介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

新しいブログにリンクしています。7つのテーマにわけました。引き続きお読みください。

第1818号 【論文紹介】韓国型のライフスタイル改革提案

2008-11-09 12:52:36 | 地球→ドイツブログ
【近くて遠い国】
図書館で『福井県立大学論集』の最新号(第31号、2008年7月)を借りました。(写真はその表紙)

その中で、
『韓国型労働市場構築のためのライフスタイル改革考/
 「民主的大家族」の可能性と文化的適合性』pp.75-98
は、その視点が斬新です。

このブログは、(私の職業柄)院生や研究者を第一次的な読者に想定しています。ですが、なるべく「社会福祉学専攻」以外の方にも読んで欲しいです。
それにしても「難しい」といわれます。

何とか、一般市民の日常生活の言葉で紹介できないか、少しずつ工夫してみます。

【著者のこと】
伊 (YOON Sook-hynm ユン スッキョン)氏は、福井県立大学経済学部経営学科准教授。専攻は、社会学。

http://fpinfo.fpu.ac.jp/fpu/system/php/faculties_open/showone.php?id=yoon

【論文の背景】
韓国社会でも、少子高齢化、グローバル化に伴う経済の不振、非正規雇用の増加など、構造的な要因で、社会が不安定になっている。

社会を構成する単位である家族は、欧米の核家族化によって変質してきた。

政府の政策は、「お金で解決する」というものだが、それでは対応できないのでないか?

【著者の分析の方向】
韓国は、伝統的な東洋思想を踏まえている社会だ(集団主義)。

反面で、個人的な要素も併せ持っている。
このことを生かして、旧来の大家族の持つ封建的な権威主義を排した新しい大家族を構築する道を探れないか。

その根拠を歴史的な考察から、韓国社会にあったモスムに求めている。
15世紀から1949年ごろまであった、家族に1~2人いた家庭内労働者のことです。
*日本には類似のシステムはなかった?からこの点は要約が難しいですね。

【関連論文】
著者は、これまでも、現在の韓国社会を分析する論文をたくさん発表しており、今回のものも、一連の諸作を発展させたものだ。
*この論文はダウンロードできないが、
2006年同じ論集に掲載された少子化に関するものは全文ダウンロードできます。
*右上のCiNii PDF とある箇所をクリックします。29ページの論文全文がアップできる。

【感想と日本への示唆】
「カネで解決できないものがある」「東洋思想の伝統」という視点は、現在の日本の閉塞状況を打破するきっかけになる可能性もある。

ただし、韓国では、高いキリスト教の普及率に見るように社会の倫理性・個人の独立心は日本に比べて高いと思います。

日本では、アメリカ的な物質文明への信仰、新たな学歴社会の深化、「金銭を要求し、金銭をばら撒く政策」「職場でのいじめやハラスメント」など、韓国と比べると、日本独自で克服すべきものも多く前途にたちふさっがっているように思われました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第1817号 社会保険労務士と... | トップ | 第1819号  社会保障制度の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

地球→ドイツブログ」カテゴリの最新記事