植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

たった2千円で連江黄の知識とコレクションが一つ増える

2022年08月31日 | 篆刻
日々浅薄非才の我が身を恥じつつも、いくばくかの進歩や成長をいたしたいと願っております。

ヤフオクで最近は打率(落札率)がだんだん低くなり、入手できるのが1割を下回って来て2軍落ち(笑)するような心境になって来たので、みんなが殺到するような銘品珍品お宝はスルーして、マニアックな出品物に目を移すようにしております。また、書道具や篆刻用品・印材などが数十まとめて出される物は「がらくた」扱いされ、比較的安値で落札出来ることを経験で学んでおります。(安物買いの銭失いとも言えます)。

そこでやっとこさで落札できたのは、①2件合わせて55本の篆刻刀。②10個まとめての布張り印箱 ③刻ありの紐付き古印の対章 ④印材まとめて30個位であります。①は先日のブログにて触れましたが全部で15千円、そのほかはいずれも数千円の安いものであります。②はワタシの次男の結婚披露宴で配る篆刻印を入れるためのもので1個300円、都合30個入手いたしました。③は未着ですが、これも大したものでは無い2千円程度の安い石です。

そして昨日届いたのが、④の印材まとめてであります。全部で2,200円で、これはまた、ヤフオク参加の皆さんが見過ごしても仕方ない雑多な印材でありました。ワタシが目を付けたのが中に印箱に入った飴色の自然石形の印材でした。箱の裏ブタに、S62に桂林で8千円で買った「連江田黄石」とメモ書きされていたからです。石そのものには高級石に多い「薄意」(レリーフ)が施され、印面は未刻でありました。この所有者が中国でまがい物(人工石)をつかまされたとは見えなかったのです。幾度となく田黄石の人造石・偽物をつかまされたワタシが言うのだから間違いありません(笑)。

また、連江田黄石または連江黄という石は、田黄に近い風合いがあり、数がさほど多くありません。それなりに珍重される高級石材に分類されるので、いくつかコレクションしているのです。詳細は下のブログであります。

届いた品はまさに雑多な印材が入っていて、木片3つやほぼ価値のない十数本の小印材は除いて、下のような印が出てきました。

結構な印材で悪くない、安い買い物でありました。作品用に使えるもの、3,500円の価格が付いた小印5個の詰め合わせなど、それだけで5,6千円の価値があろうと思います。そして注目の連江(田黄)石であります。未刻の丸石、状態もいいもので印面を少し磨いてみましたが、まごうこと無き自然石です。

はてこれはどこかで見たような石だと思いました。それは以前紹介した「田黄石」のような石であります。手持ちのコレクションの内、連江黄と思しき印を持ってまいりました。これです。この一番右がもしかしたら程度の悪い割れのある「田黄石」と考えていた印材です。

やっとわかりました。3年前にヤフオクで数千円で落札したこのひび割れのある石は、今回の丸石と酷似しているのです。くすんだ褐色で半透明(微透明)、ひびが入りやすいなどの連江石の特徴そのものではありませんか。それは、田黄と間違えやすいと言われる石で、希少性のある印材には違いないのです。その証拠に、高級で貴重な印材に共通する自然石の形状と薄意があります。3年間これは何の石??と思っていた石の正体がわかって、またちょっと賢くなりました(笑)。2,200円の投資は、財産価値としても勉強代としても、大変価値があるものでした。

並べてみて、田黄石かもと思った上の7個の印材はすべて連江黄石と断定して良さそうであります。してみるとワタシの蒐集品の中で、果たして真正の「田黄石」と言えるのがはあるのか?
本物の田黄石がやっぱり欲しいなぁ。
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刃が馬鹿な鋏は使いよう がない

2022年08月29日 | 篆刻
昨日のお昼、満を持して女子サッカーU-20ワールドカップの決勝戦を観戦したのです。験を担いでわざわざ録画していたのですが、ここ数試合前半戦の残り10分あたりから観ていたのに、キックオフから見始めたのがいけませんでした。

早い時間に、懸念していた守備の不安が露呈し、あっという間に3点取られてしまいました。ゲームへの入りが悪く、受け身で動きが固いように見えました。守りのシステムや戦術面で誤算があったのかもしれませんが、スペイン選手の速いパス回しと、たて一本のロングパスで次々に失点し、まさかの前半0-3となりました。

後半は、スペインが守りに入り選手を次々に入れ替えたので、一転してなでしこが攻勢に転じ、圧倒的な攻撃を仕掛けたのですが、いかんせんキック力が弱いために、シュートが弱弱しく、大きなパスの展開が無いのでわずか1点を返したのみで残念ながら試合終了のホィッスルを聞きことになりました。

敗軍の将は兵を語らず、(ワタシはコーチではありませんが)、敗因は言いますまい。今大会でワタシがはじめて知った「浜野まいか」選手は、なんと大会MVPに輝きました。優勝したスペインの最多得点8点をたたき出した選手を差し置いての快挙です。運動量が豊富な彼女は足元のプレーが上手く、ボールキープ力、展開力に優れかつての岩渕真奈ちゃんを彷彿とさせる、切れ味鋭いテクニシャンです。なでしこジャパンの次世代を担う中心選手になるだろうと思う逸材でした。もしかしたら、今度の女子ワールドカップに追加招集されるかもしれません。フル代表デビューを早く見たいものです。

そんなわけで、昨日の午後は軽いサッカーロス(笑)で篆刻などが手につかず、畑仕事をいたしました。小さな篆刻刀を鍬に持ち替え、夏野菜の始末をつけ、ヤブカラシなどつる性雑草を除き、ニンニクやキャベツ・大根など冬の野菜を植え付ける準備にかかったのです。とりあえずやることは、たい肥や有機化成肥料などを混ぜ込みながら天地返しという地味ながら、大事な鍬で掘り起こす作業です。

固くなった土を起こすことで、土中に空気が入り雑菌などが天日で殺菌されます。これに殺菌剤散布と石灰を混ぜ込むのです。野菜が病気にならないよう殺菌し、根から吸収する肥料分をたっぷり施す(元肥)ことが野菜作りに欠かせません。こうした作業をあと2回ほど繰り返したら9月には隙間なく野菜の植え付けをするのです。自家製の発酵「ぼかし肥料」で有機栽培をし、何度も鍬で畑を耕すことが、美味しい野菜を作るコツであります。

さて、今朝は鍬を鋏に持ち替えました。気づけば樹木が伸び放題、茂みからは凶悪な「ヤブカラシ」が蔓を延ばして繁茂し、桑の枝も徒長しています。アジサイはコガネムシに葉を食い荒らされ、沈丁花・ナンテン・ヤマブキ・クチナシなどの庭木もずいぶん伸びて藪のようにごちゃごちゃになっていました。

大きな庭木鋏を使ってジョキジョキ切るのです。剪定は全くの自己流、そのポイントは①鋏の手の届く範囲に大きさ(高さ)を抑える ②下枝・ひこばえをカットする ③来年の花芽などは考えず、只管小さく丸くする といったところです。

ところが、なんとも作業が捗らないのです。ふと見ると剪定鋏の刃が刃こぼれしているのです。硬い木や太い枝を力任せに伐ると、刃が欠けます。また、無理やり切ろうとすると「こじる」ことになり、刃先がまがったり両刃の隙間が出来たりするのです。ホームセンターで売っている安物なので、劣化が激しく、研ぎにも出せない刃物であります。馬鹿とはさみは使いようと言いますが、刃が馬鹿になった鋏は使いようがありません。

思えば、ワタシがバリバリ現役の頃は「切れ者」と呼ばれて(嘘です)いましたが、定年後はどんどんなまくらになり刃こぼれしております。せめて使う刃物だけは一定の切れ味を保つようにしないとなりません。

今使っているお気に入りの篆刻刀は、全部で手持ち50本位の内、せいぜい3,4本です。これを使い分けし切れ味が落ちると小さな砥石で研ぐのですが、だんだん先端が減ってくるのです。それもあって、先日ヤフオクで見つけた2件で、革巻きの篆刻刀合計55本を落札しました。この出品物は、ワタシが入札した金額を2件ともわずかに上回って他の人が落札したのです。ところが、その落札者が「落札代行業者」であったらしく、キャンセルとなってワタシにお鉢が回ってきたのであります。

10本以上は「濃州菊松」という刃物専門店の手打ちの業物も含まれています。買えば千円から4千円位する革巻きの篆刻刀で、皮が汚れてもなく刃先も新品同様、計算したら1本あたり平均大体270円。頂くしかありませんでしょう(笑)。
そんなに数多くの篆刻刀を仕入れてどうするの?。馬鹿なの?
いいんです、ワタシは今のところ二人の若者に篆刻を指導しています(勿論素人としてですが)。彼らにプレゼントし、手に余ったらそのうちヤフオクに出品すれば無駄にはなりません。
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印も人間も磨かないと光らない

2022年08月28日 | 篆刻
毎日独学で石を彫る「篆刻」を続けて2年近くになります。篆刻に限らず、書芸・絵画・音楽などの習い事はだいたい、教室に通ったり、先生に付いて指導を受けるのが良いとされ、客観的な上達のステップとして昇給昇段であったり作品展への出品をするのです。

ワタシは残念ながら、齢66となりこれから先生に師事をするなどは難しいと思っております。また教室そのものが、純粋な修練の場所とも言えず時間を空費するだけでなく、なかなか様々な支出を余儀なくされることが通例であると考えて、今後も先生につくことは無かろうと思います。

その分、専門家ならすぐに問題を指摘して貰ったり修正点を教えて貰えるのを、独学は、苦労して自ら見つけ工夫しなければなりません。得てして遠回りし、余計に時間がかかってしまうのも仕方ないと言えるのでしょう。

最近最も篆刻の技術の向上で学んだ事の一つが「石を磨く」ことの重要性であります。特に彫る印面は、定規を当てて隙間が出来ない様真っ平に削り磨くことが、プロの篆刻の彫りに近づく秘訣になります。当たり前の事なのですが・・・

石を垂直にして出来るだけ下の部分をしっかりつかみ、ぶれないようにサンドペーパーに押し当てて水平に磨きます。更に習得したのが「水研ぎ」で、耐水ペーパーを用いて水で濡らしながら研ぐというのが「鏡面」仕上げになるコツであることに気づいたのが数か月前、それから一段と技術が上がっていい彫が出来るようになりました。

ある篆刻家さんのブログには、注文を受けた印が彫り上がったら、持ち手になる側面から上部までピカピカに磨き上げるように心がけている、と書いてありました。そうすることで、使う側の気分が良くなり「良い品」が入手できたと満足するのだそうです。側面の状態は落款印としては何の意味もありませんが、そこを磨き上げ丁寧に側款を入れて美しく仕上げてこそ篆刻家なのだというのです。

一流の篆刻ならば、一流の作家が彫りやすい高価な良材を用い、幽玄で芸術的な印影を彫り、更に印全体を美しく仕上げてこそ評価されるし、お金も貰えるわけであります。

ワタシはそこにいくといまだ修行の身で、お金がいただけるほどのキャリアも腕前もありません。入賞歴もあるでなし、権威がやはくが付くような頼りにする先生もいない無名の老書生なのです。それでも篆刻を始めた頃には夢想だにしなかった「篆刻家」への階段を少しづつながらも上がって行こうと無謀とも言える努力をしてるのです。

さて、その石磨きでありますが、実は30数個の小印をここ二月で制作しました。倅の結婚披露宴で出席者全員に配るのです。これは、今春に結婚式を挙げた次男の時にやって、それなりに好評を博したのです。今回も、倅に頼まれてコツコツめでたい漢字「福」と「寿」の文字を彫っていきました。一部小学生用には動物印も彫りました。


そして昨日、倅夫婦を呼び寄せました。印の彫が大方終わった段階で、仕上げを手伝わせようと思ったのです。いとも簡単に印が出来上がるわけでは無い、と教えるためではありません。彼らが多くの方々に祝福され新たなスタートを切るにあたって、皆さんに配る印を自分たちが関与し手伝ったという付加価値を付けさせようと思ったのです。

彼らに頼んだその作業の大半は「面取り」であります。印材のほとんどが角形に切り出した石ですから、角が尖っています。印の仕上げの一つが、四隅の角を丸くし上部の角も丸く削ることで押捺するとき、手のひらや指に角が当たって痛いという事を避け、手触りを良くする作業になります。細かな目のサンドペーパーをたっぷり濡らし石を研いで貰います。自分でやれば、磨き上げるのを含め数時間で終える作業ですが、彼らに、丁寧に仕上げる価値を体感させ、他の人に喜んで貰うことが大切であることを知って欲しかったのです。

面取りが終わったら、印面を除く全体を超微細の紙やすりで研磨し、最後はセーム皮などで艶出しをしてもらいました。
3時間ほどかけてやったものの半分は、不十分であったので今朝、ワタシが更に仕上げをいたしました。いきなりやれといわれて簡単にできるなら苦労はしません。

口はばったい事を言えば、人間も同じで、角が尖っている人間は、他の人に痛みを与え不快にさせることもあります。外見も心も全体をきれいに磨き、角を丸くすることで人当たりも良くなり、自分の価値もそれだけ上がるということと心得るべし、であります。


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女子サッカーワールドカップ あと一つになった

2022年08月27日 | スポーツ
昨日のお昼前、女子サッカーU-20ワールドカップの準決勝が行われました。
ベスト4に勝ち残ったのはヤングなでしこ(11位)サッカー大国ブラジル(8)、男子サッカーでは世界最高峰のクラブリーグ「リーガ」を誇るスペイン(13)、伝統国オランダ(4)であります。ここに本来は、ランキング1位アメリカ、ドイツ(2)、イングランド(5)あたりが入って来てもおかしくないのですが、アメリカをナデシコが破って勝ち上がりました。( )内は2022/6のFIFAランクです)

FIFAのランキングは、主としてA代表(フル代表)の過去の戦績をもとに2か月おきに発表されます。U-20などの試合も他に大会や国際試合が無ければ加味されますが、基本、トップレベルの代表選手たちのランキングとは異なります。それにしてもランキングは総合的な国別の強さを反映するのですから、選手層の厚さ、選手強化体制によって、十代の選手たちの質量も当然それに比例しているのです。

なでしこはグループリーグでガーナ(60)、アメリカ(1)、オランダを下し、準々決勝ではフランス(3)にも劣勢を撥ね返してPK戦で競り勝ちました。
準決勝のもう一つの試合はスペインが順当に勝って決勝戦に進みました。そして残りひとつの座をかけて戦ったのです。

結果は、先制した日本、後半開始早々に追いつかれるというフランス戦に似た展開となりました。前半のスタッツではボールの支配率ではナデシコが64%ほどでシュート数はほぼ同じでした。日本が守りに入ったように見える一方、ブラジルは猛烈に前がかりで攻め込んできました。同点になった後も自陣でプレーする時間帯が続いたのです。最後は浜野まいか選手が、相手の最終ラインを一瞬ですり抜け、キーパーの上を越すループシュートが見事な決勝点となりました。

大会前、今回のチームのことをワタシは全く知りませんでした。今までもU-17、U-20で活躍したりMVPになって初めて将来のなでしこを背負う選手として認知されるのです。それが、岩渕真奈ちゃん、田中陽子、杉田妃和、長野風花などでした。今回も大会をテレビ観戦するようになって、だんだん顔が分かってきました。得点力で言えばエースが「浜野まいか」ちゃん、非常に運動量が多くかわいい顔して抜け目のない点取り屋ですでに4得点しました。この娘と「山本 柚月 」が攻撃の要になっています。この二人は身長も165㎝以上で日本人としては大柄になりますから、大変期待が持てます。山本は顔つきがちょっとおねえさんぽくて年かさに見えますね。これはGKの大場にも言えますが、往々にして落ち着いた雰囲気のある選手は、チームの中心選手になるようです。

これまでの戦いぶりからみて、気になることがいくつかあります。GK
大場朱羽は精神的支柱として大活躍しています。ファインセーブを連発し俊敏なプレーで、優勝すればMVP候補です。残念なのはキックがやや非力で不安があるのです。センターラインまで飛ばす力が無く、精度が低いので手で投げたり、近くのDFにショートパスばかりなので、相手に狙われやすくなっています。

また、カウンター攻撃で決定的なチャンスを作れる反面、中盤でボールが収まらず、試合全般を支配される時間が特に後半増えていることです。ブラジル戦は、後半なでしこのシュート数は2.3本だったのに対し、ブラジルは12、3本でした。決定力がある欧州サッカー選手相手にはこれはとても危険であります。特に大会で現在ダントツの7得点を挙げているインマ・ガバーロ選手、左右からのクロスに中央で合わせる、という得点が目立ちました。スペインは、これまでの4試合で失点はわずか1,全得点が11点ですから、この選手を封じることが優勝の最大のカギとなりますね。

長い手足、高い身長を生かしたプレースタイルなので、両サイドからの攻撃を出来るだけ抑えてボールを上げさせない、徹底的にガバーロをマークして彼女を自由にさせない事でしょう。

日本は、格上アメリカ、フランス、オランダと戦って負けませんでした。それに引き換えスペインは、予選はオーストラリア(7)・コスタリカ(36)、そしてノックアウトステージでもメキシコ(27)、オランダ(4)と割合楽な相手と戦ってきたのです。

臆することはありません。28日の決勝戦が待ち遠しいのであります。
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無策のおかげで日本人が割を食う 蚊にも劣る危機感

2022年08月26日 | 時事
お盆を過ぎるとやはり朝晩は秋めいてきます。よく耳をすませば秋の虫が鳴き、セミの声は聞こえなくなりました。一方で、残り少なくなった時間で子孫を残すため、藪蚊達が死に物狂いで血を吸いに来ます。普段だったら寝てるか人間の周りを用心深く飛び回り、取りついてもこちらの気配ですぐに逃げるのです。今はワタシを察知すると躊躇なく飛んできて、ぱちんと潰されるリスクを覚悟で、止まった瞬間から嘴を刺します。

自分の種を守るためには命懸けなのです。そこにいくと、人間様はのんきなものです。すでに地球上では、環境にあった個体数を大きく上回ったため、自ずと淘汰され衰退していくという自然の摂理が働いているのかもしれません。中国では長きにわたって一人っ子政策を取り続けたために年齢のひずみが生じ、高齢化の波と働き手の減少による経済生産性の低減が大きく影を落とし始めています。不動産バブルがはじけ、銀行では現金の引き出しが出来ず、若者の失業率は15%とも20%とも言われています。

人間社会ではゆるやかに人口増があり、徐々に賃金が増え、将来の不動産や株式の値上がりの期待があってこそ経済発展し、人民も繫栄していくものです。しかし、一つ間違うと急激なバブルを生じ、それはいずれはじける、その時のダメージがとてつもなく大きい、というのが日本の昭和の終わりでありました。

結果、企業の投資減少・不動産価格の下落・実質可処分所得の低落などのマイナス要因に加えて、消費税・社会保険料をはじめとした国民の負担は重くなって日本人全体が貧しく劣化してしまいました。正規雇用も減り給与も減り若者が食うのがやっとの状態なので結婚しない、結婚しても子供を作らない、産んでも一人がやっとという状況が、40年近く続いたために、日本の人口減少に歯止めが掛からなくなったのです。

そんな日本にしたのは、引きこもったり非正規雇用に甘んじている若者のせいでしょうか。自分たちが楽しく暮らすため子供を作らないか一人にしているご夫婦たちが悪いの?

そうではないのです。あのバブルに便乗して踊った銀行や大手企業不動産屋などの始末は一過性であったのです。ところが、その時まで空前の税収を享受した役人と国会議員が、野放図な支出構造を温存し利権にしがみつき、省益と自分たちの個人的な利益を手放そうとしなかったのです。バブルの後始末のために必要だった公費は、その後も景気対策の名のもとに箱モノや公共投資に浪費され急激に政府の負債(国債)が増加しました。

今国債をいくら発行してもいいのだ、引き受けた方の資産が増えて出回る流動性の資金が経済を支えるからという無責任な財政均衡論があたかも正論のように言われています。そして国の財産は国債残高に匹敵するから健全などと空論で国民を欺いています。国債はとうとう1000兆円を超えました、しかし資産は1400兆円位あるから大丈夫と嘯いています。 しかし、もし国がデフォルトになったとしたら、1400兆円の大半は評価額が大きく下がり、そんな価格で現金化出来ません。もしそれを買うとしたら中国政府くらいのものです。

毎年の税収で、期日到来分が支払われるのだから、問題ないという均衡論は重大なリスクを隠しています。一つは金利、1995年の平均利回りは3.47%、これが2022年で0.19%です。仮に30年前の長期金利水準が3.2%として、国民や国債引き受けの投資家は、30兆円を受け取り損なっているのです。これが、利息収入が無くなって、消費を落ち込ませた大きな原因でもあり、実質増税となっていることにもっと危機感を持つべきなのです。

もう一つ、景気が低迷しているのは、そうした国債の利払いや返済のための原資を確保するため、ただでさえ硬直化した財政が弾力性を失い(義務的・経費的支払いの割合が増す)、常に増税圧力がかかるということです。有効な景気対策も金が無くて人件費など固定費に回ってしまうのです。

かくして、日本政府は、円安にも無力、賃金の上昇を伴わない国内の悪性インフレの抑制も出来ません。電力不足・小麦など輸入食糧の高騰は国内業者の値上げに拍車をかけていても、知らんぷり。今は、統一教会との癒着隠しに躍起となっています。

日本人はこの先どうなってしまうのか、それが心配なのです。国民が、更に貧しくなり生活が困窮していくのではないか。気づけば周りは外国人だらけ、不動産は中国人が爆買い、残ったのは支払い不能の国債残高だけなんてことになりはしないか、これって杞憂なのでしょうか。
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