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ファントム・スレッド

2018年07月04日 | 映画

”ゼア・ウィル・ビー・ブラッド”のポール・トーマス・アンダーソン監督によるロマンティック・スリラー。同作でタッグを組んだダニエル・デイ=ルイスが主演し、ジョニー・グリーンウッドが音楽を手掛けています。

ファントム・スレッド (Phantom Thread)

1950年代のロンドン。成功したオートクチュールのデザイナーであるレイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)は、大きな仕事がひと段落し、海辺の別荘でつかの間の休暇をすごしていました。朝食に訪れたホテルのレストランで、ウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)にひと目惚れしたレイノルズは、彼女を新たなミューズとしてメゾンに迎え入れます。

年の離れたすてきな紳士に見染められ、最初は夢心地のアルマでしたが、レイノルズは彼女の体形を完璧だといい、アルマのドレスを作ることにしか興味を示しません。食事をしている間も、彼の頭の中は仕事のことばかり。アルマの不満は募ります。やがて彼女は、レイノルズの心を自分に向かせようと、あの手この手で策を講じていきます...。

トレイラーで見た、エレガントでゴージャスなファッションの世界とドレスの数々、美しいピアノ音楽に惹かれつつ、どこかホラーな香りも感じて見るのを楽しみにしていました。主演のダニエル・デイ=ルイスがこの作品を最後に引退すると発表していたこともあり、気になっていた作品です。

アンダーソン監督、デイ=ルイス、グリーンウッドの音楽がタッグを組んだ”ゼア・ウィル・ビー・ブラッド”は、テキサスの油田を舞台にした血と汗のにおいが充満する作品でしたが、本作はそれとは真逆のロンドンのファッション界を舞台にしたエレガントな作品。でも本作もデイ=ルイス演じるエキセントリックな主人公が、強烈な個性を放っていました。

レイノルズのところには、これまでにも何人もの女性がミューズとしていっしょに暮らしてきたようです。しかし、レイノルズが仕事一辺倒でまったく女性を顧みないため、女性の方が耐えられなくなり、その度にビジネスパートナーである姉(レスリー・マンヴィル)が、彼女たちをうまくお払い箱にしてきたのです。

しかしアルマは、これまでの女性たちにはない強さをもっていました。メゾンではレイノルズの妻としてふるまい、彼の仕事にも口を出します。そしてレイノルズの心を自分に向けさせるために、いろいろな作戦に出ますが、それがゆきすぎて、ついにはとんでもない行動を起こします。

そしてレイノルズもそれを知ってて応えたようなのですが... このへんが私にはよくわからない。^^; 歪んで倒錯した愛の世界は私の理解の範囲を超えていますが、ラストでは新しい家族も増えて幸せそうにしていたので、アルマはレイノルズを変えることに成功したということなのでしょうね。2人の駆け引きはなかなか見応えありました。

本作の魅力は、なんといっても次々と登場する華麗なドレスの数々。オートクチュールなので、当然ながら着る人のサイズにぴったり合わせ、しかも一番美しく見えるようにデザインされているのです。特にアルマが装うドレスはどれもすてきでした。衣装を手掛けたマーク・ブリッジスは、本作でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞しています。

そしてジョニー・グリーンウッドのピアノ曲の甘美なメロディが、ロマンティックな物語を引き立てていました。グリーンウッドは、もとはロックバンドのミュージシャンと知ってびっくりしました。("ノッティングヒルの恋人”の)ジーナ・マッキーが出ていたのも懐かしかったです。

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