「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

トルコ外交がNATOの未来を左右する<2023年10月

2023-10-28 15:45:01 | NATOとアメリカ

トルコ大統領「ハマスはテロ組織でない」、イスラエル寄りの西側を批判
2023年10月25日午後 10:27 GMT+939分前更新
https://jp.reuters.com/world/security/IHVXGDOD3FPW7AKGAM6MDUPX2I-2023-10-25/

以前、この日記でも書きました。併せてお読みください。
2023年10月13日 18:04
『トルコの今後の外交<2023年10月』
https://smcb.jp/diaries/9150284

ハマス事件の発生後、トルコの態度は一貫していますし過激とも言えます。今回は、「ハマスはテロ組織でない」と明確に発言しました。
「ハマスはテロ組織ではなく解放集団で土地と人々を守るための戦う『ムジャヒディン(聖戦戦士)』である」
とも発言しています。

アメリカとNATOとは、正反対の意見を表明し西側を批判しました。

トルコがNATOに加盟しているのは、旧ソ連の時代はソ連の脅威を感じていたと思います。そしてNATOにとっても南の要に当たるトルコは、絶対にNATOの一員にしておく必要がありました。ロシアと友好関係の出来たトルコには、安全保障面からはNATO加盟の必要は、なくなりました。

それでもトルコがNATOに加盟しているのは、EU加盟を長年希望してきたからです。EUは理由を付けて、加盟を拒否しています。もう一つトルコの希望は、アメリカのF-16戦闘機を購入したいからです。アメリカは、まだトルコへの売却を許可していません。

EU加盟の方は最近エルドアン大統領は諦めたようです。無理だと判断したのでしょうね。F-16戦闘機をロシアの戦闘機に変更すれば?

トルコがNATOに加盟し西側にいる理由はなくなります。そしてアメリカのトルコに対する対応は、まるで敵国に対応しているように見えます。NATOの同盟国に対する対応には見えません。トルコで軍事クーデター未遂事件がありました。その首謀者とされる人物をアメリカは、かくまっています。そしてアメリカ議会には、かなり強い反トルコ・ロビーがあります。これが何かにつけて、トルコを妨害します。

ワールド
2021年4月25日2:27 午後Updated 3年前
『米が虐殺と認定、オスマン帝国のアルメニア人殺害 トルコ反発』
https://jp.reuters.com/article/turkey-usa-armenia-idJPKBN2CC03J

歴代のアメリカ大統領は、トルコに対する外交的配慮からこの問題を避けてきました。

バイデン大統領は、アルメニアロビーと反トルコ・ロビーの人気取りに、この件を認定しました。

そして今回のハマス事件では、トルコは決定的に欧米と対立したと言えます。トルコは、元々パレスチナ問題ではイスラムの同胞として行動してきました。イラク戦争でもトルコ国会は、イラク攻撃のためのトルコ領内の空軍基地の使用を拒否する決議をしています。

今回のハマス・ガザ問題では、大統領もトルコ議会も激怒していると思います。

アメリカがこれほどトルコに不利益な対応をし無礼ともいえる態度をとるなら?

エルドアン大統領は決断するかもしれません。トルコ議会は、ほぼ全員一致で賛成すると思います。

何を決断するのか?
もう無用になったNATO離脱です。

私の目から見てもトルコがNATOに加盟しているメリットはないですし、不愉快なだけでしょう。トルコ外交を制約される部分も多いです。むしろ中東の大国として外交のフリーハンドを持つメリットの方が、今となっては遥かに大きいと思います。

欧米以外の国々から嫌われているか毛嫌いされている欧米の側にいること自体が、トルコにとっては大きなデメリットと言えます。

最近のエルドアン大統領の発言を聞き写真を見ると、もう決断しているような気がします。タイミング待ちのような気がします。NATO離脱は、大きな政治的決断ですからやるなら国内基盤の強いエルドアン大統領がするべきです。エルドアン大統領もかなり年老いてきた印象を受けます。だから自分に政治権力があるうちに、自分が元気であるうちにすると思います。

タイミングは来ていると思います。離脱の大義名分もあります。イスラムの同胞に害をなすNATOとは組めないという理由です。

ハマス問題のおかげでNATOは、エルドアン大統領に絶好の大義名分を与えてしまいました。

エルドアン大統領が、そうするのかどうかは不明です。

しかし、もしトルコがNATOを離脱したら?

NATOは南の要の地域の大国を失います。NATOにトルコが加盟して以降、トルコが旧ソ連今のロシアの南進を防ぐ砦でした。NATOは地理的にロシアを封じ込める手段を失います。ロシアはイランと友好国です。トルコもロシアと友好的です。

コーカサスのアゼルバイジャンの隣は、イランです。トルコがそうすればアゼルバイジャンも従います。そうするとロシア・トルコ・アゼルバイジャン・イランの緩やかな連合体が出来上がります。それが何を意味するか分からない人は、地図で確認したら分かります。

中東に欧米が入り込む余地は、なくなります=排除されます。そうなれば、欧米の同盟国的な国はイスラエルしかありません。そうなるのが、欧米の望みなのでしょうね?

欧米は、21世紀の中東の運命の扉を開いてしまったように見えます。トルコが決断すれば、そうなります。

当然ながらそこには資金や経済的に中国も加わります。欧米が何としても抑え込もうとしていた中国は、抑え込まれるどころか羽ばたきます。

外交音痴の欧米の招き寄せるかもしれない中東の未来は、欧米にとっては暗いものかもしれません。しかし、これまで欧米が行ってきた悪行の数々を思うなら、それも当然の報いと言えます。

※ヨルダン王妃は、分かりやすく明確に指摘しています。
CNN
『ヨルダン王妃、西側は「明らかな二重基準」 イスラエルとハマスの戦争で』
2023.10.25 Wed posted at 11:26 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35210690.html

まさにその通りでしょう?
その報いは、必ず来ると思います。

※具体的にそれが何を意味するのか?

中国・北朝鮮・ロシア・中央アジア・パキスタン・アフガン・アゼルバイジャン・トルコ・イラン・カタール

ここまでは確実にゆるやかな政治的経済的連合体に加盟すると思います。そうなれば、アラブやイスラムの国も参加を希望するでしょうね?
アフリカにも反欧米・親ロシアか中国の国が多いです。植民地支配への反感がかなりあるからです。

上記の緩やかな連合体にアフリカ諸国を半分加えると、どんな地図が見えますか?

ヨーロッパとインドを除くユーラシア大陸とアフリカ大陸の広い地域を含むゆるやかな政治的経済的連合体が形成されます。

残っているのは、どこですか?
ヨーロッパ、北アメリカ、インド、オーストラリア
面積的に広いのは、この程度ですね?

「トルコ外交がNATOの未来を左右する」と言うのは、このような事を指しています。私が21世紀は新しい世紀と言う意味もこれに近いです。

※日本もアメリカに尻尾を振ってばかりいないで、中国にも同じ程度(多い方がいいですね?アメリカ10中国20くらい?)に尻尾を振らないと?
カス!=欧米の仲間になります。
中国に逆らうなど、亡国を招く愚かなことだと分かるでしょう?
欧米の時代は、既に終わっているのです。

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トルコのエルドアン大統領がスウエーデンのNATO加盟を認めた深い理由と地政学上の激変<2023年7月

2023-07-18 18:52:28 | NATOとアメリカ

前の記事では、どちらかと言うとスウエーデン側から書きました。
しかし、それは刺身のツマにすぎません。
要は、終わった話でトルコにとってはどっちでも良かったんです。

その前にヨーロッパの地政学を激変させるような事が起きています。

今回のNATOの首脳会談の前に、ある出来事がありました。
トルコのエルドアン大統領が誰かを(多分、非公式に)招きました。

ウクライナのゼレンスキー大統領です。
会談後、エルドアン大統領はウクライナ支持と将来のウクライナのNATO加盟を支持する事を明確にしました。

これまでトルコは、ロシアとウクライナに対して中立に近い立場でした。エルドアン大統領とプーチン大統領は親しい間柄です。これまでトルコは、両国の仲介者として振舞ってきました。

トルコが、ウクライナのNATO加盟を認めて支持する事はロシアにとっては、最大の裏切り行為です。トルコが反対すればウクライナは、NATOに加盟できません。それがプーチン大統領の願望であったと思います。何としてもウクライナのNATO加盟だけは、阻止したかったでしょう。それは、あっさりと覆されました。

更に、おまけがあります。
トルコは、アゾフ連隊の捕虜を戦争終了までトルコ国内に留める・と言う約束事の下にトルコ国内に引き取り保護していました。その約束を一部反故にしてアゾフ連隊の幹部5人を、ウクライナに引き渡し5人はゼレンスキー大統領の帰国の飛行機に同乗してウクライナに帰国を果たしました。

アゾフ連隊には、毀誉褒貶があります。しかし、ウクライナでは国の誇りと言うべき英雄部隊です。その幹部5人をわざわざ、ゼレンスキー大統領とともに帰国させたのは、ロシアに対する最大の嫌味です。国の英雄が帰国すれば、ウクライナ国民は大喜びしますし、一層団結心が高まるでしょう。

つまり、この時点でスウエーデンンのNATO加盟はトルコにとって、どっちでもよい問題になっていたのです。

これまで、あやふやな態度をとっていたトルコは明確にNATOの一員であることを宣言し、ウクライナ支持を打ち出しました。トルコは、ロシアと親しい関係にあるが今後は仲間ではない!と明確に宣言しました。

ウクライナ支持とウクライナの将来のNATO加盟支持からスウエーデンンのNATO加盟承認までは、72時間の間に起こりました。

そのきっかけとなった事件は?
ワグネルの武装蜂起とその後のロシア政府のあいまいな対応です。

つまり、トルコの大統領はプーチン氏が政治権力を失いつつあると判断してロシアを見限ったことになります。見限る以上は、NATOの一員であることを明確に宣言する必要があります。そうであるなら過去の怨念を捨ててスウエーデンンのNATO加盟を認めなければ、なりません。その後は、条件闘争するだけです。

こうしてヨーロッパの地政学は、大激変しました。
バルト海は、NATOの海となり・・
NATOの南のかなめのトルコは、NATOの一員に戻りました。ロシアは、南と北からNATOによりしっかりと封じ込められました。戦争が終われば更にウクライナがNATOに加盟することも既定路線です。ロシアの「最大の!」悪夢が完成した瞬間でした。プーチン氏の夢物語(大ロシア圏の再興)の結末は、ロシアの「最大の!」悪夢として完結しました。

その原因となったのは、ワグネルの武装蜂起事件です。
ワグネルの武装蜂起を鎮圧できずに裏取引で胡麻化したことは、ロシアの対外的な信用を大きく傷つけました。

※ネタ記事
エルドアンの賛成でNATOまた拡大、見限られたプーチン
2023年7月12日(水)18時10分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/07/nato-70_1.php
※ほぼ、パクリでしたけれど?面白かったでしょう?

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スウエーデンのNATO加盟問題とは?<2023年7月

2023-07-17 12:55:17 | NATOとアメリカ

元々、スウエーデンの反イスラムデモを見ても分かる通り、トルコとスウエーデンは、非常に仲が悪いです。これまでは、北と南に分かれているから、いがみ合うだけで済んできました。

NATO加盟問題が出てくるとトルコの長年の怒りが爆発しました。
「絶対!認めない!」
NATO加盟には、全加盟国の批准が必要ですからトルコの批准がないと、スウエーデンのNATO加盟は実現しません。これが、スウエーデンのNATO加盟問題です。

一方、同時にNATO加盟を申請したフィンランドの方は、今年のトルコ大統領選挙の前に批准して選挙後の混乱を事前に回避しました。

今回、やっとトルコがスウエーデンのNATO加盟を承認する運びとなりました。

何故?頑なに拒んでいたトルコが折り合ったのか?
そこら辺を推測してみると、トルコの国内問題に行きつきます。

トルコのエルドアン大統領は、去年「インフレを鎮圧するのに金融緩和をもってする」と言う特殊な持論により金融緩和を継続しました。
一時期は、年率180%を超えるようなハイパーインフレになってしまいました。
ワールド
2023年6月6日12:00 午後Updated 1ヶ月前
アングル:窮状のトルコ経済、新財務相で「脱超インフレ」に期待
https://jp.reuters.com/article/analysis-turkey-cabinet-idJPKBN2XS04L

流石に高金利政策に戻り、インフレは去年のひどい時よりは収まりました。しかし、まだ高インフレ状態にあります。何より、これによりトルコ経済はガタガタになりました。加えてトルコ大地震の復興事業があります。

欧米諸国からの資金援助がないと、どうにもならない経済状況です。

しかし、「金で転んだ」と言われては、反スウエーデンのトルコ国民から「総すかん」を食うのは、分かり切っています。

そこで小さい方のご褒美を表に出しました。
ワールド
2023年7月11日4:56 午後10時間前更新
米大統領、トルコにF16供与の意向 議会と協議へ
https://jp.reuters.com/article/nato-summit-sullivan-idJPKBN2YR0EM

「念願のF16戦闘機をGet!したんだから、お手柄だろ!」
と言う訳です。

しかし、実際には裏に隠している経済援助の方が「デカイ!」ご褒美ではないか・と推測します。しかし、それが本当だとしても国民への聞こえが悪いから隠していると思います。

ご褒美は、私の推測では二つあると思います。

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ウクライナのNATO加盟への道筋<2023年7月

2023-07-17 12:52:46 | NATOとアメリカ

ワールド
2023年7月12日12:31 午前Updated 5時間前
ウクライナの未来はNATOに、首脳ら合意 加盟期限は設けず
https://jp.reuters.com/article/nato-summit-ukraine-decemeber-idJPKBN2YR15O

今回のNATO首脳会合で合意したのは・・
「ウクライナの未来はNATOにある」
(これは総論です)
「同盟国が同意し条件が整えば、NATOはウクライナの加盟に向け招待することができる」

(同時に、ウクライナに求める加盟行動計画(MAP)を履行する要件を排除し、加盟に向けたハードルを事実上取り除いた。)
「NATO加盟は常に条件付きで、期限は設けられていない」
(これが各論です)

「招待する」の意味は、ウクライナが加盟申請すれば認めるという意味です。
「条件が整えば」の意味は、戦争が終結したら・の意味です。
「期限は設けられていない」の意味は、いつまでも有効だという意味です。

全部、総合すると・・
「ウクライナ紛争終結後、ウクライナがNATO加盟申請をすれば(事実上)無条件に加盟を認める。その申請は、いつまででも出来る。」

つまり、戦後のウクライナのNATO加盟は事実上決定したという意味です。

これは、先例になると思います。ロシアの脅威に怯える国は、他にもあります。加盟行動計画(MAP)を履行する要件のために加盟できていない国が二か国あります。
ジョージアとモルドバです。この二か国にも加盟の道が開かれると思います。

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米国の機密文書・外部大量漏えい事件その後<2023・4・14

2023-04-16 16:40:56 | NATOとアメリカ

米情報管理の「穴」が露呈、21歳の下級兵士が機密情報にアクセス
Peter Martin、Courtney McBride
2023年4月14日 15:10 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-14/RT2VX2T0G1KW01

どうやら、機密情報にアメリカ軍内部から簡単にアクセスでき情報の持ち出しもそれほどチェックをする仕組みがなかったようです。
スパイすら不要な米国の機密文書のゆるゆる管理の現状が事件の起きた理由のようです。アメリカ軍内部にいれば誰でもアクセスでき、誰でも持ち出せる管理の緩さです。ダメを通り越して、何というべきか分かりません。

この前の記事でアメリカ社会の何らかの変調を指摘しましたが、同じことがほかの分野でも起きているようです。

何というのか?
普通に考えると?恥ずかしいことでは、あります。
中国との覇権争いに不安を覚えた国は、多いかもしれません。

米機密文書の流出、容疑者の空軍州兵を逮捕
2023.04.14 Fri posted at 06:32 JST
https://www.cnn.co.jp/usa/35202596.html
BBC(今日)
21歳の空軍州兵を逮捕、米国防総省の機密文書流出
https://www.bbc.com/japanese/65271731

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