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第1656号  主要国の社会扶助政策比較【OECDペーパー】

2008-10-06 04:09:42 | 地球→ドイツブログ
【OECDワーキングペーパー】

OECDの社会・雇用・移民WP
右上の囲みの1番上をクリック
新しいWPからリストが出ています。

今回取り上げるのは、N.38 2006年8月 です。
Social Assistance Policy Development and the Provision of a Decent Level of Income in Selected OECD Countries
(OECD主要国における社会扶助政策の展開と適切な水準の所得政策)
著者は、willem Adema

本文は28ページの短いものですが、社会扶助政策(日本で言えば、生活保護制度)に関する各国の動向を社会保障政策全体の中で位置づけています。2006年6月に中国において開催されたシンポジウムの成果をまとめたものです。
残念ながら、10カ国の中には日本が含まれていません。

【邦訳はないので・・】
OECDの刊行物は、医療や年金を中心に邦訳が刊行されていますが、この本はまだ邦訳がないようです。しかし、日本における生活保護制度が、国際的な視野から見ると以下に特異なものであるか、を知るためには欠かせない文書だと思われます。
ブログでご紹介するのは、そのごく一部ですから、簡単にダウンロードできるので是非原文に挑戦してみてください。
・全体の構成を把握する。
・重要な叙実は、図表化されている。それを頭に入れて読む。
・幾つかの節(特に、最初と最後)にはまとめがある。
・この分野の術語を知れば、英語自体としては平易です(アメリカ語やイギリス語でなく「国際英語」ですね)
→注釈や文献リストから、この報告のもととなった原資料・出典がわかる。

【税負担 p.8】
表1 スウェーデン 50.6% デンマーク 48.3%  ノルウエー 43.4%
  フランス  43.4%  ドイツ 35.5% イギリス 35.6%
など、税目ごとの数字も示されています。
*オーストラリアやNZには、社会保険料負担がない!とかもわかりますね。

【社会サービスの支出 p.11】
図3 北欧では、いわゆる社会サービスの比率が高いことがよくわかります。
*フランス、ドイツ(それに日本)は低い。

【中国の高齢化のインパクト p.12】
このシンポジウムは、中国が来るべき高齢化に備えて社会保障政策を整備しようという意図を持って行われていますが、囲み記事で2050年の65歳以上人口が予測されています。
中国の2050年 65+は、全人口の23.6% 実数で 3億3千万人という巨大な数字です。(原資料は、国連人口基金)

【社会保障費のGDP比率 p.13】
スウェーデン 31.3% デンマーク 27.6% ノルウェー24.8%
フランス  26.3%  ドイツ 25.2%  イギリス 22.1%
これが、一番よく使われる「社会保障の進み具合」ですね。
*日本はあげられていないが、国立社会保障・人口問題研究所の数字では、18.6%

【社会扶助政策の総合性 22項 p.14】
次の3つを総合して考えられている。
① 金銭的な補助
② 社会的な援助(障害者、ホームレス、薬剤依存など)
③ 雇用へのサポート

具体的な給付としては、家族手当や住宅手当が重要でp.25、日本はこれらを欠いていますね。
*後半は、社会扶助の水準に関する専門的な分析が続きます。


*写真は、加計呂麻島。奄美・加計呂麻島なんでもありBLOGの10月5日の記事からお借りしました。
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