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KUMBIA KINGS / FUEGO (CD+DVD PREMIUM EDITION)

2005-12-07 | R&B,SOUL,HIPHOP,RAP,GOSPEL他
 ラテン・アメリカのモンスター・バンド、KUMBIA KINGSの最新作のプレミアム・エディションでDVD付きです。
 ちょうど最近、近所の家電屋のソフト売り場でワーナー・ホーム・ヴィデオ洋画のDVDが1枚690なんて価格で売られていたんで、おぉー安!なんて思いながら見ていたら、ジェイロー主演の「セレナ」もそのラインナップにあったんです。で、その時までそんな映画の事は知らなかったんで、裏ジャケの解説をみて、あぁ、あのSELENAのノンフィンクションなのかこの映画は、なんて思って懐かしさと切なさで暫らくその売場に固まったまま動けやしないってなもんです。10年前の95年、"I COULD FALL IN LOVE"がFMラジオでヘビロテになると共に、ファンクラブのカネを横領したスタッフに逆ギレで(?)撃ち殺されてしまったというショッキングなニュースが駆け巡っておりました。たしか地元のTVKテレビで中村真理女史が言っていたのを聞いたんではないかと曖昧に記憶しております。
 本国(南・北米のラティーノたちの間では)では、24歳という若さながら子供の頃からの長い芸能活動で大人気だったそうですが、日本では、ちょうどその頃英語でレコーディングしはじめたばかりだったとかで紹介され始め、知名度も急上昇中だったのでした。
 しかもそのシングルのタイトルが、"I COULD FALL IN LOVE"(歌詞では更に"WITH YOU"と続けて歌っています)なんてタイトルだったから、もうどうしようもなく切ないんです。何でそんなに切ないのか、とフツーの日本人の皆さんは不思議に思うかも知れません。しかしちょっと英語のできる人なら同感して頂けるでしょう。この、"COULD"というのは、"BE ABLE TO do"と並んで、中学校ぐらいの英語では「~することが可能」という意味だと習います。しかし、この2つは実は実際の会話や文章で使われる場合に違いがあって、一方の"WAS ABLE TO do"を用いると、「(望みどおり)~することが可能だった」すなわち、「可能な状況であった、そして実際に実行した」という含みがあります。しかし、"COULD"を用いると、この助動詞の過去形は仮定法のニュアンスを含み、「やろうと思えば可能だったんだけど実際にはしなかった」というニュアンスになるのです。ですから、"I COULD FALL IN LOVE WITH YOU"というセリフを聞くと、「あなたに惚れ込むことが可能な状況だったんだけど敢えてその気持ちを抑えてしまった」という内容に聞こえるのです。さらにちょっと想像力を巡らせて彩色してやると、「あなたみたいに素敵な人なら私はいつでも惚れこんでしまいそうだったんだけど、私達を取り巻く境遇のせいで二人で一緒に幸せに過ごすなんて事はできないから、私はその気持ちを抑えたのよ」という感じになるんです。どうでしょう。この曲を発表し、24歳の若さで凶弾に倒れたSELENAは、新婚ホヤホヤだったのです。切な過ぎる!
 で、なんでKUMBIA KINGSの話からこんなSELENAの話が出できたのかっていうと、このKUMBIA KINGSを率いるベーシスト兼プロデューサーのAB QUINTANILLAというのが、SELENAのお兄さんで、SELENAのプロデュースをして彼女を成功に導いた人物だそうなんです。ちなみにこのKUMBIA KINGS、ラッパーBABY BASHと共に二枚看板で激甘チカーノ・ラップをポップ・チャートに送り込むR&Bシンガー、FRANKIE Jを排出したりと、ラティーノ達の間で超名門のスーパー・グループなんです。そして、AB QUINTANILLAが中心となり、2005年にはSELENAのツアー(バックバンドがゲストを迎える形で)が行われたみたいです。そんなSELENAにまつわるいろいろなものが重なっているタイミングの今、リーズナブルな映画のDVDを鑑賞しつつこのCD+DVDの音楽も鑑賞する、ということでこのラテン・ミュージック界のトップ・アーティストの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。