでは、健康を維持することは、個々人の責任であって、国家はこういう分野まで介入しないというのが国と個人の関係の原則だと考えられてきた。
2 医療保険制度は無いが、所得の低い人(メディケイド)や高齢者(メディケア)がカバーしているので、国家としては十分であると考えてきた。
3 1935年の社会保障法制定の時期には、すでに民間の保険会社と医師会とが発達していて、両者は公的医療保険制度は自分たちの既得権を侵すとして反対した。


テーマC
 ドイツの社会保障・社会福祉は、日本のモデルとなったとよくいわれます。それはどうしてでしょうか?

《議論のヒント》
1 ドイツは、イギリスやフランスに遅れて産業革命になった。日本も産業の発展段階がドイツの産業の発展段階と類似しているので、社会保障や社会福祉もドイツに近いものとなった。
2 ワイマール政権のあとのドイツ憲法(ワイマール憲法)では「社会権」を認めたが、これが日本の憲法25条のもとになった。
3 両国とも、高齢者の介護が、医療偏重で進んだため、在宅サービスや認知症への対応が遅れた。


テーマD 
日本の社会保障・社会福祉には、課題山積ですが、よくみると、かなり以前から準備してきたものがある。

《議論のヒント》
1 工場での災害による負傷を防ぐために、すでに明治時代(明治44年=1911年)に、工場法を制定している。
2 厚生労働省の前身である厚生省は、1938年(昭和13年)に発足している。この年に、国民健康保険法や社会事業法が成立している。
3 社会保障の母国といわれるイギリスでは、2010年、介護保険制度を創設する検討作業を本格化しているが、日本では、1997年に介護保険法が成立している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【まとめ】
上記の議論を踏まえて、次の問題を解いてみましょう。(第22回社会福祉士国家試験。TA陳先生のブログから)

問題24

☆ ハードコピー(印刷したもの)を配ります。
☆ 解答は、各人でします。自己採点のうえ、回収します。正解を発表します。

                            《2314字》
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10 コメント

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Unknown (げんき)
2010-05-13 08:20:04
先生、おはようございます!

んー、今日の課題は私には難しいです。

でも「世界の中で日本を考える」ことの必要性はよく理解できます。

自己中心的で好き勝手生きるのと、家族や社会の中の「自分」の役割を考えて生きること。

国民として自国の問題を考えることと、世界の中の日本の在り方を考えること。

視点を変えると全く違ったものが見えてくるし、生き方も変わってくるように感じます。

これから世の中に出る人たちは、アジア諸国をはじめ、世界を見つめながら国のことを考えてほしいと思います。
アジアの国々など (bonn1979)
2010-05-13 08:56:33
げんきさん

早々に有難うございます。

社会福祉士の国家試験には、
いわゆる「国際比較」がしばしば出題されます。

高校までで
世界地理や世界史を学ぶ機会の無かった人など
には難しいですね。

私は、個人的には、
外国の社会保障や社会福祉の年号などを
暗記するような勉強を要求する
試験問題には反対です。

ですが、
社会福祉の勉強などでは
どうしても当面の制度の理解に限定されますね。

どのように
社会保障や社会福祉の基本を教えるか
明日は
多少冒険ですが
「一市民としての教養」
という視点から
「国家と個人の関係」といった概念を
想定してプログラムを作ってみました。
*いわゆる「国際協力」といった課題は
年度の最後の段階に考える予定です。

こういうやり方でいいのかどうか
明日は3年生も来てくれて
先輩としてのアドバイスを
もらう予定です。

様子を見て軌道を修正していきます。
「討論」「発表」「ゲスト」
というプログラムでは
ネット参加の学生さんには
十分な面白さが届かず
ごめんなさいね。
恐縮です! (げんき)
2010-05-14 07:05:01
ネット学生は勝手にしているものですし、
授業料も納めていないのですから、提供される
情報や「面白さ」に差があって当然です。

謝っていただいて、こちらこそ申し訳ありません!

課題を丁寧に書いてくださるので、自分では思いつかない
ことを考えることができ、頭の柔軟体操に大いに役立っています。

実際の身体はたいぶ硬くなってきましたが・・・
ありがとうございます。 (なのはな)
2010-05-14 16:37:42
テーマAの議論でしたが、
1分間で議論をまとめるのは大変でした。

日本だけではなく
外国の社会保障制度を学ぶことも大事なんですね。
勉強になりました。
ここでいいのかな(・ω・`;) (黒子)
2010-05-14 17:19:12
お疲れさまです(`∇´ゞ

今日の授業から問題が難しくなって
日本と外国の福祉をもっと知らないといけないなと感じました(ノ△T)

先輩方も忙しいのに来てくださって
ためになる話ばかりでしたo(`▽´)o

カフェでのジュース券ありがとうございました(*'∀'*)
テーマA (bonn1979)
2010-05-14 17:33:51
なのはなさん

コメントありがとうございました。
いままで
「まとめ」を書く時間がありませんでした。
これから夜間の大学院の講義なので
明日以降ということに。

各班とも
ネットの情報などを
集めて
議論の最中に打ち切ってしまいました。
時間配分というか
電波音が消えずに失礼しました。

次回の冒頭で
今日の復習をします。

次回からは
新しい班編成です。
今日から少し踏み込んでみました (bonn1979)
2010-05-14 17:36:57
黒子さん

コメントありがとうございました。

国家試験は
難しい問題でしたが
正解でしたね。
まぐれでは解けないと思います。

時間配分や
討論の建て方など
まだ
私のほうの工夫が必要だと
思いました。

では
来週に。
さっき忘れてた・・ (黒子)
2010-05-14 21:15:57
『特急なのはな号』班の皆さん
自分あんまり協力してませんでしたが
お世話になりました(`・ω・)

次も同じ班だったらその時はまた(*'∀'*)
遅くなりましたが。。。 (菜食肉屋)
2010-05-15 01:26:30
お疲れ様です。

二男二女チームは
テーマBについて
議論したのですが
お互いに「○○くん(さん)が内容をまとめて発表してくれるだろう」
と他人任せになっているところがあり
議論が思い通りに進むことができませんでした。

今回の第五講でチームは
解散となりますが
全員参加・積極的な姿勢を反省点として
次回の講義に望もうと思います。

二男二女の皆さん
ありがとうございました。
チームでの仕事の進め方 (bonn1979)
2010-05-15 09:08:17
菜食肉屋さん

コメントありがとうございました。

第1回の組み合わせが終わって
少しは
チームで考える
役割を分担し合う
など
うまくできるようになったでしょうか?

なにぶん
入学したてなので
エンジンはかかりにくいのですが
どのチームも
発表者が決まらない
などいい意味で「ゆずりあい」がありましたね。

第2回の組み合わせでは
どうなるでしょう?

最後(第3回の組み合わせ)は
自分の気のあった人たちで自由に組む(3人から5人)というアイデア
です。

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